2023(令和5)年 10月 24日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
<発表のポイント>
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ケイ素はイネの葉や茎の表面や特別な細胞に蓄積することによって、イネをさまざまなストレスから守ります。本研究では、このケイ素の蓄積を担う輸送体を同定しました。
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この輸送体の遺伝子が壊れると、葉の表面に蓄積するケイ素が減り、通常は溜まらない組織にケイ素が蓄積してしまうことで、たくさんのストレス誘導性遺伝子が変動し、生育が激しく抑制されてしまいます。
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これらの結果は、ケイ素の適切な蓄積がイネの健全な生育に重要であることを示しています。
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本研究成果により得られた知見は、ケイ素を利用した作物の安定生産や安全性の向上に役立つことが期待されます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)資源植物科学研究所(倉敷市)の馬建鋒教授のグループは、同大自然生命科学研究支援センターの宮地孝明研究教授のグループと共同で、イネのケイ素蓄積を担う輸送体の分子機構を明らかにしました。
本研究成果は日本時間2023年10月19日(木)午後6時(英国時間:19日午前10時)に英国の科学雑誌「Nature Communications」にオンラインで公開されました。
ケイ素は植物の有用元素として知られ、さまざまなストレスを軽減することによって、植物の健全な生育に貢献するミネラルです。ケイ素による有益な効果を受けるには、葉や茎にケイ素を蓄積させることが大事であるとされていましたが、これまでこの蓄積に関する分子メカニズムは分かっていませんでした。
本研究では、未知であったケイ素の蓄積を担う輸送体を新たに同定し、その機能を証明しました。本研究成果により得られた知見は、ケイ素を利用した作物の安定生産や安全性の向上に役立つことが期待されます。
◆馬建鋒教授からのひとこと
これまでケイ素は土壌ミネラルの中で唯一過剰障害の出ない元素であるとされてきましたが、今回の発見により、この輸送体が存在するからであることが分かりました。10年以上を費やした本研究が今後の作物の生産性と安全性の向上に役立てば、光栄です。
◆論文情報
論 文 名:A silicon transporter gene required for healthy growth of rice on land
掲 載 紙:Nature communications
著 者:Namiki Mitani-Ueno, Naoki Yamaji, Sheng Huang, Yuma Yoshioka, Takaaki Miyaji, and Jian Feng Ma
D O I:10.1038/s41467-023-42180-y
U R L:https://doi.org/10.1038/s41467-023-42180-y
◆研究資金
本研究は日本学術振興会科学研究費補助金「特別推進研究」(課題番号16H06296)、「基盤研究S」(課題番号21H05034)、「基盤研究C」(課題番号20K05773)の助成を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
イネをストレスから守る「ケイ素」の蓄積を担う輸送体を世界で初めて発見!~ケイ素を利用した作物の安定生産や安全性の向上に期待~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20231019-2.pdf
◆参 考
・岡山大学資源植物科学研究所
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学資源植物科学研究所 植物ストレス学グループ
http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/index-j.html
◆参考研究成果
・イネのホウ素吸収はクラスリン非依存性経路を介して輸送体タンパク質の翻訳後に制御される
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000538.000072793.html
・イネにおける亜鉛の輸送:植物の要求量と人の栄養とのバランス
https://www.rib.okayama-u.ac.jp/researchactivity/20220303-2/
・イネの安定多収に欠かせないケイ酸輸送体の構造解明
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000333.000072793.html
・【岡山大学】イネ導管へのケイ酸のローディングに関与する輸送体Lsi3の同定
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000542.000072793.html
・【岡山大学】イネのカドミウム集積を抑制する遺伝子の同定により、収量と食味に影響しない低カドミウム集積イネの育成に成功!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000836.000072793.html
◆参考情報
・【岡山大学】資源植物科学研究所 馬建鋒教授が地球の持続性に関する研究を奨励する国際的な表彰「第1回Frontiers Planet Prize」を受賞
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001412.000072793.html
・【岡山大学】資源植物科学研究所の馬建鋒教授と山地直樹准教授が2022年版「世界で最も影響力のある科学者」に選出!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001037.000072793.html
・【岡山大学】馬建鋒教授、山地直樹准教授、沈建仁教授が2021年版の「世界で最も影響力のある科学者」に選出!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000372.000072793.html
・【岡山大学】資源植物科学研究所の馬建鋒教授が「日本植物生理学会賞」受賞決定!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000397.000072793.html
・【岡山大学】資源植物科学研究所の馬建鋒教授のグループが発表した論文が「PCP論文賞」に決定!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000389.000072793.html
・【岡山大学】資源植物科学研究所の馬建鋒教授が日本植物生理学会賞を受賞!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000598.000072793.html
・<FOCUS ON> 馬建鋒教授らの研究紹介「植物と我々の健康を支えるミネラル輸送」(2021.11.30)
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r3/press20211130-1.pdf
・岡山大学広報誌「いちょう並木」(2017年10月号,Vol.87)植物は“小さな宇宙” ~その未知なる可能性を探る~「無限の可能性を秘めた植物の生存メカニズムに迫る」
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/kohoshi2017/icho_87_a4.pdf
◆本件お問い合わせ先
岡山大学資源植物科学研究所 教授 馬 建鋒(ま けんぼう)
〒710-0046 岡山県倉敷市中央2-20-1
TEL & FAX:086-434-1209
E-mail:maj◎rib.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/index-j.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
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産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年10月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001683.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください