500万枚の実例から5つの住生活トレンドを分析10年間のユーザーの投稿写真や行動データをもとに価値観の変化を見える化

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住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォーム「RoomClip( https://roomclip.jp/ )」を運営するルームクリップ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:髙重正彦)は、5月2日にサービス開始10年を迎えたことを記念し、10年間で500万枚以上におよぶユーザーの投稿写真や行動データをもとに、価値観の変化を見える化する取り組みとして、住生活トレンドを分析したレポートを「RoomClip住文化研究所」より発表いたしました。

本レポートは、2012年5月に住まいと暮らしのソーシャルメディアとして「ルームクリップ」がスタートして以降、10年間において暮らしのニーズや課題がトレンドと共にどのように変化し、生活者がどのように試行錯誤をしてきたかを把握するためにまとめたものです。
 

  • レポート発表の背景

ルームクリップは、家具や家電、雑貨などインテリアの写真を投稿・閲覧できる、住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャプラットフォーム「RoomClip( URL: ​​https://roomclip.jp/ )」をスマートフォンアプリとインターネットのウェブサイトにて展開しています。現在月間ユーザー数は600万人、写真枚数は500万枚を超えます。

2021年3月からは、RoomClipに投稿されている投稿写真、実際にアイテムを利用しているユーザーの生活シーンを参考にしながら、アイテムを購入できるソーシャルコマースプラットフォームとして「RoomClipショッピング( URL: https://roomclip.jp/shopping/ )」も提供しています。

サービス開始から10周年を迎えるにあたり、10年間におよび投稿された写真や、ユーザー行動データを分析した結果、SNS「映え」の時代からコロナ禍まで、価値観の多様化がすすむ中で住生活では5つのトレンド変遷が起きていることがわかりました。
 

  • 主な分析結果

 

1)2012年頃〜SNS黎明期のトレンドの中心は「インテリアスタイル」

住まいと暮らしのコミュニティで初めに起こったのは、わかりやすい見た目のこだわりを発信する「スタイル系」トレンド。リビングやキッチンだけでなく、寝室や玄関、トイレなど、住まいのあらゆる部屋の写真に「男前インテリア」や「西海岸インテリア」などのスタイル名のタグを付与して投稿する人が増えました。

2)2014年頃〜「収納系トレンド」が興隆
スタイル系の盛り上がりを追うように始まり、その後も2014年から2017年にかけて継続的に新しいキーワードが発生したのが収納系トレンドです。何か新しいトレンドが発生するたびに、それの下支えとなる「舞台裏」的な立場で収納トレンドが継続的に発生しました。

3)2015年頃に生まれた「◯◯な暮らし系トレンド」
2015年頃から発生したのが、「◯◯な暮らし(以下暮らし)」系のトレンドです。
2016年以降になると、その「愛おしい事柄」の対象はモノや人を超えて、「すっきりと暮らす」「丁寧なくらし」など、家事の行き届いた暮らしのあり様にまで及ぶようになりました。SNSでシェアするコンテンツのフォーカスが「映え」時代で重要視された「視覚」から、「五感・体験」へと移り変わっていく様子が伺えます。

4)2015年頃から盛り上がりを見せた「家事系トレンド」
暮らし系トレンドと同時期に発生したのが家事系トレンドです。
2017年以降になると「ランドリールーム」「ルンバ(ロボット掃除機ブランド)」「食洗機」など、家事の悩みを解決する特定のノウハウやアイテムが多数登場しています。共働き世帯の増加や、2017年の流行語大賞に「ワンオペ育児」がノミネートされるなど、社会的にも家事負担にフォーカスが集まった時代に、その負担を少しでも解消していこうと取り組みを進める生活者の行動が家事系トレンドの推移から浮き彫りになります。

5)2020年以降コロナをきっかけに発生「おうち◯◯」トレンド
2020年4月以降、コロナ禍をきっかけに発生したと言えるのが、「おうち〇〇(以下おうち)」系トレンドです。おうち系トレンドは、これまで家の外で行われた活動の数々がステイホームによって制限される中、多くの人がそれらを家の中で再現しようと試みたことに端を発します。再現される事柄に合わせて主に「おうち〇〇」といったキーワードで表現されることが特徴です。
 

  • 総括・考察: 住生活トレンドは視覚的なものから、体験的なものへニーズが移行

1つ目の図は、5つのトレンドを5色に分け、まとめたものです。SNS普及の全盛期にかける「映え」潮流と連動してスタイル系トレンドが2013年頃から発生し、その後、スタイルの実現や暮らしの維持を支えるノウハウである収納を下支えとして、暮らし系トレンド、家事系トレンド、おうち系トレンドが誕生し、順番にピークが移り変わっていったことがわかります。

2つ目の図は、各トレンドの特徴を示したイメージ図です。横軸はトレンドが「視覚的・静的」か、あるいは「体験的・動的」かを示し、縦軸はトレンドの目的が暮らしの「よろこび」を増幅するためなのか「つらみ」を軽減するためのものなのかを示します。これは、そのトレンドが住まいと暮らしに「プラスの要素を与える(付加的)もの」あるいは「マイナスの要素をゼロに戻す(基礎的)もの」かを表しているとも整理できます。 (「つらみ」の語感に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、あえてSNS世代に多用される特徴的なキーワード「つらみ」を従来的な表現にかえて使用しています。暮らしの営みの中にある困難や苦痛に対し「つらい」「きつい」という感情が高い状態を指します)

これらの要素に応じて5トレンドを置くと、発生の時系列順に連動して左から右へスタイル系→収納系→暮らし系→家事系→おうち系の順に付加的なトレンド、基礎的なトレンドを行ったり来たりする配置となります。言い換えれば、住生活のトレンドはよろこびの増幅とつらみの軽減を繰り返しながら視覚的なものから体験的なものへニーズが移り変わっていったと捉えられます。
膨大なデータを分類・分布してわかったのは、コロナ禍などの大きな社会現象も体験しながら、この10年間の暮らしのコミュニティの価値観が変化したことでした。
RoomClipでは日々、創意工夫をしながらポジティブに暮らす生活者のリアルな声が多く共有されています。ライフステージやライフスタイルの変化に合わせて、人々の暮らしや住まいは変化します。入学や卒業、就職や転職、同棲や結婚、出産や子育てなど、個人個人がそれぞれの人生のステージで役に立った設備やモノ、ノウハウといった知恵が投稿されると、同じ状況に直面した別の人がそれを同期的・非同期的にキャッチし、自分なりの新しい方法を上乗せします。この10年とは、その行為の繰り返しによって、より深く、より広く蓄積された生活者の知恵とその発展の軌跡なのだと感じます。
今後も日本の住生活はさらなる世帯構造の変化や、SDGsなどの社会的な要請から生活者起点の新たな掛け算が生まれていくことが予想されます。RoomClip住文化研究所は、これからも住まいと暮らしのトレンドを注視して参ります。
 

  • 分析トレンド詳細

1)2012年頃〜SNS黎明期のトレンドの中心は「インテリアスタイル」

まず最初に発生したのが、2013年頃に生まれた、積極的に「映え」を追求する「◯◯スタイル(以下スタイル)」系トレンドです。RoomClipでも、無骨な素材感や色合いで構成する「男前インテリア」や海外ビーチの開放感をイメージする「西海岸インテリア」など、このトレンドを牽引する多くのインテリアスタイルが誕生しました。

上のグラフは、スタイル系のタグの中で投稿枚数が多いトップ50が500枚に到達した時期をカウントしたものです。2013年から2015年をピークに、2017年頃までにその大半が発生していることがわかります。 2017年以降になると、トップ50に含まれるボリュームの大きなインテリアスタイルはあまり発生していません。唯一目立ったスタイルとして、2020年頃に「韓国インテリア」が発生しています。

RoomClipをはじめとするSNS黎明期といえる2012年頃、住まいと暮らしのコミュニティではわかりやすい見た目のこだわりを発信することがトレンドでした。リビングやキッチンなどの主要な部屋だけでなく、寝室や玄関、トイレなど、住まいのあらゆる部屋の投稿にスタイル名のタグが付与されていました。インテリアに馴染まないものは、リメイクやDIYなどで隠す、改造するノウハウもこの時期多数話題となりました。
新しいインテリアスタイルの発生が見られない近年ですが、比較的若い一人暮らし層で「塩系インテリア」がリバイバルするなど、ファッションのように過去のトレンドが再熱する動きが見られます。

2)2014年頃〜「収納系トレンド」が興隆

その後、スタイル系の盛り上がりを追うように2014年頃発生したのが「収納」系トレンドです。ピークは2017年ですが、何か新しいトレンドが発生するたびに、その下支えとなる「舞台裏」的な立場で様々な収納にまつわるキーワードが継続的に発生しました。
例えば、「見せる収納」は2014年に誕生しましたが、これは見せ方や見た目が重要だったスタイル系トレンドにおいて常に人気のトピックでした。その世界観は押入れの中、シンク下の収納の中、冷蔵庫の中など一般的には「見えない/見せない場所」にも適用され、人目に触れない場所も他者の視線を意識したかのように整えられました。後述する「暮らし系」トレンドが発生する2015年頃には「丁寧な暮らし」を心がける層に人気な「かご収納」や「子どもとの暮らし」に必要不可欠な「おもちゃ収納」が、家事系トレンドが発生する2016年頃には家事や掃除をより効率的に行うために役立つ「吊り下げ収納」「調味料収納」や「ランドリー収納」などが支持を集めたキーワードとして登場しています。

3)2015年頃に生まれた「◯◯な暮らし系トレンド」

2015年頃から発生したのが、「◯◯な暮らし(以下暮らし)」系のトレンドです。
暮らし系トレンドでは、生活者にとって「身近で、些細だけど愛おしい事柄」を優先して住まいを整えることが特徴として挙げられます。 2016年以降になると、その「愛おしい事柄」の対象はモノや人を超えて、「すっきりと暮らす」「丁寧なくらし」など、家事の行き届いた暮らしのあり様にまで及ぶようになりました。SNSでシェアするコンテンツのフォーカスが「映え」時代で重要視された「視覚」から、「五感・体験」へと移り変わっていく様子が伺えます。 「花のある暮らし」「グリーンのある暮らし」「植物のある暮らし」など、植物を取り入れた暮らしや「こどもとの暮らし」がトレンド初期に登場し、その後多様なキーワードが多くのユーザーによって投稿されていきました。

暮らし系トレンドでは、生活者それぞれが大切にするものを中心に、タグとして併用される多様な関連ワードが存在することも特徴です。例えば「植物との暮らし」トレンドでは、ドライフラワーやハーバリウム、寄せ植え、多肉植物といったものから、薔薇やミモザなどの特定の植物にフォーカスしたものに至るまで、キーワードは広がりを見せました。「こどもと暮らす」や「赤ちゃんと暮らす」などのトレンドでは、ベビー用品やおもちゃ、ランドセルや学校で配布されるプリントなど、子育て世帯特有の収納に関する悩みを解決するノウハウが誕生しました。「ペットとの暮らし」トレンドでは、既存の製品がインテリアに馴染むものが少ないというユーザーの悩みに起因したペット用品のリメイクDIYや、隠すノウハウに加え、壁一面のキャットウォーク、庭の大半を占めるドッグランなど大規模な事例が見られるようになりました。また、猫、犬を初め、インコ、うさぎ、ハムスターなど、飼育する動物の種類も多様化が進んでいます。

 

4)2015年頃から盛り上がりを見せた「家事系トレンド」

暮らし系トレンドと同時期に発生したのが「家事」系トレンドです。

家事系トレンドでは、主に「掃除」「洗濯」「料理」のより効率的なこなし方や、便利な設備・道具に関連するトピックが集まりました。
トレンド初期のキーワードは「大掃除」や「掃除」など家事そのものの名称を指すようなものが主で、種類も数えるほどしかありませんでした。ところが、2017年以降になると徐々にバリエーションが増え始め、「ランドリールーム」「ルンバ(ロボット掃除機ブランド)」「食洗機」など、家事の悩みを解決する特定のノウハウやアイテムのキーワードが多く登場しています。

共働き世帯の増加や、2017年の流行語大賞に「ワンオペ育児」がノミネートされるなど、社会的にも家事負担にフォーカスが集まったのがこの頃です。日々の負担を少しでも解消していこうと取り組みを進める生活者の行動が、家事系トレンドの推移から浮き彫りになります。
 

また、最近はこれまでの家事の概念にとらわれない「予防掃除」といったキーワードも注目されています。予防掃除では、汚れやすい場所や掃除が難しい場所にあらかじめマスキングやコーティングを施すなど、掃除をする回数を減らし、楽にするためのノウハウが多く共有されました。他にも掃除に関しては、窓拭きなど大掃除でやっていたような場所の掃除をあえて日常的にやることで労力を分散させるなど、さまざまなルーチンの見直しが進みました。結果、包括的なキーワードとして「小掃除」が2019年を代表するトレンドキーワードに選出されています(RoomClip Award 2019:https://roomclip.jp/mag/archives/68569)。

5)2020年以降コロナをきっかけに発生「おうち◯◯」トレンド

2020年4月以降、コロナ禍をきっかけに発生したと言えるのが、「おうち〇〇(以下おうち)」系トレンドです。

おうち系トレンドは、これまで家の外で行われた活動の数々がステイホームによって制限される中、多くの人がそれらを家の中で再現しようと試みたことに端を発します。再現される事柄に合わせて主に「おうち〇〇」といったキーワードで表現されることが特徴です。

コロナ以前には「おうちごはん」や「おうちcafe」しか存在しなかったおうち系キーワードが2020年6月以降、集中的に激増しました。「おうち時間」「おうちアウトドア」「在宅ワーク(テレワーク)」「宅トレ」などの投稿が特に顕著です。 「おうちアウトドア」では、テラスや庭、あるいはリビングなどにキャンプ道具を広げ、食事をしたりコーヒーを飲んでくつろぐといった「家ナカエンターテインメント」が見出されました。これは「外に出られない子どものストレスをなんとかして解消してあげたい」と願う、子育て世帯の間で特に人気のアクティビティとなりました。「在宅ワーク」に関しては、「働く」と「暮らす」を一つの家の中で両立させるための様々な試行錯誤が多くの家庭で行われました。コロナ前は住まいのワークスペースというと個室が大半でしたが、現在ではLDKの一角にスペースを設けるケースも多く見られます。「宅トレ」では、ヨガマットやバランスボール、ダンベルなどをリビングのテレビの前に設置して、動画を見ながらトレーニングしている様子が見られました。

ちなみに2013年に発生している「おうちカフェ」は、2000年代のカフェブーム世代が家庭に入ったことで生まれたトレンドです。他のおうち系トレンドとは少し違う背景があるため、コロナ禍以前に発生しています。
 

  • 本レポート詳細はこちら

URL:https://lab.roomclip.jp/contents/trends/
 

  • 分析データの概要

・対象データ:RoomCilp投稿データ
・期間:2012/5/1から 2021/12/31

 

家具や家電、雑貨などインテリアの写真を投稿・閲覧できる、住生活の領域に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォームです。スマートフォンアプリとインターネットのウェブサイトを展開しています。現在月間ユーザー数は600万人、写真枚数は500万枚を超えます。RoomClipは日本で最も「実際に人が生活している部屋の写真とデータ」が集まっているサービスです。雑誌やテレビなど年間に100以上の媒体でRoomClipユーザーが紹介されています。
 

  • ルームクリップ株式会社について

​​https://roomclip.jp/
代表者:髙重正彦
設立:2011年11月24日
所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷1-28-1
URL:https://corp.roomclip.jp/
事業内容:「RoomClip」「RoomClipビジネス」「RoomClipショッピング」の企画・開発・運営
RoomClip( https://roomclip.jp/
RoomClipビジネス( https://roomclip.jp/business/
RoomClipショッピング( https://roomclip.jp/shopping/
RoomClip住文化研究所( https://lab.roomclip.jp/
 

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