商船三井、創立記念日 社長メッセージ

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株式会社商船三井社長 橋本剛による全役職員向け「創立記念日 社長メッセージ」を下記の通りお知らせします。
商船三井グループのみなさん、創業139年目となる2023年度が始まりました。

社長 橋本の創立記念メッセージの様子社長 橋本の創立記念メッセージの様子

昨年度の業績は、2021年度から続く好調な海運市況と円安効果により、2年連続で過去最高益を更新する見込みです。2021年度に続きONEの利益貢献は大きなものでしたが、高騰が続いていたコンテナ運賃は昨年半ばから急落し、下期はコンテナ船特需の恩恵はなくなりました。一方、自動車船事業やタンカー事業が下期業績のけん引役となり、通期で好決算を達成することができました。それぞれの事業が期待される利益貢献を果たし、海運市況の波をグループ全体の成長に繋げることができたと思います。昨年度の商船三井グループ全役職員の努力に感謝します。

新経営計画 BLUE ACTION 2035

・BLUE ACTION 2035の基本的な考え方

3月31日、Rolling Plan 2022に代わる新たな経営計画BLUE ACTION 2035を発表しました。当社は、変化の著しい経営環境に対応するため、毎年戦略をレビューするローリングプランを2017年度より開始し、財務体質の改善と事業ポートフォリオの変革を進めてきました。当初掲げた2027年度の経常利益目標1,500~2,000億円を2021年度に前倒しで達成し、Rolling Plan 2022ではグループのグローバルな成長をテーマに、ポートフォリオ戦略、地域戦略、環境戦略の実行と、それらを支える重要な経営基盤であるDX・組織力強化に向けた取り組みを進めました。また、昨年度はMOL Sustainability Plan(MSP)を発表し、サステナビリティ課題への取り組みを強化しました。いずれも将来のありたい姿を見据えた重要な取り組みであり、昨年度はBLUE ACTION 2035に繋がる布石を着実に打つことができた1年であったと思います。私自身、Rolling Plan 2022の成果に確かな手応えを感じています。

今年度からスタートするBLUE ACTION 2035は、6年ぶりの中・長期経営計画です。直近2年間、財務体質は急速に改善し、当社グループに対するステークホルダーの期待も大きく変化しています。当社グループはあらゆる面で変革を進め、新たなステージでグループビジョンの実現に向け進んでいきます。BLUE ACTION 2035では、Rolling Plan 2022での構想や取り組みをさらに発展させ、2035年をゴールとするグループビジョン実現に向けた大きな方向性を示しています。主なポイントについて述べます。

・サステナビリティ経営

BLUE ACTION 2035では、これまで当社グループの事業活動の両輪としていたRolling Plan 2022とMOL Sustainability Planを融合し、サステナビリティ経営をより強く表現しています。サステナビリティ経営は、長期的な戦略に基づき、社会課題や環境面からも受容できる、持続的な成長の実現をめざすものです。企業理念・MOL CHARTSの精神に沿ってBLUE ACTION 2035に取り組むことでサステナビリティ課題を解決し、それが企業価値の向上、最終的にはグループビジョンの実現へと繋がっていきます。

・事業ポートフォリオの変革

今回、グループビジョンの具体的な企業像として2035年のありたい事業構造を定め、それに向けた事業ポートフォリオの変革を打ち出しました。事業ポートフォリオの変革は、安定的な収益が見込める事業の割合を高め、ボラティリティの高い海運事業の市況低迷時においてもグループ全体で黒字を確保できるよう、事業の構成をリバランスすることを意味しています。近年、当社グループは海洋事業、風力発電事業、不動産事業、フェリー・クルーズ事業等、海運市況との相関性が低い事業への投資を強化してきました。BLUE ACTION 2035においても、そうした非海運事業への投資を積極的に進めます。もちろん、“安定収益型”事業に偏りすぎては株主の方々が期待する利益水準に達しないため、ボラティリティが高く、一方で好市況時に高いリターンが期待できる“市況享受型”事業とのバランスが重要となります。2035年の”市況享受型”事業と”安定収益型”事業の比率をアセットベースで40:60と設定し、今後各事業への投資規模を適切に管理し、目標とする利益水準の達成をめざします。

・主要3戦略

BLUE ACTION 2035では、Rolling Plan 2022の3戦略を継承しています。先に述べた事業ポートフォリオの変革を実行するポートフォリオ戦略では、ROA目標を事業毎に設定し、資本効率の改善と適正な事業ポートフォリオの管理を行います。加えて、将来のIFRS導入を見据えた経営管理の高度化、ポートフォリオ変革に必要なM&Aの推進も含みます。地域戦略では、世界経済の重心が変化する中、より特定の地域での事業開発・運営が重要となります。後に述べますが、地域組織の拡充やサポート体制を強化します。環境戦略では、環境ビジョン2.2で設定した中長期目標を着実に達成するため、環境投資を積極的に進めます。

・サステナビリティ課題への取り組み

主要3戦略を支える重要な経営基盤として、環境、安全、人財(HC)、DX、ガバナンスの5つを、当社グループの持続的な成長の実現に向け整備していきます。なかでも、これから変革をしていく当社グループにとって、未来を見据えたHCビジョンとDXビジョンは特に重要なものであり、先月これらを策定・発表しました。HCビジョンでは、多様性、共走・共創、働き甲斐の3つの基本原則を定め、グループ全役職員一人ひとりの力を引き出し、事業変革を支えていきます。DXビジョンでは、デジタルと共創の力で、ビジネスとカルチャーの両面から事業変革を推進していく方向性を示しました。

環境は、環境ビジョン2.2のもと、積極的な環境投資とGHG削減目標に向けた各種施策強化を進めます。安全は、私たちが常に最優先で考えてきたテーマですが、テクノロジーの急速な進化もあり、未来からのバックキャストで安全への取り組みを考える必要があります。また、事業領域の拡大に伴い、グループ全体の安全ビジョンも必要です。今期中に安全に対する考え方をまとめ、安全ビジョンを発表したいと考えています。ガバナンスは、コーポレートガバナンスの強化と経営管理の高度化、経営リスクに対するインテリジェンス強化等、全般的な高度化を進めていきます。

2023年度の体制・組織について

本日より新組織・体制が本格的にスタートしました。新年挨拶でも述べましたが、2つのポイントについて改めて触れておきます。

1つは地域戦略を推進するための体制です。グループの組織をコーポレート組織・営業組織・地域組織の3つの並列する組織に分割し、それぞれが連携・協業・牽制をする体制となります。地域組織が迅速かつ主体的に新規の事業開発を進めるため、地域組織への権限委譲と地域組織の拡充を進めました。同時に、グループ全体の経営課題への対応とグループガバナンス強化を目的としたチーフ・オフィサー制を導入し、地域組織の戦略をサポートする体制を整備しました。しかしながら、体制や仕組みは整備しましたが、実際の運用は簡単ではないと思います。目的を実現するためには、組織間で質の高いコミュニケーションを実施し、真の協業にまで高めていくことが何より重要です。これは特に強調しておきたいポイントです。

次に、ポートフォリオ戦略の推進、非海運事業の拡大を支える体制です。今回、BtoC事業の性質が強い事業をまとめ、ウェルビーイングライフ営業本部を設置しました。昨年度は、不動産事業、クルーズ事業への大規模な投資を決定し、今後も積極的に成長を目指します。モノ消費からコト消費へと、人々の豊かさに対する価値観が変化するなか、社会のニーズを的確に捉え、新たな価値の提供に向け挑戦していきます。グループ全体で、ウェルビーイングライフ事業を盛り上げていきましょう。

 
最後に

これまで述べた通り、今年度は新しい経営システムのもとで新しい経営計画に取り組む1年となります。事業領域、組織の規模・機能が広がっていきますので、組織間の連携・協業等、思い通りに進まないことも多く出てくると思います。一人ひとりが都度商船三井グループのミッション、ビジョン、バリューを確認し、商船三井グループの一員としての誇りと責任感を持ち、様々な課題を克服していって欲しいと思います。

当社は創業以来、海上輸送を通じ、地域の産業の発展に貢献し、人々の暮らしを豊かにすることを自らの社会的責務としており、その志・精神は現在も変わりません。その社会的責務の前提は安全運航・安全品質であり、それはこれからも変わらない最も重要なテーマであることをここに確認しておきます。

私もみなさんと一緒に全力で挑戦し、実り多い1年にしていきたいと思います。共に頑張りましょう。

以上

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