【呉高専】専攻科学生が鈴鹿高専でインターンシップ実施

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 呉工業高等専門学校(広島県呉市 校長:餘利野 直人 以下「呉高専」)の専攻科プロジェクトデザイン工学専攻の二重谷 光輝さんと町 依蕗さんは、鈴鹿工業高等専門学校(三重県鈴鹿市 校長:竹茂 求 以下「鈴鹿高専))に滞在し、鈴鹿高専共同研究推進センターに設置されている超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)の操作分析技術の習得を目的とした教育プログラム(インターンシップ)に参加しました。
 

     黒田教授の技術講習を受けSEM前処理,FE-SEMによる観察を行うインターンシップ学生

       技術職員の指導によりFE-SEMによる元素分析を行うインターンシップ学生

 本インターンシップは5日間実施され、鈴鹿高専が保有する、高度な分析機器を使用し、現在研究を進めているナノデバイス上の細胞外小胞(エクソソーム)の観察を行いました。
 全国の国立高専が参加する「Society5.0 型未来技術人財」育成事業(GEAR5.0)では、社会課題の解決に係る研究にとどまることなく、そこに学生が関与できる教育プログラムを構築することを目標の1つとしています。
 今回のインターンシップは、呉高専の学生が行う企業での就業体験や大学等での研究室体験(インターンシップ)に、GEAR5.0事業が協力する形で行われ実現したものです。学生は、所属する高専での学習にとどまらず、全国にある高専の設備等を活用して、より高度な研究活動を実施することが可能となります。
 国立高専51校がそれぞれ有する強みを生かし、高専間の連携を利用した新たな学習形態による教育の高度化が期待されます。

概要(GEAR5.0マテリアルユニット)
 GEAR5.0マテリアルユニットは鈴鹿高専を中核校として、呉高専(協力校)を含めた全国から5つの高専(鶴岡高専・小山高専・鈴鹿高専・呉高専・大分高専)からなります。各高専では、それぞれの得意なコアとなる保有技術を活かしたプラットフォームを形成し、高専間の連携のもと地域あるいは全国からの官民の課題解決に積極的に取り組んでいます。材料(マテリアル)の分野において、鈴鹿高専は共同研究推進センターに高度な先端分析拠点としての役割を担い、呉高専ではナノデバイス拠点のプラットフォームを形成しています。今回のインターンシップ受け入れ活動は、GEARマテリアル内での高専間連携の主要な事業の一つです。

インターンシップ実施概要
実施期間:2022年6月13日(月)~17日(金)
受入学生:呉高専専攻科学生2名
実施内容:
 ①FE-SEMの操作方法等の習得
 ②金属(電極)上の細胞外小胞(エクソソーム、直径100nm程度)の形状観察
実施担当:
 兼松秀行、平井信充、黒田大介、中川沙織(技術補佐員)(鈴鹿高専)
 江口正徳(呉高専)

担当教員のコメント
呉高専 江口正徳 准教授

 呉高専では、医工連携による地域貢献に重点を置いています。今回のインターンシップでは、本校、医工連携研究テーマの一つである「細胞外小胞の高感度検出法開発」の推進を目的とし、本校で開発したナノマテリアル収集デバイスで集積した細胞外小胞の観察・分析を、中核校である鈴鹿高専の協力のもと実施しました。鈴鹿高専には、FE-SEMをはじめとした高度計測分析機器が整備されており、ナノマテリアルの多角的な解析が可能です。この度の高専間連携によるインターンシップでは、両校の特色を生かした高度な学生教育・人材育成が実現できました。

鈴鹿高専 黒田大介 教授
 GEAR5.0では、単に機器の操作方法を習得するのではなく、操作方法を習得する過程で理解した高度分析機器の性能と機能を学生が自由な発想で自身の研究に活用・展開し、新たな知見の創出、課題発見、課題解決に繋げていくことを目的としています。今回のインターンシップでは、FE-SEMの基本操作の習得と観察方法の探索をテーマとしていましたが、後半では学生自らが創意工夫し、複数の機能を観察に活用することで今後の課題とその解決方法を見出すことができました。呉高専のインターンシップに協力させて頂くことで、高専間連携による学生の研究スキルとコミュニケーションスキルの一層の向上が実感できました。

学生からのコメントおよび今後の予定
 呉高専では、細胞外小胞を顕微鏡による蛍光観察でしか、確認することができなかったのですが、今回のインターンシップによるFE-SEMを用いた観察で、目的の場所に集積した細胞外小胞を確認することができました。また今回のインターンシップで行った実験データを解析した後に、日本機械学会 第34回バイオエンジニアリング講演会で成果を発表することができました。集積した細胞外小胞の形状や凝集の様子の観察を行うためには、細胞外小胞の固定法や乾燥法などの改善が必要という課題が残りましたが、これらの課題を克服し、再度、FE-SEMによる形状観察を行いたいと考えています。また、今回学んだ知識と経験を,学内外問わず多くの学生に展開するとともに、私たちが得意とする微細加工技術も伝えていきたいと思います。

GEAR5.0マテリアル
https://www.suzuka-ct.ac.jp/gear-materials/

用語解説
電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)

 走査型電子顕微鏡(SEM)は、電子レンズを使って電子線を微小径に集束し、試料の上に照射します。そして、試料から放出される二次電子像及び反射電子像を検出することで像を得る顕微鏡です。今回のインターンシップで講習したFE-SEMは、コールドFE電子銃を搭載しており、低加速電圧での高分解能観察が可能で、DNAやウィルスなど生体材料の微細表面観察が可能で、集積した細胞外小胞を1粒子レベルでの形態観察が期待できます。

細胞外小胞
 体内のほぼ全ての細胞から分泌される小胞で、血液、尿、唾液など体液中に数多く存在します。その大きさはナノスケール(100 nm程度)で、DNA、RNA、タンパク質を含んでおり、近年、各種疾患のバイオマーカーとして注目されています。

呉工業高等専門学校について】
 
呉工業高等専門学校は、かつての軍港「呉」にある高等専門学校として、人類の福祉と平和、国際社会の持続的発展へ貢献できる人材を育成することを重視し、変化を恐れない「柔軟性」と「創造性」、確かな「技術力」と「実行力」を持ち、自ら学び続ける人材を育成することを目指すことを教育理念とし、豊かな教養と国際性を持ち、それぞれの専門分野において実験・実習・演習を重視した教育により工学に関する知識や技術を身に付け、各分野の課題に対応出来る人材を育成することを教育目的としています。

【学校概要】

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 呉工業高等専門学校
所在地:広島県呉市阿賀南2-2-11
校長:餘利野 直人
設立:1964年
URL:https://www.kure-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関

【鈴鹿工業高等専門学校について】
 鈴鹿工業高等専門学校は、全国12の国立高専一期校のひとつとして1962年に設立され約10,000人の卒業生は技術者や研究者あるいは企業家として社会で活躍し、産業界から高い評価を受けています。1993年には、さらに2年間の高度な専門教育を実施する専攻科を設置して国際社会で活躍できる創造性豊かなエンジニアの育成に努めています。また、鈴鹿高専テクノプラザをはじめとして地域社会と密接に連携した教育研究により産業振興に努めています。

【学校概要】

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鈴鹿工業高等専門学校
所在地:三重県鈴鹿市白子町
校長名:竹茂 求
設立:1962年
URL:https://www.suzuka-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
 
【本リリースに関するお問い合わせ先】
独立行政法人高等専門学校機構
呉工業高等専門学校
総務課企画広報係
TEL:0823-73-8200(平日8:30-17:00)
e-mail:kikaku@kure-nct.ac.jp
 

~2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます~
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/

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