2012年に刊行した 『日中関係史 1972-2012』(全4巻)ではカバーできなかった時代を扱い、政治、経済、国際環境、認識、感情等、複数の要因がダイナミックに作り上げる⽇中関係の実相を描いています。日中関係の変質がより明らかになる2001年、21世紀への転換点を起点とし、2022年までの22年間を3つの時期に区分しつつ、それぞれの日中間の関係性を記述・説明しています。また、時系列的分析を深めるトピックを設定し、この視点から見た日中関係20年を取り上げます。この縦糸と横糸を紡ぎつつ、終章で日中関係の20年を総括し、今後の日中関係を展望しています。現在、米中関係の、とりわけ競争的な側面が過度に強調されて理解される状況にあって、この20年強の日中関係がもつユニークかつ複雑な特徴を読み解きます。
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書籍の内容(出版社のHPより)
1972年の日中国交正常化から50年を迎え、日中関係は、友好から共存へ大きく変化してきた。急速に経済発展をとげ、世界第2位の経済大国となり、超大国となりつつある中国との関係を2001年からの20年間にわたり政治・外交・経済・社会などさまざまな視点から気鋭の研究者が読み解く、新・日中関係の姿。
タイトル:日中関係 2001-2022
発 行 :東京大学出版会
定 価 :3,850円(税込)
刊行日 :2023年5月2日
ISBN :978-4-13-023081-0
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執筆者一覧(2023年3月31日時点)
高原明生* [序章、ラウンドテーブル1・2]
東京大学大学院法学政治学研究科教授
園田茂人* [第一章、第一一章、ラウンドテーブル1・2]
東京大学東洋文化研究所教授
丸川知雄* [第二章、第一〇章、ラウンドテーブル1・2]
東京大学社会科学研究所教授
川島 真* [第三章、第四章、第一四章、ラウンドテーブル1・2]
東京大学大学院総合文化研究科教授
小嶋華津子 [第四章]
慶應義塾大学法学部教授
北野尚宏 [第五章]
早稲田大学理工学術院教授
中里太治 [第五章]
日本国際協力機構(JICA)東・中央アジア部長
松田康博 [第六章]
東京大学東洋文化研究所教授
益尾知佐子 [第七章]
九州大学大学院比較文化研究院教授
李 澤健 [第八章]
大阪産業大学経済学部教授
青﨑智行 [第九章]
白鷗大学経営学部教授
ファーラー・グラシア(Gracia Liu-Farrar) [第一二章]
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
ファーラー・ジェームス(James Farrar) [第一二章]
上智大学国際教養学部教授
杉村美紀 [第一三章]
上智大学総合人間科学部教授
江藤名保子 [第一四章]
学習院大学法学部教授
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目次
序章 21世紀の日中関係――四要因モデルとは何か(高原明生)
I 時代を読む
第1章 反日ショックと国力逆転――2001-2009(園田茂人)
第2章 首脳交流から全般的関係改善へ――2010-2019(丸川知雄)
第3章 安全保障の時代へ――2020-(川島真)
II 錯綜する像、複雑な力学
ラウンドテーブル(1)(高原明生・園田茂人・丸川知雄・川島真)
III キーワードで読む
i 政治外交・安全保障
第4章 歴史認識問題(川島真・小嶋華津子)
第5章 ODA――援助/被援助関係の終了(北野尚宏・中里太治)
第6章 台湾ファクター――悪循環の構造化(松田康博)
第7章 東シナ海――緊張関係の最前線(益尾知佐子)
ⅱ 経済・産業
第8章 自動車産業――日本からの技術移転と中国メーカーの台頭 (李澤建)
第9章 コンテンツ産業――統制と競合の諸相(青﨑智行)
第10章 移動通信産業――日中逆転の力学(丸川知雄)
ⅲ 社会・認識
第11章 相互認識――調査と知見の日中関係史(園田茂人)
第12章 国際人流――不均質でトランスナショナルな空間の形成(James Farrer & Gracia Liu-Farrer)
第13章 学術交流――脆弱性と強靭性の共存(杉村美紀)
第14章 民間交流――政治による関与と多様化の相剋(川島真・江藤名保子)
IV 日中関係の過去と未来
ラウンドテーブル(2)(高原明生・園田茂人・丸川知雄・川島真)