ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を開始(ニュースレター)

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 大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市北区、社長:芳井 敬一、以下「大和ハウス工業」)と大和リビング株式会社(本社:東京都新宿区、社長:匝瑳 繁夫、以下「大和リビング」)は、エネルギー事業を展開する株式会社サンワ(本社:群馬県前橋市、社長:遠藤 宗司、以下「サンワ」)とともに、サンワが事業主となる新築賃貸住宅「(仮称)エコンフォート前橋駒形」(以下、「本物件」)において、雨天時でも約10日間の停電に対応可能(※1)な、「全天候型3電池連携システム」を搭載した、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を、2023年12月27日より開始します。
※1. 水道、ガスが使える場合。

【実証実験(イメージ)】【実証実験(イメージ)】

 近年、気候変動の影響で大型の台風や記録的豪雨など大規模な自然災害が多発し、一次災害(※2)や二次災害(※3)を見据えた対策が必要とされています。また、2018年9月には、北海道‎胆振東部地震により、北海道全域におよぶ大規模な停電「ブラックアウト」が発生し、2日間にわたり停電が続きました。そのため、災害時においてライフラインが復旧するまでの間、生活可能な環境を整えるために、再生可能エネルギーの活用や防災に配慮した住宅のニーズが高まっています。

 大和ハウスグループ「第7次中期経営計画(2022年度~2026年度)」においては、「すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラルの実現」を重点テーマの一つとして掲げ、戸建住宅への高効率設備の導入による省エネや太陽光発電システムの搭載などの創エネにより、ZEH(※4)への対応を推進するとともに、防災配慮型の太陽光発電システムや家庭用リチウム蓄電池を採用した戸建住宅の提案などを進めています。

 そのような中、大和ハウス工業と大和リビング、サンワの3社は賃貸住宅の脱炭素および最適なエネルギー設備の運用や、エネルギー制御システムの改善・開発、導入コストの削減などを図るため、サンワが事業主となる本物件において、2023年12月27日より2025年12月26日までの2年間、エネルギー効率などのデータの収集・分析に関する実証実験を開始することとしました。

 本実証実験では、本物件に「全天候型3電池連携システム」とカーボンニュートラルLPガスを採用し、3社が設備のエネルギー供給状況・稼働率、余剰電力量のデータを集積し、分析・評価を行います。

※2. 地震による倒壊や風水害による破損・水没など直接的な被害。

※3. 一次災害に続いて発生する停電等のライフラインの被害や、被災後の暮らしに支障をきたす住まいの被害。

※4. ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。断熱性・省エネ性能を高め、再生可能エネルギーなどにより、エネルギー収支ゼロを目指す住宅。

   

●ポイント

1.約10日間の停電に対応可能な「全天候型3電池連携システム」を採用

2.カーボンニュートラルLPガスの採用

  

1.約10日間の停電に対応可能な「全天候型3電池連携システム」を採用

 本実証実験で採用する「全天候型3電池連携システム」は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を大和ハウス工業が開発した「切換盤」で連携させることで、停電時の電力と給湯を確保するとともに、通常時の光熱費を削減するシステムです。「切換盤」を設置することで、エネファームで発電した電力を家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄え、家庭内で使用することもできます。

 本実証実験では、「全天候型3電池連携システム」を本物件の全戸に搭載するとともに、大和リビングとサンワが各戸のご入居者が日常生活で使うエネルギーや設備の稼働率、余剰電力量のデータを分析します。

●通常時

 電力使用量を削減するために、1日を通してエネファームで発電した電力に加え、昼間は太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で使用することができるため、年間光熱費を削減することができます。供給したエネルギーや稼働率、利用状況については、大和リビングが各戸のご入居者にヒアリングを行うことで、データを蓄積し、分析します。

●停電・雨天時

 一次災害や二次災害に伴う停電時に、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として、生活に必要な電力を供給します。停電が長期に亘る場合、エネファームが発電する電力を家庭内で使えるほか、家庭用リチウムイオン蓄電池に蓄えることで、雨天でも約10日間の電力と給湯を確保できます。

 

●停電時利用可能な設備

各戸のLDK照明、冷蔵庫、コンロ(ガス)、お風呂(ガス)、トイレ、電源コンセント

【実証実験 詳細図】【実証実験 詳細図】

2. カーボンニュートラルLPガスの採用

 本実証実験で採用するカーボンニュートラルLPガスは、原料採取から最終利用までの全ての過程で排出されるCO2を植林や森林管理などによる環境保全活動などにより差し引き、実質「ゼロ」とみなすことができるプロパンガスです。本物件では、エネファームでのカーボンニュートラルLPガスの採用や太陽光発電システムの搭載などにより、一般的な賃貸住宅(※5)と比較して、CO2排出量収支を200%削減(※6)します。また、各戸に配置される分散型エネルギーのため、ガスの供給が遮断された災害時などにおいても個別に調査・点検を行うことで、都市ガスや系統電力に比べて相対的に早く復旧させることができ、防災にも配慮したエネルギーとして適しています。今後もカーボンニュートラルガスの普及のため、データを蓄積し、課題の洗い出しを行うことで、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に繋げていきます。

※5. 国土交通省が公布した「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」で定められた、平成11年基準相当の外皮と標準的な設備を有する建物。

※6. 一棟あたりの年間CO2排出量収支が14.91tからマイナス14.99tとなり、29.9t削減。国立研究開発法人 建築研究所が提供する「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム」を利用した理論値であり、実際のCO2排出量は利用方法などによって変動。

■今後について

 本実証実験の結果を踏まえ、カーボンニュートラル社会の実現に向け、高効率な利用方法やエネルギー制御システムの改善・開発、導入コストの削減など、最適な提案・技術的な進展およびネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化を目指すとともに、ZEH-M(※7)対応の賃貸住宅をより推進することで、賃貸住宅の脱炭素化による環境負荷の低減に寄与します。

 また、両社がこれまで培ったノウハウを活かした快適性と利便性の高い住まいの実現を図り、ご入居者に災害時のストレスを低減させる間取りやサービスのほか、IoTとの連携なども提案することで、安全・安心を提供できる環境配慮型の賃貸住宅を供給してまいります。

※7. ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称。断熱性・省エネ性能を高め、再生可能エネルギーなどにより、エネルギ―収支ゼロを目指す集合住宅。

 

【実証実験概要】

内容:ご入居者の快適性・意識調査の実施や各設備のエネルギー供給状況・稼働率、余剰電力量のデータを集積し、分析・評価

期間:2023年12月27日~2025年12月26日

■「(仮称)エコンフォート前橋駒形」について

 本実証実験を行う「(仮称)エコンフォート前橋駒形」は、全戸『ZEH』(※8)仕様、かつ住棟単位で『ZEH-M』(※9)の基準を満たし、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」(※10)による第三者認証を取得しました。

 全戸の窓に高性能断熱材や複層ガラスを採用することなどにより、建物全体の断熱性能を向上させたほか、エネファームやLED照明などの高効率設備を導入。優れた断熱性能により寒暖差の少ない快適かつ健康的な住環境と省エネを実現します。また、屋上には太陽光発電システム(発電出力:約4kW/戸)を設置し、発電した電気は各戸で使用するとともに、発電して使い切らなかった電気は、家庭用リチウムイオン蓄電池(5.4kWh/戸)に蓄えることで、夜間や停電時にも利用できます。

※8.  ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略称。断熱性・省エネ性能を高め、再生可能エネルギーなどにより、エネルギ―収支ゼロの住宅。

※9.  ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス・マンションの略称。断熱性・省エネ性能を高め、再生可能エネルギーなどにより、エネルギ―収支ゼロの集合住宅。

 ※10. 建築物省エネルギー性能表示制度のことで、新築・既存の建築物において、省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度。

【物件概要】

物件名称:「(仮称)エコンフォート前橋駒形」

所在地:群馬県前橋市駒形町字善心塚187番1187番5190番7190番8

棟数・総戸数:2棟・16戸

総敷地面積:1,983.8㎡   

総建築面積:477.72㎡(A棟:238.86㎡、B棟:238.86㎡)       

総延床面積:935.78㎡(A棟:467.89㎡、B棟:467.89㎡)

専有面積:52.51㎡(2LDK)~64.46㎡(2LDK)

構造・階数:軽量鉄骨造・地上2階建て

事業主:株式会社サンワ

設計・施工:大和ハウス工業株式会社

着工:2023年7月14日

竣工予定:2023年12月6日

入居開始予定:2023年12月27日

総太陽光発電出力:65.26kW(A棟:32.63kW、B棟32.63kW)

【外観(イメージ)】【外観(イメージ)】

    

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