<概況>
倒産件数は679件(前年同月583件、16.5%増)と、17カ月連続で前年同月を上回り、9月としてはコロナ禍前の2019年(687件)以来の水準となった。2023年1-9月の累計件数は6128件となり、倒産抑制期であった2021年通年(6015件)を既に上回った
負債総額は6951億1000万円(前年同月1350億3100万円、414.8%増)と、パナソニック液晶ディスプレイ㈱の法的整理もあり、前年同月から400%以上の大幅増となった
<主要ポイント>
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業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『小売業』(前年同月108件→151件、39.8%増)では、「飲食店」(同34件→61件)が過去最長の12カ月連続増加。『運輸・通信業』(同22件→39件、77.3%増)は、「道路貨物運送」が前年同月を大幅に上回った
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主因別にみると、『不況型倒産』の合計は542件となり、17カ月連続で前年同月を上回った
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態様別にみると、「特別清算」は21件発生し、6年ぶりに5カ月連続で前年同月を上回った
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規模別にみると、負債「50億円未満」が21件と、2年1カ月ぶりに20件を超えた
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業歴別にみると、「30年以上」が最多。『新興企業』は19カ月連続で前年同月を上回った
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地域別にみると、9地域中7地域で前年同月を上回った。最も増加率の高かった『九州』(前年同月41件→62件、51.2%増)は12カ月連続、『中部』(同82件→109件、32.9%増)は14カ月連続で前年同月を上回るなど、長期にわたる連続増加が続いている
集計期間:2023年9月1日~9月30日
発表日:2023年10月10日
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
集計機関:株式会社帝国データバンク
■業種別
7業種中6業種で前年同月を上回る 「飲食店」は過去最長の12カ月連続の増加
業種別にみると、7業種中6業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月157件→178件、13.4%増)が最も多く、『小売業』(同108件→151件、39.8%増)、『建設業』(同125件→125件)が続いた。『サービス業』は2012年3月以来、11年6カ月ぶりに4カ月連続で170件以上を記録した。『運輸・通信業』(同22件→39件、77.3%増)は、2年ぶりに前年同月から70%を超える増加率を記録した。
業種を細かくみると、『小売業』では、「飲食店」(前年同月34件→61件)が比較可能な2000年以降初めて12カ月連続で前年同月を上回った。『卸売業』(同73件→77件、5.5%増)では、「飲食料品卸売」(同13件→26件)が倍増した。『運輸・通信業』では、ドライバー不足が深刻化する「道路貨物運送」(同16件→31件)で前年同月を大幅に上回った。
■倒産主因別
『不況型倒産』は542件、17カ月連続で前年同月を上回る
主因別にみると、「販売不振」が528件(前年同月416件、26.9%増)で最も多く、全体の77.8%(対前年同月6.4ポイント増)を占めた。内訳を業種別にみると、「サービス業」(前年同月99件→136件)が最も多く、「小売業」(同84件→128件)、「建設業」(同97件→101件)が続く。「業界不振」(同4件→7件、75.0%増)などを含めた『不況型倒産』の合計は542件(同421件、28.7%増)となり、17カ月連続で前年同月を上回った。
「経営者の病気、死亡」(前年同月30件→32件、6.7%増)は2カ月連続で前年同月を上回った。一方、「放漫経営」(同25件→16件、36.0%減)は2カ月連続で、「その他の経営計画の失敗」(同30件→24件、20.0%減)は4カ月ぶりに前年同月を下回った。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■倒産態様別
『清算型』は661件、「特別清算」は6年ぶりに5カ月連続増
倒産態様別にみると、『清算型』倒産は661件(前年同月562件、17.6%増)となり、全体の97.3%(対前年同月0.9ポイント増)を占めた。『再生型』倒産は18件(同21件、14.3%減)発生し、3カ月連続で前年同月を下回った。
『清算型』では、「破産」が640件(前年同月542件、18.1%増)で最も多く、18カ月連続で前年同月を上回った。「特別清算」は21件(同20件、5.0%増)発生し、6年ぶりに5カ月連続で前年同月を上回った。
『再生型』では、「民事再生法」が18件(前年同月21件、14.3%減)発生した。内訳は個人事業主が11件、法人が7件だった。
■規模別
負債「5000万円未満」は406件 「50億円未満」で20件超え
負債規模別にみると、「5000万円未満」が406件(前年同月356件、14.0%増)で最も多く、「5億円未満」が130件(同122件、6.6%増)で続いた。中小零細規模の倒産が目立つ一方、「50億円未満」が21件(同12件、75.0%増)と、2年1カ月ぶりに20件を超えた。
資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が487件(前年同月408件、19.4%増)となり、全体の71.7%を占めた。
■業歴別
業歴「30年以上」が最多 『新興企業』は19カ月連続で前年同月を上回る
業歴別にみると、「30年以上」が220件(前年同月168件、31.0%増)で最も多く、全体の32.4%(対前年同月3.6ポイント増)を占めた。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は9件(同3件、200.0%増)だった。
業歴10年未満の『新興企業』[「3年未満」(前年同月36件→24件、33.3%減)、「5年未満」(同39件→49件、25.6%増)、「10年未満」(同99件→124件、25.3%増)]は197件(前年同月174件、13.2%増)と、19カ月連続で前年同月を上回った。内訳を業種別にみると、「サービス業」(同52件→63件、21.2%増)が最も多く、「小売業」(同29件→46件、58.6%増)、「建設業」(同43件→35件、18.6%減)が続いた。.
■地域別
9地域中7地域で前年同月を上回る 『九州』『中部』で過去最長の増加期間
地域別にみると、9地域中7地域で前年同月を上回った。「福岡」(前年同月18件→29件)の件数が急増したこともあり、『九州』(同41件→62件、51.2%増)は増加率が最も高く、2000年以降で初めて12カ月連続で前年同月を上回った。『中部』(同82件→109件、32.9%増)でも、2000年以降で初めて14カ月連続で前年同月を上回るなど、長期にわたって増加傾向が続いている。このほか、『関東』(同228件→236件、3.5%増)は、「栃木」(同5件→18件)が大幅に増加したことで、全体では8カ月連続で前年同月を上回った。『近畿』(同126件→170件、34.9%増)では、「小売業」(同21件→42件)が前年同月から倍増、特に「飲食店」(同9件→20件)の倒産が目立った。