大麻草に含有される成分の一種であるカンナビジオール(CBD)は難治てんかんの特効薬として治験実施が予定されていますが、同時にサプリメント・化粧品・嗜好品として幅広く流通し、2021年の国内市場規模は180億円と試算されています。これらの用途や有効性についての調査はこれまでに行われたことがありませんでした。
方法と結果:
CBD使用経験者(過去1年以内にTHCを含む大麻使用者を除く)を対象としFacebook,、Twitter、YoutubeなどのSNSを用いて回答を依頼したところ、799件の有効回答が得られました。CBD製品の用途として多かったのはリラクゼーション(77.8%)、睡眠改善(66.3%)、不安(56.2%)、健康増進(50.8%)、抑うつ(47.8%)であり、使用者は平均して5.5の目的に対してCBDを使用していました。
使用前後の各症状についての重症度自己評価で50%以上の改善を自覚していた割合は以下のとおりでした。(頭痛70.9%、慢性疼痛67.8%、睡眠障害67.4%、物質使用障害66.7%、神経痛65.5%、抑うつ62.4%、不安59.6%、関節痛54.5%、膠原病50.0%、皮膚疾患49.7%、てんかん42.1%、ぜんそく37.8%)
一方で副作用が疑われる症状の出現率は7.4%で、重篤なものは認められませんでした。
本研究成果の意義:
この結果は日本国内で食品・サプリメント・雑貨として利用されている製品が使用者の生活の質改善に貢献していることを示す初の検証結果であり、今後てんかん以外の症状に対しても、医療用途での適応拡大を検討する意義があることを示すものと考えられます。
【研究責任者プロフィール】
正高佑志(まさたかゆうじ)1985年生まれ。熊本大学医学部医学科卒。医師。日本臨床カンナビノイド学会副理事長。大麻についての啓発団体”一般社団法人Green Zone Japan”代表理事。2020年に大麻由来のサプリメント(CBDオイル)が国内の難治てんかん症例に有効であったことを学術的に報告し、国内での治験に向けた取り組みの端緒を開いた。著書に「お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社 2021年)」がある。
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【掲載論文についての詳細】
タイトル:日本におけるカンナビジオール製品の使用実態に関する横断調査
著者:正高佑志(研究責任者)、杉山岳史、赤星栄志、新垣実
掲載誌:日本統合医療学会誌(Vol.15 No.2 2022年11月号)
発行:一般社団法人 日本統合医療学会
ISSN:2435-5372