当社はこれまで自社データセンターにおいて、液浸技術によるサーバー消費電量の低減の実証(注1)や、再生可能エネルギーの活用によるグリーン化などを進めており、現在は自社設備での再エネ発電も推進しています。一方で、当社を含め都心のデータセンターにおける太陽光発電は、一般的にパネルの設置が難しく導入が進んでいません。このため、都心での再エネ活用には郊外に設置した太陽光パネルからオフサイトPPA(注2)や自己託送制度(注3)を活用して送電する必要があり、コスト面や送電負荷によるロスに課題があるとされています。このたび、積水化学工業が開発したフィルム型の太陽電池を活用し、都心の既存設備で再エネ発電・利用をすることで、再エネ地産地消を実現しこれらの課題解決をめざします。
【背景】
NTTデータは、2030年までにScope1・2を60%削減(2016年度比)、2040年にScope1・2カーボンニュートラル、2050年までにScope1-3ネットゼロを目標としています。2022年4月からは、当社が入居する豊洲センタービルと同アネックスビルでの使用電力や、主要サービス(決済/金融関連のANSER®、CAFIS®、およびデジタル・トランスフォーメーション基盤のOpenCanvas®)の運用で使用する全電力を、100%再生可能エネルギーとしてきました(注4)。また、沖縄IT津梁パークにて、NTTデータグループがBPO事業を展開する2号棟および7号棟で使用する電力をカーボンニュートラル化する予定(注5)です。
脱炭素に向けては、エネルギーの地産地消による送電負荷削減のためオンサイトでの再エネの導入は重要になりますが、従来型の太陽電池は都心部では屋上や敷地内に設置場所の確保が難しい、設置荷重が大きく既存建物の設計荷重を超過するといった導入における課題があります。そこで軽量で設置場所への制約が少ない次世代型発電池であるペロブスカイト太陽電池を採用し、外壁面への設置手法や発電効率について検証を行います。
【ペロブスカイト太陽電池とは】
既存の太陽光発電パネルは大型で、都心に大規模な発電環境を設けるのは難しいとされてきました。このため、郊外の大規模な土地で発電し、オフサイトPPAや自己託送を活用して電力を利用する施設まで送電を行うのが一般的で、コストや送電負荷によるロスが課題とされてきました。
ペロブスカイト太陽電池は、積水化学工業が開発したフィルム型のもので、軽量で柔軟性が高い特長があります。このため、都心の既存建物への設置も、従来型のものと比べて容易であり、都心部での再エネ地産地消の促進が期待できます。
【実証実験概要】
・実証実験期間
2023年4月ごろ~2024年3月ごろ(Phase1:積水化学工業 開発研究所における課題抽出)
2024年4月ごろ~2029年3月ごろ(Phase2:NTTデータ データセンターにおける実証)
・設置場所
積水化学工業 開発研究所
大阪府三島郡島本町百山2-1
地上5階建
NTT品川TWINSデータ棟
東京都港区港南1丁目9-1
地上12階建/地下2階
・主な実証実験内容
設置方法や太陽電池モジュールの固定方法の確立
外壁面(垂直面)での発電効率の測定、予測値と実測値の比較検証
塩害地域での耐久性検証
都心部建物での施工性検証
発電した再エネのデータセンター内利用
・各社の役割
社名 | 役割 |
NTTデータ | (Phase1) 外壁への設置方法の検討(2社共同) (Phase2) 外壁への設置方法の検討(2社共同) フィールド提供 設置工事 発電量計測 |
積水化学工業 | (Phase1) 外壁への固定方法の検討 発電効率のモニタリング 発電量計測 (Phase2) 太陽電池モジュールの提供 外壁への固定方法の検討(2社共同) 発電量予測 |
【今後について】
今後NTTデータは本実証に基づいた設置方法により全国の自社ビルへの展開進めます。ペロブスカイトおよびその他の施策などとも組み合わせていくことでFY2030にデータセンターのカーボンニュートラルをめざします。また、設置方法の実証により既存建築物の外壁への再エネ導入手法を確立することで、自社だけでなく社会資本としてストックされた都心部の既存建築物の脱炭素化に貢献します。
【NTT DATA Carbon-neutral Vision 2050】
NTTデータでは環境方針、環境目標に基づき、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた新たなビジョンNTT DATA Carbon-neutral Vision 2050を策定し、取り組みを行っています。
NTTデータは2050年の社会のカーボンニュートラルに向け、Green Innovationを通じ、自社のサプライチェーンを通じた温室効果ガスの排出削減のみならず、お客さまや社会のグリーン化へ貢献をしていきます。2040年にScope1、2のカーボンニュートラル、2050年にScope1~3のネットゼロ実現を図ります。
注1 「液体の中でICT機器を直接冷却する新方式で、冷却エネルギーを最大97%削減」(2022年6月6日)
注2 オフサイトPPAとは再エネ電源の所有者である発電事業者と電力の購入者(需要家等)が、事前に合意した価格及び期間における再エネ電力の売買契約を締結し、需要地ではないオフサイトに導入された再エネ電源で発電された再エネ電力を、一般の電力系統を介して当該電力の購入者へ供給する契約方式です。
注3 自己託送制度とは需要家または発電事業者が、電力需要施設の敷地外において太陽光発電を設置し、そこで発電した電力量を電力系統を経由して、同事業所に供給・消費する仕組みです。
注4 「ANSER®/CAFIS®/OpenCanvas®へ再生可能エネルギー100%導入開始」(2022年3月16日)
注5 「沖縄IT津梁パーク(企業集積施設2号棟・7号棟)のカーボンニュートラル化について合意」(2022年4月27日)
*「ANSER」「CAFIS」「OpenCanvas」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。