日本を取り巻く経済環境が大きく変化するなか、競争力を強化する源泉となる人材の確保および育成は喫緊の課題です。競争力強化のためには人材育成が肝要であるという点については、世界各国も同様の認識を有しており数多くの研究がなされています。これら諸外国の研究は、近年多様化の兆しがみられるようになった日本の労働人材確保に部分的に適合するものの、日本の労働市場における人材確保は依然として新卒一括採用に大きく依存し他の各国と就業構造が異なることから、そのまま当てはまるわけではありません。当社は、これまで実施してきた教育研修によって得た知見を活かして新入社員の成長度合いを可視化し育成モデルを開発することをめざし、熊本大学教授システム学研究センター・合田美子准教授との共同研究を実施してきました。この共同研究の成果についての論文が、科学雑誌「Nature」をはじめ数多くの学術書籍出版を世界規模で展開する「Springer Nature」の審査を通過し、同社が出版する「SN Social Sciences」に掲載されました。
■掲載論文について
✓タイトル
✓Development and Validation of a Five-Level Developmental Model for New Graduate Employees
✓概要
✓本研究の目的として、新入社員の育成モデルを作成し、成長度合いの可視化を目指しました。なお、本育成モデルは、日本の“新卒一括採用”という就業構造は世界において特異であるというものの、諸外国の新規入社者にとっても適応できるという仮説に基づき、研究を開始しました。
✓研究手順としては、以下の通りとなります。
・先行研究の文献調査を行い、初期の育成モデルを開発
・例年100名以上の新卒者を採用する日本の旅行会社に入社した新入社員の月報データ分析と専門家インタビューを繰り返し、新入社員の育成モデルを5段階に定義
・国内医薬品製造販売及び医薬品輸出入を手がける製薬会社と国内外での施工実績を有する建設会社の新入社員の月報データで検証し、新入社員の育成モデルが確定
✓ダウンロードURL
https://link.springer.com/epdf/10.1007/s43545-022-00420-w?sharing_token=tyuqgPZtXS6C7p9ixSsH3_e4RwlQNchNByi7wbcMAY4kYo7IQe8QOosTfqtYPBXLeECNZtniNUKwXc53ybscdBUM5Xsz_dWwM_65o4NQEfc2Rup-QRUgtRSvzYMCom-m-7Nwa49V-Zv6NPKs2Z1M1e6ccpaqf32zBKg_RYKnNFc=
■Springer Natureについて
Springer Nature(シュプリンガー・ネイチャー)は、「コミュニティがより多くを発見、学習、成果の達成を支援すること」を使命に掲げる、学術および教育の出版社です。研究、教育、専門の3つのビジネス分野にわたって数多くの論文を掲載し、世界の研究者、学生、教師、専門家の知識へのアクセスを支援しています。
https://www.springernature.com/jp
■熊本大学 教授システム学研究センター(Research Center for Instructional Systems ; RCiS)について
熊本大学は、「知の創造、継承、発展に努め、知的、道徳 的及び応用的能力を備えた人材を育成することにより、 地域と国際社会に貢献すること」を目的とし、地域連携や産学連携など、さまざまな取り組みを実施しています。その取り組みのひとつである教授システム学研究センター(RCiS)は、日本初の教授システム学研究拠点であり、実践的フィールドを学内外に有し、高等教育や職業人教育を対象とした研究を展開することを特徴としています。RCiSは、国内外の研究拠点との連携を進め、連携研究組織及び連携研究員との共同研究を通じて、教授システムを発展させ、社会に貢献します。https://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/
■アルー株式会社について
アルー株式会社は、「夢が溢れる世界のために、人のあらゆる可能性を切り拓きます-all the possibilities-」というMissionのもと、『育成の成果にこだわる』ことをテーマに、人材育成支援事業を行っています。新入社員から経営者層までの幅広いレイヤーに対する階層別研修の実施をはじめ、グローバル人材やDX人材の育成などのテーマ別教育プログラムの提供、さらにはラーニングマネジメントシステム「etudes」を用いたeラーニングの提供などを通して、組織や個人の成長を人材育成の側面から支援しています。顧客ごとに個別最適化されたソリューションの提案および実施によって顧客企業の多様な課題を解決することを目指し、グループ全体で事業に取り組んでいます。
https://www.alue.co.jp/
なお、本件が業績に与える影響につきましては現段階で軽微であると判断しておりますが、今後業績に影響を与えることが判明した場合には、速やかに公表いたします。
以上