2023年度グッドデザイン賞 ポラスグループ全9点が受賞 21年連続 通算受賞点数83点

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ポラスグループ(本社:埼玉県越谷市、代表:中内 晃次郎)の各社が開発した以下の9点が、2023年度グッドデザイン

賞を受賞しました。ポラスグループとしては21年連続の受賞で、通算受賞数は83点となりました。

<ポラスグループ グッドデザイン賞 詳細ホームページ

https://www.polus.co.jp/articles/www.polus.co.jp/gooddesign/ >

  • 北浦和みのりプロジェクト (株)中央住宅 戸建分譲設計本部 設計一部

<概要>

●さいたま市の「見沼田んぼ」に程近い地域コミュニティのプラットフォームとなる街づくりです。(株)こばやし農園と協働し「居・食・住」をテーマに庭や緑との関わりを深めた住宅や庭を設計。見沼田んぼでの農作業と自邸の庭仕事をリンクさせ、日常化させたフードサイクルや農体験を軸としたコミュニティを大人から子供まで幅広く構築する新しいスタイルの分譲住宅です。

●こばやし農園で行う体験農業や、分譲地での菜園指導ワークショップ、収穫祭などの「農」を軸とするコミュニティプログラムを組成し、その活動を快適に行える設計を街づくりに採り入れました。体験農業で得たことを日々実践できる自邸の庭づくりをテーマに、装飾菜園ポタジェや雨水タンク、緑のカーテン、果樹等をエクステリアの一部としてデザイン。住民同士で協力し「庭仕事」を楽しめる街を構築しました。

<審査員評価>

プロジェクトの趣旨や目指すところに共感する住人が集まるコミュニティ開発の好例であろう。近隣づきあいと農地を舞台にした交流という2つのスケールを組み合わせている実践が特に評価された。それぞれのスケール

を跨いだ相互交流が発展し、新しい形での地域活性化として根付くことが期待される。また、現状ではエクステリアを中心に「農」や「緑」に関連づけられたデザインが展開されているが、今後はそれが住宅のプランニングに

まで踏み込んだ提案へと発展することも期待したい。

  • リーズン流山おおたかの森 悠景のヴィラ  (株)中央住宅 戸建分譲設計本部 設計一部

<概要>

●隣地との境界を一次元的な「線」ではなく二・三次元的な「空間」として再構成した「路地のある分譲住宅」です。その街の骨格となる路地を介し、各戸の玄関へのアクセスや住民同士の交流、緑道化による景観形成など、全戸が相互に関わり豊かな住環境を形成しています。また建物の裏側を解消し敷地の未利用地化を回避しています。

●路地を設定することで、歩車分離と火災時の延焼リスク軽減を実現。また、災害時には多方向避難可能な経路となり、レジリエンス性を向上させました。さらに近接地に保育施設があり、朝夕の車や歩行者の往来の懸念がありましたが路地の設定によって干渉を軽減させています。

<審査員評価>

3方向を道路に囲まれた8棟の住戸の集まり。通常ならば共有地を広場にしてしまうところだが、このプロジェクトでは路地とし、玄関やポストを路地側に配置することで、歩行者の日常的な通行・出会いを誘導し、路地を介して、住民どうしが自然なコミュニティを育んでいく効果に期待している。路地が歩行者の場であるのに対し、道路側に駐車場を設けるという配置の使い分けも巧みである。 名ばかりの共有地とは一線を画す形で、子どもたちの遊び場になったり、たわいもない会話や挨拶の場になったり、この路地から様々な日常のシーンを無理のない形で生み出すであろうことが想像され、評価を集めた。

  • レギオン獨協大学前  (株)中央住宅 戸建分譲設計本部 設計二部

<概要>

●敷地の境界をシームレスにして、複数棟の住宅の中心に広場空間を創出しました。樹木を中心にベンチ、天然石を配し、住民同士の出会いの場、子どもたちが車両の通行を気にせず集まって遊べる空間として機能させています。広場空間があることで、道路側をオモテ、敷地延長の旗竿地をウラとする感覚を解消し、旗竿地の閉塞感を低減させました。

●3つの広場空間が東西を繋ぎ、さらに、南北に伸びる植栽を連続させたグリーンチェーンによって全8棟をひとつの街とし、一体感を醸成しています。植栽や広場を照らす灯りに関する協定を締結することで、夜間の街並みに一体感を創出し、防犯性も高めました。

<審査員評価>

近年、戸建て住宅が集まるミニ宅地開発のプロジェクトが増えており、そのそれぞれが、共有の緑や路地、庭を設けるなどして、家という単位を超えたコミュニティの形成に寄与しようと独自の取り組みを志している。 その中でこのプロジェクトは、住戸の配置・形状を工夫し、複数の共有の庭に個性を持たせたり、2方向に抜ける工夫をしており、今回の審査を行う中で、同様の他事例の一歩先を行く印象であった。 今後のさらなる発展として、共有の外部空間が住宅内部の間

取りや仕上げ材にも影響を与えるような、連続的な体験価値がこの場に蓄積されることが期待される。

  • ビルトインガレージを集めてつくるコミュニティ 中央グリーン開発(株)

<概要>

● 都心の分譲住宅における「玄関の位置」と「駐車場の配置」に注目し、安全を考慮して設計しました。通常、駐車場として利用される旗竿地のアプローチを4世帯の住民が管理する協定道路とし、協定道路を囲むように玄関とビルトインガレージを隣り合わせに配置。住民同士が自然と交流を図れる外と内を緩やかに繋ぐコミュニティ空間をデザインしました。

● 車の所有状況に関係なくカースペースを有効活用できるように、全棟にビルトインガレージを設け、自動車だけでなく自転車やオートバイも雨や雹から守れる空間としました。当プロジェクトは、協定道路とビルトインガレージを連携させることで生まれるコミュニティ空間を実現し、雨ざらしで劣化が進む自動車や自転車を屋内で保護することを通じて、「モノを大切にする」という意識の向上を目指しています。

<審査員評価>

4住戸を一体的に開発する建売り住宅群において、4住戸共有の子供が遊べそうな中庭を実現させている計画を高く評価した。通常駐車場になってしまう旗竿部分を協定道路として設定したところが画期的だ。コミュニティーを形成するために4戸の住戸の玄関をすべて中庭からのアクセスとしている点も良い。1階に設けられたビルトインガレージは、車を所有していない住宅にとってはアウトドアリビングとして機能させることも意識されている。複数戸の分譲住宅の開発としてプロトタイプにもなり得る提案であると思う。

  • NOEN ~エンが暮らしを豊かにする~  ポラスガーデンヒルズ(株)

<概要>

● 地役権を設定した2つの広場「広縁」と「くつろぎの縁」、双方を繋げる「園路」を設けて住民が共用するスペースとし、隣棟間隔を広げゆとりあるものにしています。かつてブルーベリー畑だった土地の記憶を引き継ぎ、ブルーベリーの他、20種200本の樹木を植え、境界を区切るフェンス等の構造物を最小限にとどめることで、緑あふれる野山のような心地良い空間を再現しました。

● 旗竿地にありがちな2台の車が縦列駐車するアプローチを廃し、全8棟のカースペース16台分を道路側に配置し、並列駐車可能なレイアウトにしました。車の出し入れのしやすさに加え、住まいや遊び場とカースペースをしっかりとゾーン分けすることで、安全で緑豊かな空間を設けることができました。

<審査員評価>

8棟の住宅を巡るU 字状の園路を計画し2 つのポケットパークをうまく絡めることで、小さな街区に回遊性と広場性を巧みに計画している。歩行地役権や植栽管理の学びの場作りなど、共有空間の豊かさの持続性にも配慮が行き届いている。平面計画も丁寧で遠路からの距離と繋がりが上手につくられているので、住宅の内部と外部とがさらに効果的に連続するような空間言語の開発にも今後は期待をしたい。

  • RELA セントラルデッキのある「木まま」な暮らし  ポラスガーデンヒルズ(株)

<概要>

● 共有地のある分譲地が抱えるプライバシーへの配慮という課題に着目し、コミュニティゾーンとプライベートゾーンが共存する分譲地の在り方を提案しました。全棟165㎡以上の敷地を、土地利用協定の導入や建物配置を工夫する事で有効に活用し、各世帯の交流の場となるコミュニティゾーンと、周囲からの視線を気にせず過ごせるプライベートゾーンをバランス良く配置しています。

● コミュニティゾーンには各棟の窓から気軽に出入りできる広いセントラルデッキを配置。中心にはシンボルツリーを配した他、タープやこいのぼりが取り付けられ、非日常的風景が共有できるセンターポールを設置。

従来の共有地からアップデートされた空間となるようにデザインしました。

<審査員評価>

3戸の分譲住宅の中心に設けられた共有の木の下のデッキの空間が気持ち良さそうである。セントラルデッキと呼ばれるウッドデッキの空間には、シンボルツリーが配されタープを設置できる工夫もされているところが良い。ウッドデッキには段差が設けられ、住民が気軽に座って関われそうな場となっている。コミュニティーを育む場として機能しうる点が評価された。それぞれの住戸に共有の庭とともに、プライバシーの守られた庭も別に用意されている提案性も興味深い。

  • 防災意識を高め、循環しつづける街  ポラスタウン開発(株)

<概要>

● フェーズフリーの考え方を取り入れ、日常の暮らしの中で自然に「共助」と「自助」を学び、実践できるよう工夫しています。分譲地の中心に共有地をつくり、普段は子どもたちの遊び場として利用し、災害時には防災拠点となるよう計画。防災に役立つアイテムを設置しました。家の中にも防災対策を盛り込み、家の外は気軽にコミュニティを育める外構計画としました。

● 多様な人が集まるコミュニティを形成するための街区計画を考え、住民主動の管理組合を結成し、防災への意識が継続する仕組みを整えました。地域のコミュニティの拠点として、分譲地の枠を越えた「共助」と「自助」を広げる役割を担う分譲地となることを目指しました。

<審査員評価>

全37戸の分譲地の開発である。テーマは防災であり、非常時に備えるために各住宅に防災基盤を整え、さらにはエリア全体として防災意識が高まるような共助的運営を支援するというプロジェクトの核は意図が明快である。災害発生に備えて必要な防災設備を整えるというハード面だけでなく、地域コミュニティでの積極的な共助を促すソフト面の両輪に取り組もうとする姿勢が高く評価された。

  • 継承の家  ポラテック(株)  POHAUS、(株)ポラス暮し科学研究所

<概要>

● 「時節の行事を楽しむ」日本の伝統文化を現代のライフスタイルに適した形で実現する住まいです。四季を感じ、日常生活の中に時節の行事を融合し、楽しみながら後世に残していく。四季の移ろいを感じ、情緒溢れる室礼を楽しむ住まい。

● 日本の四季に適応し、風雨をしのぎ、日陰をつくる2mを超える深い軒、外と内を曖昧に一体となって繋ぐ濡れ縁、「間」を仕切る格子など、日本の伝統的な手法と、耐震や環境などの基本性能を融合させ、人によって育まれてきた日本文化を、後世に継承する現代の住まいを提案しています。

<審査員評価>

日常生活の中に、日本独自の時節の行事を取り入れ、家族のコミュニケーションや、後世に語り継ぐストーリーを誘発することを目標とした住宅。深い軒下空間とゆったりとしたサイズのベンチによる縁側空間、リビングに設けられた椅子座としても床座としても活用することができる掘り込みの空間など、部屋名とは異なるささやかな居場所を家の内外にちりばめることで、家の中でのアクティビティやシーンを増やすことに寄与している。 コロナ禍を経て、家での活動を見直す人々のニーズに寄り沿った住宅である。

  • 腕の良い職人育成システム〔Design & Quality 大工制度〕 

    ポラテック(株) POHAUS、北辰工務店、DQ工事課

<概要>

● 優秀な建築大工職人の育成システム。職人の高齢化や職人不足が加速している中、優秀な技能を継承するだけでなく、その技術を用いて、建築現場に活かし続ける環境整備が必要です。この仕組みは、若い職人には一人前への「ロードマップ」、一人前になった後は「更なる技術の研鑽」を促すものです。

● 建築大工は「人手不足」「高齢化」の問題を抱えており、伝統的な木造軸組み工法の技術・技能の承継も危機的な状況にあります。職業上のライフプランが見通しづらく、不安定であることが、なり手不足の原因としてあげられます。そこで、地位・収入の向上、職人の理想像の醸成、万一病気等になった際の保証等を確保する仕組みをデザインしました。

<審査員評価>

日本における木造建築物、特に最も数多く供給される木造住宅は、戦後以降の人口急増に伴って、「早く大量に安価に」供給することが急務だった。鉋(カンナ)や鑿(ノミ)といった大工技術特有の道具を使って、現場で木材を丁寧にきざんでいた様子はほとんど見られなくなり、現在においては、その多くが工場加工のプレカット部材となり、それを組み立てることが大工の主な仕事になってしまった。それによって、住宅という建築そのものもプレカット工場の機械で製作可能な範囲のデザインしか供給できなくなり、特殊な要望は実現不可能か、もしくは、高度な技能を保有する数少なくなった大工の確保のため、相当の高価格でしか実現できない状況に陥っている。これは、日本の住宅文化そのものの危機だ。この企業は、日本の未来に危機感を抱き、住宅供給メーカーとしてその課題に率先して取り組んでいるが、一方で、大工の跡継ぎを増やし、技術承

継を進めていくためにも、「技術に金を払う」という当たり前の思考も日本に定着させる必要がある。毎年少しずつかもしれないが、この取り組みの重要性が広く認識され、同様の取り組みが日本中に広がっていくことを強く願っている。

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