建設業界では、作業員の高齢化や人材不足の課題に加え、2024年4月から36協定(※1)の残業上限規制が適用される予定であることから、建設現場の労働環境の改善や生産性向上に向けたDX推進の取り組みが積極的に行われています。
RFIDとは、電波を用いて、RFIDタグのデータを非接触で読み取る技術で、近年はアパレル業界における商品在庫管理やセルフレジなどで導入が進んでいます。バーコードによる管理では、レーザーなどを用いてタグを1枚ずつスキャンする必要がありますが、RFIDでは電波を用いるため、複数のRFIDタグを一気に読み取ることが可能です。
キヤノンが独自開発したRFIDリーダーは、360°方向に電波を発信するアンテナを有し、移動量検知機能を搭載しているのに加え、小型・軽量を実現しています。そのため、RFIDリーダーを腕に取り付けて使用することが可能で、読み取り作業をせずに通常の現場巡視を行うだけで、RFIDタグを貼り付けたヒトやモノの位置情報を収集することが可能です。また、専用アプリをインストールしたスマホやタブレットを通して位置情報を自動アップロードすることで、クラウド上に登録した現場のマップ上に表示することが可能です。RFIDリーダーは、ニーズに応じて、持ち運びせずに固定設置して使用することもできます。
今回、キヤノンは、大林組の協力のもと実証実験を実施しました。実験では、「Canon RFID 位置情報ソリューション」の活用による、建設現場における建設資材や機材、作業員の正確かつ効率的な所在把握の実現性に関する検証を行いました。ヒト・モノを探す時間の削減による、現場施工管理者の作業管理の効率化や、リソースの適切な配置によるコスト削減などに貢献できることが見込まれます。「Canon RFID 位置情報ソリューション」は、建設現場をはじめ、多数のヒトやモノの位置情報の管理が必要となる医療、物流倉庫、小売、オフィスなど多様な業種において、資材や製品の適正管理、人流把握による販売促進などへの活用が期待されます。キヤノンは、時代のニーズを先導する技術開発を進め、さまざまな分野の産業の進化・発展に貢献します。
※1. 労働基準法第36条に基づく労使協定。