5日、国指定重要文化財のある多田神社(多田院多田所町1-1)で、3年ぶりに大規模な消防訓練が行われた。これは、貴重な市民の財産である文化財保護についての関心を高め、関係者の防火意識を向上させるために実施。動作点検は毎年行っているが、約3年ごとに動作点検と使用方法の確認を兼ねた消防訓練を行っている。
この日、多田神社宝物殿で火災が発生したという想定で訓練を開始。消防車など2台、消防関係者と神社関係者、多田幼稚園の園児など、あわせて約50人が参加した。
同神社内には、国指定重要文化財、県指定文化財を囲むように、高所式自動放水銃3基、地上式自動吹き上げ放水銃2基、地上式手動放水銃2基、易操作性消火栓2基を配置し、境内には貯水槽とポンプ室が設置されている。全消火設備を使用した場合には、50分の放水が可能となっている(文化庁基準)。これらの消防設備は源満仲公生誕1100年の平成24年に完工した。
午後1時、本殿・拝殿に向けて一斉に放水を開始。約15分間にわたって消火活動が行われた。
その後、多田幼稚園の園児らが実際に放水を体験。消防隊員に支えられながら、宝物殿に向かって放水を行った。
訓練終了後、福本 賀範 宮司(ふくもと よしのり)は「多田神社にある貴重な文化財を守るため、何かあればすぐに対応できるように訓練を通して災害に備えたい」などと話した。
※多田神社は、天禄元年(970年)清和源氏の祖源満仲(みなもとのみつなか)が創建した多田院に由来し、満仲の没後御廟が営まれたことから、源家祖廟の寺として鎌倉・室町・江戸の歴代幕府の崇敬を受けた。
現在の社殿は、徳川4代将軍家綱により再興されたもので、本殿・拝殿・随神門は国指定の重要文化財となっており、南大門、東西門などは兵庫県指定文化財、境内は国指定の史跡となっている。