地域の地産地消を盛り上げるために愛知県豊橋市は、農家と飲食店・菓子店のマッチングを行っています。2023年11月8日(水)には、豊橋市駅前大通2丁目の複合施設「emCAMPUS EAST」のemCAMPUS FOODで新メニューを発表しました。2回目となるマッチングには、昨年より大幅に増えた13飲食店・菓子店と12農家が参加。生産量日本一の次郎柿と日本料理、摘果ミカンとカレーなど、農畜産物のさらなる可能性に心躍るメニューがそろいました。23日には一般向けお披露目会が開催され、その後は各店舗での提供も随時開始します。この冬、豊橋の食と農をぜひお楽しみください!
豊橋市は市町村別農業生産額が全国14位で、隣の田原市や浜松市を含めれば全国を代表する農業地帯の一翼を担う地域です。そこで、豊橋市は「食と農のまち推進プロジェクト」の一環として、地元の新鮮でおいしい農産物の地産地消を推進するため、飲食店・菓子店と農家の橋渡しをするマッチング会を昨年度から実施しています。
今年7月31日に行われた飲食店・菓子店と農家のマッチング会には、日本料理やイタリアン、洋菓子など多彩なジャンルの飲食店など18店舗(昨年9)と22軒の農家(同16)が参加。飲食店・菓子店とメニュー開発のオファーを受けた農家がグループを組み、8月から、ほ場や店舗の見学、開発会議などを進めてきました。
前回は4店舗と7農家により10の新メニューが誕生しましたが、今年は最終的に25の新メニューが13店舗と12農家により開発されました。マスコミ向けに行われた新メニュー発表会では、各グループがメニュー開発の秘話や意気込み、こだわりなどを4分間で発表しました。
トップバッターは、昨年も参加した洋食店「キッチンイマイ」(中岩田2)。「コラボメンチ&農園ポトフ&柿ブリュレさつまいもとラディッシュを添えて&彩り生春巻き揚げ」(4品コラボセットで1650円)を作りました。ブリュレにも赤ワインで甘く煮たラディッシュがのっており、農家側の「らでぃっしゅ屋」は「スイーツにもラディッシュを使っていただき、どのようなスイーツになるのか不安でしたが、頑張って手をかけていただき、ラディッシュが本当に美味しいスイーツになっていて驚きでした。ぜひ味わって食べてください」と呼びかけました。
続く「ふぐ・日本料理 大村屋」(大橋通1)の「ベル・ファームさんの次郎柿と百合根の饅頭」(880円)は、次郎柿をそのまま生だけでなく、パリパリ食感のチップと完熟した次郎柿のジャムも使い、次郎柿の食感と甘味を生かしました。百合根のペーストに米粉を混ぜて柿ジャムを包んだ饅頭は、カツオと昆布の出汁をベースにしたあんかけに濃厚な次郎柿を合わせた一品。大村屋は「地元では柿をもらうことが多いと聞き、次郎柿を料理の一品として皆さまに召し上がっていただくことで、より次郎柿の価値を高める機会になればと思います」と意気込みました。
とんかつ和食の「武蔵総本店」(藤沢町)が作った「豊橋産大葉カキフライ定食」(1848円)は、豊橋が生産量日本一を誇る大葉を粉末にした「有限会社 州田園」の大葉粉を衣に混ぜました。タルタルソースにも大葉胡椒が入った大人な味わいで、爽やかな大葉の香りが食欲をそそる一品です。「粉末状で使いやすい。今回は牡蠣と合わせたが、それ以外にもまだまだ使える。今後もメニューを開発していきたいと思っています」(武蔵総本店)、「うちは50年以上続く大葉農家です。大葉も粉になったからこそできることがあると思うので、この先、もっといろんな方向に広がってくれたらうれしいです」(州田園)と語りました。
八百屋「一期家一笑」(下地町)はオムライス。「鈴木さんのだるまトマトのふわとろオムライス」(979円)は、ミニトマトを塩とオリーブオイルだけで味付けしたソースを盛り付けています。和風の「らでぃっしゅ屋さんの明太クリームオムライス」(979円)には、ラディッシュを生のまま使い、色味と辛味を生かしています。「だるまトマト農園」は「今年は例年にない暑さで、まだまだ味がのってきてないので、悔しいところですが、12月が過ぎて旬の時期になったら、またおいしくなります。一期家一笑さんにぜひ足を運んで食べてほしい」と話しました。
「ALL豊橋産 米粉のグルテンフリーお好み焼き」(1100円)を作った「鉄板焼き とらのこ」(駅前大通り1)。小麦粉よりもモチモチとした食感で、腹持ちもよく、具材のうずら卵と豚肉、キャベツ、塩麹とすべて地元産にこだわりました。青ノリの代わりに州田園の大葉粉をかけて仕上げています。米粉を提供した「清須ライスセンター」は、「よく味わうとお米の風味もあり、食感も米粉ならでは。ぜひご堪能ください」とPRしました。
「スパゲッ亭チャオ本店」(広小路1)は、ゴマのような風味とピリッとした辛味が特徴のハーブ「セルバチコ」を使用。「チャオスパ」の愛称で市民に親しまれるあんかけパスタに生のままトッピングしました。「豊橋に吹くイタリアの風 セルバチコスパ&サラダ」(1280円)として販売します。スパゲッ亭チャオ本店は、「驚くほど合う。イタリアではメジャーなハーブということで、あんかけスパもイタリア料理を日本風にアレンジしたというのが起源と聞いている。セルバチコという食材を知っていただく良い機会にしたい」と意気込みました。
アジアンレストラン「アティティ」(浜道町)は、「畑のキャベツカレー」(925円)、「キャベツのチーズナン」(876円)、「畑のキャベツカレーset(青パパイヤのインド風漬物付き)」(990円)を考案。本場インドから輸入したスパイスを多数配合したドライカレーに、キャベツをたっぷり使うことで、カロリーは控えめになっています。「La.Aichi Farm」(青パパイヤ、キャベツ)は、「パパイヤには酵素がたくさんあり、とても体にいい成分が含まれていたりするので、ぜひ食べてほしい」と述べました。
青果市場「大一青果」内でカレーと煮込み料理を出す「©️(マルシー)」(南島町)は、「アグリコ高糖度ミニトマトとヤマイシ果樹園みかんの牛スネ欧風カレー」(店内飲食1200円、持ち帰り 容器別 1179円)を発表。「ヤマイシ果樹園」は「ミカンというと静岡県の三ヶ日や蒲郡になりますが、豊橋にも昔からミカンはあるのでそれを知ってもらいたい。マルシーさんには、摘果から今の時期のミカンまで余すことなく食材を使っていただいているので、そこにも注目してほしい」と話し、「アグリコ」は「完熟割れしたトマトが実は一番甘くておいしい。それを今回カレーに煮込んでもらっているので、とてもトマトの味が出て、おいしくできていると思います。割れたトマトは廃棄しかないので、フードロスにも貢献した、とてもいいカレーができました」と語りました。
「カレーハウス CoCo壱番屋 豊橋前田店」(前田南町)は「みかわ牛の赤ワイン煮カレー」(1270円)。使用するみかわ牛の希少部位であるネックは肉質が硬い部分ですが、スプーンで解せるほどの柔らかさになっています。昭和24年創業の精肉店「ニクロハ」とのコラボになります。ニクロハは、「しっかりとしたボリューム感でみかわ牛をのせていただいているので、食べ応えもあります 。風味豊な肉のおいしさを味わってもらえると思います」と話しました。
「cafe&galerie ちろる庵」(三ノ輪町)は、「いちごのスムージー」(930円)「昔ながらの固焼きプリン」(850円)「いちごの食べ比べプレート(ドリンク付き) 」(2300円)「いちごのレアチーズケーキパフェ」(1600円)を用意。イチゴ農家の「moriのいちご屋さん」は、「いろんな品種の苺を作っていて、食べ比べられるワンプレートが夢でした。それが形になろうとしてて、12月からお店に並ぶのが今から楽しみです」と喜びを語りました。
「和食専門ビュッフェ 和の膳おざき」(磯辺下地町)が開発したのは、もっちりとした「米粉のプリン」(400円)。下に敷かれたイチゴソースは甘酸っぱく、上にかかったほろ苦い抹茶がアクセントになっています。「磯田園製茶株式会社」は「飲食店と作り手がコミュニケーションをしっかり取りながら進められたことがすごく楽しかった。だから良いものができたんだと思う」とマッチンングのメリットについて語りました。
最後は洋菓子店「ベルカント」(西幸町)。「和栗とほうじ茶」(473円)「柿のテリーヌと紅茶のムース」(462円)「紅はるかとにんじん芋のスフレ」(462円)の3種類のケーキを発表しました。次郎柿農家の「百年柿園ベル・ファーム」は、「豊橋の秋といえば柿。このケーキも秋の定番になれば」と期待していました。
その他、発表会に不参加でしたが、ラーメン屋「ORIBE(おりべ)」(井原町)は、「5種のさつま芋まぜそばfm農園そもそも」(1350円)を考案。5品種のサツマイモを4種類の調理方法で作るサツマイモづくしのまぜそばで、11月25日から限定200食で提供します。
11月23日(木・祝)には、emCAMPUS FOODで今回の新メニューが一堂にそろうお披露目会と農家によるマルシェを開催します。emCAMPUS FOODで現在販売中のチケット(2000円)を購入すると、試食用サイズ5品が食べられます。チケットは先着200綴を用意。当日、来場者が気に入ったメニューに投票し、1位になったグループには賞が贈られます。時間は正午〜午後3時です。
前回のコラボメニューはemCAMPUS FOODのみでの販売でしたが、今年は各店舗でメニューを楽しむことができます。各店舗で提供期間が異なるので、emCAMPUSのホームページでご確認の上、ぜひ、店を巡って豊橋の食と農を体感してください!