本機器は既存の画像診断では診断や術式決定が困難な複雑先天性心疾患患者の心臓構造を診断するために提供され、手術計画の立案の支援を目的とした日本初のクラスⅡ医療機器(管理医療機器)となります。
当社はこれまで国循のオープンイノベーション・ラボに入居し、白石 公先生(小児循環器内科)及び黒嵜健一先生(小児循環器内科部長)との医工連携により、精密3Dプリンタ技術である光造形法※1と新しい鋳型技術である真空注型法※2を応用して、立体構造が複雑な小児の心臓形状を内腔までリアルに再現した、テイラーメイドの「軟質実物大3D心臓モデル」※3の開発・製作を行ってきました。
<参考>小児先天性心疾患の軟質実物大3D心臓モデル(左)とそれを用いた手術リハーサル(右)
本機器は、国循主導による全国多施設参加の医師主導治験で高い有効性と安全性が証明され、2022年10月31日に医薬品医療機器総合機構に医療機器承認申請を行いました。その結果、各種審査を経て、2023年7月27日付けで厚生労働省よりクラスⅡ医療機器(管理医療機器)としての承認を受けました。この「軟質実物大3D心臓モデル」の使用目的は、「既存の画像診断では診断や術式決定が困難な複雑先天性心疾患患者の心臓構造を診断するために提供し、手術計画の立案の支援に他の診断情報と併せて用いる」とされています。
本機器を用いると、先天性心疾患患者さんの複雑な心臓の立体構造を事前に正確に把握できるとともに、実際の手術前に外科医がメスやハサミや糸を使って手術のリハーサルを行うことが可能となり、より安全で正確な心臓外科手術を迅速に行えることが期待されています。
現在は、本機器を複雑な先天性心疾患患者さんに広く使ってもらえるようにするため、保険償還を目指した最終準備を進めています。
※1 液体の光硬化性樹脂にコンピュータで制御されたレーザ光線をスキャン照射して硬化させて薄い平面形状を一層ずつ作成し、それを何層にも積み重ねることで立体造形を行う方法。
※2 液体樹脂を真空状態で鋳型に流し込み樹脂製品を作る方法。型の隅々まで樹脂が行き渡るため、高精度の造形が可能。
※3 従来は「超軟質実物大3D心臓モデル」と表記しておりましたが、審査の過程において「軟質実物大3D心臓モデル」に名称が変更となりました。
【本件に関するお問合せ】
株式会社クロスメディカル 営業グループ 石田
TEL : 075-612-3900 MAIL: info@xcardio.com
※本機器の開発研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医工連携事業化推進事業「立体構造が極めて複雑な先天性心疾患患者への3Dモデル診断による術時間削減を実現する、オーダーメイド型超軟質3D精密心臓モデルの開発・事業化」 (2017-2019年度)の支援により実現されました。