発表のポイント:
◆ 三重県内の2拠点間をIOWN APNで接続し、1台の操作卓から異なるメーカーの複数重機を遠隔拠点から遠隔操作および自動制御することに成功しました。
◆ ローカル5Gと60GHz帯無線LANを用途に応じて使い分けることで、重機の長距離移動や旋回動作を伴う無人化施工を、広域の工事現場で安定して実施できる技術を実現しました。
◆ 今後は現場導入に関する共同検討を進め、i-Construction 2.0でめざしている施工のオートメーション化の普及、および建設業界における人材不足などの課題解決に貢献してまいります。
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)、NTT東日本株式会社(本社:東京都新宿区、社長:澁谷 直樹、以下「NTT東日本」)、大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、社長:相川 善郎、以下「大成建設」)は、施工のオートメーション化のさらなる高度化を目的に、IOWN APN(All-Photonics Connect:NTT西日本提供)とローカル5G(ギガらく5Gセレクト:NTT東日本提供)および60GHz帯無線LAN(WiGig※1)を活用した環境を構築し、大成建設の接続切替システムにより、離れた拠点から複数重機を1台の操作卓で遠隔操作および自動制御する実証に成功しました。これにより、複数重機が稼働する実際の工事現場での導入推進が可能となり、さらなる生産性向上が期待され、技能者不足への対応が可能となります。
1.背景
昨今の建設業界は、技能者不足や長時間労働などが深刻化しており、自動施工、遠隔施工、および施工データの活用による施工のオートメーション化が推進されていますが、重機の遠隔操作・自動制御を高度化していく際に、低遅延・低ジッタ通信によるリアルタイムな操作性や遠近感の把握が求められます。工事現場内を移動する重機は、ラストワンマイルの無線接続を必要としますが、自動制御の重機やロボットが広い現場全体で安定稼働するためには、複数アングルからの高精細な映像を伝送するための帯域を広域でカバーするなど、無線環境の構築も課題の1つです。
2.実験の概要
2026年2月2日(月)から2026年2月27日(金)までの期間において、遠隔操作・自動制御システムと接続切替システムを設置した遠隔操作拠点と、3台の重機を配置した実証現場の2拠点間をIOWN APNで接続しました。さらに実証現場の無線環境は、300m程度の広域を大容量通信でカバーする自動制御用の無線ネットワークをローカル5Gで構築し、複数のカメラ映像や制御信号の低ジッタ伝送を行う遠隔操作用の無線ネットワークをWiGigで構築しました。
本環境において、油圧ショベルでの土砂の掘削・積込、クローラー型ダンプトラックでの運搬、ブルドーザーでの敷均しという一連の工程を、全て遠隔操作および自動制御で実施可能なことを実証しました。また、重機の長距離移動においても、安定的に遠隔操作可能なことを実証しました。

3.技術のポイント
①低遅延・遅延ゆらぎなしのIOWN APNにより複数重機を連携させた施工のオートメーション化
低遅延・遅延ゆらぎなしの特長を持つIOWN APNと、大成建設の接続切替システムを活用し、通常は3人で実施する複数重機での作業を、1人で遠隔操作・自動制御できることを確認しました。オペレーターの遠隔操作をサポートするMC(マシンコントロール)※2およびMG(マシンガイダンス)※3機能についても、従来の同一敷地内での利用と同等の精度で利用可能なことを実証しました。またMC/MGに使用する設計データの作成では、ドローン空撮で取得した大容量の現況地盤データの授受にIOWN APNを活用して伝送時間を従来の約1/8に短縮し、オフィスでの三次元設計データの作成から現場反映までを効率化でき、生産性向上につながることを確認しました。
②ローカル5GおよびWiGigの活用により長距離移動や旋回を伴う重機の遠隔操作・自動制御
300m程度の実証現場全体を大容量な無線ネットワークでカバーする環境をローカル5Gで実現し、GNSS信号に基づく重機の位置情報を遠隔拠点に伝送しながら、現場全体で通信が途切れることなく重機の制御が可能なことを確認しました。
特定エリアにおける重機の遠隔操作では、カメラ映像や制御信号の低遅延・低ジッタ伝送を実現する無線ネットワークとして、NTTアクセスサービスシステム研究所のサイトダイバーシティ技術※4が搭載されたWiGig機器を活用することにより、有線区間含めたネットワーク区間のEnd-to-Endで遅延数msec程度、ジッタ数十μsec程度を確保して、従来よりもリアルタイムな映像伝送を行いながら、重機の移動や旋回を実現できることを確認しました。また、WiGigでLAN区間を代替することで、詰所と現場の無線ネットワーク構築に従来は終日作業であったところを、約1時間で効率的に構築できることも確認しました。
4.各社の役割
・NTT:IOWN APNとWiGigを組み合わせた遠隔操作および自動制御への適用検討
・NTT東日本:ローカル5Gの設計・構築・運用
・大成建設:遠隔操作および自動制御システムの技術提供、工事現場での適用検討
5.今後の展開
本実証の成果を踏まえ、2026年度に、大型造成工事などの現場での実証を予定しており、2027年度には、大成建設が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期で取り組んでいるダムの堆砂対策における遠隔操作・自動制御への適用をめざしています。現場導入に関する共同検討を進め、施工のオートメーション化の普及、および人材不足などの課題解決に貢献してまいります。
【用語解説】
※1 WiGig
Wireless Gigabitの略。IEEE 802.11ad規格をベースとした60GHz帯を用いる無線LAN規格。
※2 MC(マシンコントロール)
重機の位置情報、および施工箇所の設計データと作業装置の位置との差分に基づき、動作を自動または半自動で制御するシステム。
※3 MG(マシンガイダンス)
重機の位置情報、および施工箇所の設計データと作業装置の位置との差分をオペレーターに提示することで施工を支援するシステム。
※4 サイトダイバーシティ技術
無線端末内に複数の無線機能部を装備する端末主導の切替制御技術。
(参考URL:https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/02/25/220225a.html)


