研究開発代表機関は慶應義塾大学医学部内科学教室(リウマチ・膠原病)で、研究開発課題名は「関節リウマチの遠隔診療に向けたIoTデジタルデバイスによる日々の生体データ活用法の確立」、3年度にわたるプロジェクトです。
当研究において、テックドクターは研究開発分担機関としてウェアラブルデバイスの設定・運用とデータクリーニング、解析を担当いたします。
1. サマリー
- 関節リウマチの遠隔診療に向けた、IoTデバイスによる日常データの活用法を模索するAMED研究に、テックドクターが研究開発分担機関として参画
- テックドクターの「SelfBase」により、膨大な日常データのモニタリングが一目瞭然となり、またデータクリーニングや解析をスムーズに
2. AMED事業概要
令和3年度 「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(健康・医療情報活用技術開発課題)」
公募課題:神経・運動機能障害分野に該当する健康データを医療現場等で活用する手法の研究開発
【研究開発課題名】
関節リウマチの遠隔診療に向けたIoTデジタルデバイスによる日々の生体データ活用法の確立
【研究開発代表者名】
金子 祐子 教授(慶應義塾大学医学部 内科学教室(リウマチ・膠原病))
【研究開発期間】
令和3年度から令和5年度まで
【研究開発概要】
関節リウマチは全身の関節腫脹や疼痛、全身倦怠感等の症状が持続し、不可逆的な関節破壊から身体機能の障害をきたす疾患です。これらの症状は日々変動し、かつ疼痛、全身倦怠感や疲労感は他覚的検査で捉えられないため、患者さんは診察時以外の自身の状況を正確に主治医に伝えることは難しく、また、関節触診が不可能なオンライン診療において医師は関節炎の状態の把握が困難です。
さらに、体調維持には適度な関節運動や筋力維持が必要な一方で、身体負荷は関節炎の増悪因子となるため、適度な日々の身体負荷の判断が難しいという課題があります。加えて、気圧の変化や気温などの気象条件、うつ状態や不安、睡眠障害などと関節症状は関連することが知られています。
日々の関節炎変化と患者報告アウトカム(PRO)※2 の簡便な記録法や、内外環境と疾患活動性の関連性が分かることで、患者・医師間の共同意思決定(SDM: Shared Decision Making)が実践され、今後のオンライン診療を見据えた診療の質の向上に資することが期待されます。
本研究開発課題において、以下の3つの研究開発項目を策定しています。
①日常の症状を簡便かつ詳細に把握する方法の開発および診療の質向上への有用性確立
②触診による関節評価の代替技術の開発
③日々の患者の健康データを反映する新たな検体検査の開発
研究開発分担機関のテックドクターは、これらの研究開発項目のうち①を担当し、腕時計型ウェアラブルデバイスや環境センサーの運用のための予備調査や準備を行い、令和4年度より最初の患者さんが研究に参加され、テックドクターのSelfBaseの利用が開始されました。
SelfBaseには、腕時計型ウェアラブルデバイスによって取得される日々の身体活動量、睡眠状況、心拍変動等のデータや、ポータブル環境センサーから取得される気温、気圧、照度、紫外線指数、騒音といったデータ、公開API※3 から取得される自宅付近の気象情報、研究チームが既に開発しているスマートフォンアプリ「きょうのカンセツ」(下図)によって取得される患者自身のPRO情報、医療機関での診察、採血データなどのEDC(Electronic Data Capture)※4 情報などが匿名化されたうえで蓄積されます。
テックドクターはデータ取得のサポートを継続するとともに、中間解析、最終解析などを担当する予定です。
※1 SaaS:「Software as a Service」の略。クラウドサーバー上のソフトウェアを、インターネットを経由してユーザーが利用する形式のサービスのことです。
※2 患者報告アウトカム(PRO):Patient-Reported Outcomeの略。患者の回答について、臨床医や他の誰の解釈も介さず、患者から直接得られる患者の健康状態に関するすべての報告を指します。
※3 公開API:「Application Programming Interface」の略。ソフトウェア同士が情報をやり取りする際に使用されるインタフェースのことです。
※4 EDC:「Electronic Data Capture」の略。インターネットを使い電子的に臨床データを収集すること、またはそのシステムを指します。
3. 「SelfBase」とは
SelfBaseはウェアラブルデバイスやグルコース値モニタリングデバイス、環境センサーなどのロングタームデータのモニタリングや解析に特化し、今後さらに活発化すると予想されるDTx(デジタルセラピューティックス)の開発を支援する運用・解析基盤です。
大量のロングタームデータから特徴となるデータを抽出し、例えば、痛みや発作、不調の予測などを行うアルゴリズム開発を支援しています。本サービスは国立の研究機関やアカデミア、大手製薬企業等での研究開発や治験において、既に多くの利用実績があります。
4. 「SelfBase」の強み
①大量のデータをリアルタイムに一元管理
ダッシュボード上で現在取得可能なデータセットを毎日確認することができるため、 試験中からデータ取得状況を逐次モニタリングすることができ、 試験終了後にデータを全て揃えてチェックする手間を省きます。
②解析レポート機能
SelfBase上でデータの可視化から解析までを実行できるため、 データをダウンロードすることなく、相関分析や比較する群間での検定作業などを行うことができます。
大量のデータから心拍変動やそれに関連する解析も可能となるため、 解析期間を圧倒的に短縮できます。
③ePRO機能
ePROとは、アプリなどを通して電子的にPROを取得することです。PROはPatient-reported Outcome(患者報告型アウトカム)の略称で、「患者の回答について、臨床医や他の誰の解釈も介さず、患者から直接得られる患者の健康状態に関するすべての報告」を指します。SelfBaseでは、モニタリングデータとePROによる主観データを掛け合わせた解析が可能です。
▼SelfBase紹介ページ
https://www.selfbase.jp/
▼お問い合わせ
https://www.technology-doctor.com/contact/
【会社概要】
会社名 :株式会社テックドクター
WEB :https://www.technology-doctor.com/
設立日 :2019年6月21日
所在地 :東京都港区六本木7-15-7 新六本木ビル SENQ六本木
代表者 :湊 和修
事業内容:医療データ解析SaaS事業 メンタルヘルスソリューション事業