貿易DXを推進するトレードワルツが、APEC米国大会付設イベントに登壇。日米間の貿易手続き電子化実証結果を報告。

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 貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz®︎」を運営する株式会社トレードワルツ(以下:トレードワルツ)は、経済産業省の委託事業「現地社会課題対応型インフラ・システム海外展開支援事業委託事業(インフラFS)」で実施中の米国市場調査の一環で、日米間の二輪車部品取引にてTradeWaltzを活用した貿易手続き電子化実証を行いました。また、結果について11月13日、米国サンフランシスコで開催されたAPEC米国大会付設イベント「経済統合ワーキング・グループ」で発表したことをご報告いたします。

■国を跨ぐ貿易の完全電子化を目指して ~APECを活用した活動地域の拡大~
 世界中のモノの行き来を司る貿易では、各種の産業プレーヤー間と国境を跨ぐ部分での手続きに、紙やPDFを中心としたアナログ手続きが多く残り、時間やコストが膨大にかかっています。
 トレードワルツはこうした業界・国家間の貿易手続きを完全電子化するため、ブロックチェーン技術を活用した貿易プラットフォーム「TradeWaltz」を構築・運営しています。「TradeWaltz」上で、電子情報だけで業界間・国境間の手続きを行うと時間やコストが44%以上効率化できることが、実際の利用で証明されてきており、アジアの支店や取引先も巻き込んで実業務で活用されることも増えています。
 トレードワルツは、この貿易完全電子化の動きを世界規模で加速させるべく、国際会議APECの場を活用して国際実証も進めてきました。2021年APECニュージーランド大会では、中小企業の貿易取引を題材とした日台貿易電子化の実証結果を発表し、翌2022年APECタイ大会では、経済産業省「インド太平洋サプライチェーン強靭化事業」として実施した、日本、タイ、シンガポール、豪州、ニュージーランドの5か国の貿易プラットフォーム間接続、および国境を越えた貿易手続きの効率化実証結果について報告しました。豊田通商の日タイ取引データを活用した実証では、60%以上の業務効率化が示唆された他、原産地証明書の連携やCO2排出量の測定など様々な可能性を見出し、世界中から問合せが増えることになりました。2023年APEC米国大会に向けては、これまでアジア・オセアニア地域を中心とした実証のフィールドを広げるべく、APEC2023議長国の米国を巻き込み、日米間の貿易手続きで「TradeWaltz」を利用した実証実験を企画・実施しました。

■日米貿易手続き電子化実証の内容・結果

 2023年度の米国実証では、兼松東京本社(輸出者)、兼松米国会社(輸入者)、米国日新(物流会社)の3社の協力を得て、日米間の二輪車部品取引の手続き(日本側の輸出手配~米国側の輸入通関)をデジタル化し、業務効率化の検証を行いました。TradeWaltz仕様上のプロセスとしては①輸出船積依頼、②船積書類送付、③輸入荷捌依頼、④輸入通関の4つを対象としました。

 前回のAPEC5カ国実証時は、国境を跨ぐ部分の効率化は図られる一方、自国でプラットフォームに初期情報を入力する箇所は、現行業務と変わらず煩雑さが残る、という声もあったため、今回の米国実証では、2023年7月に導入したRPA(Robotic Process Automation)活用のファイルアップロード機能を活用し、情報入力の手間も減らすことに挑戦しました。兼松社内のシステムで作成していた輸出船積依頼のデータをCSV形式でダウンロードし、それを「TradeWaltz」にアップロードするだけで入力が完了する為、入力の手間も大幅に減らせたほか、転記の際のミスも減らすことが可能になりました。
 結果として、データ入力、国境を跨いだデータ送付・受領、米国国内のデータ送付・受領、それぞれの工程で作業と確認時間が60%以上短縮・効率化されることが示唆され、兼松の実証参加者からは、「今回の実証実験では、情報の一元化や可視化が図られ、長く効率化が進まなかった貿易実務へのDXで大きな一歩となると信じている」というコメントをいただきました。

また、在日米国大使館からは「APEC米国大会には信頼性あるデータ連携を広めていくというテーマがあり、民間企業と共に、強靭で多様性を包摂する、デジタル経済圏の実現を図っていくつもりです。そのために私たちは日本のようなパートナーと共に、誰もが利用できつつも高度なセキュリティを持ち、安全な貿易システムを共につくっていきたい」というコメントもいただきました。

■APEC2023付設会議での報告
 本実証の結果は11月13日に米国サンフランシスコで開催されたAPEC2023付設会議となるAPEC-BAC「経済統合ワーキング・グループ」で報告されました。APEC2022議長国タイの貿易プラットフォーム「NDTP」代表のKobsak氏からトレードワルツ執行役員の染谷が紹介され、昨年度から今年度の実証内容のアップデートと、PoC対象地域の拡大について説明しました。
▶会議で投影した実証内容の紹介ビデオ: https://youtu.be/XrMY7UZo7IM

 これまで未知数であった米国(北米大陸)でも貿易プラットフォームが業務効率化に貢献できることが明らかとなったほか、既存のお客様からも「アジア・オセアニアだけでなく米国・欧州の支店・取引先も使いやすくして欲しい」というお声や、カナダ、米国企業からもご期待の声をいただいたため、今後システム稼働時間を拡大し、米国および世界中で使用可能する検討を進めてまいります。

[関係者のコメント]
兼松株式会社 運輸保険担当役員補佐 重田 和康
「今回の実証実験で、当社の貿易手続きが、日米の通関業者経由で両国の税関までデータ連携できることが実証されました。本実証実験にご協力頂いた皆様に厚く御礼申し上げます。我が国の、貿易の最重要相手国である米国との貿易手続き電子化を進めることにより、日米貿易をより一層促進する礎を築くと同時に、他国との貿易手続き電子化も加速できるよう、引き続きトレードワルツ様の取り組みを後押しさせていただきます。」

株式会社トレードワルツ 執行役員COO、CMO 染谷 悟
「私自身が幼少期を過ごし、日本にとって最も重要な貿易相手国となっている米国と、TradeWaltz活用実証を行い、APEC付設イベントで結果報告できたことは感無量です。実証に協力いただいた兼松様、日新様、経産省様、米国大使館様、その他APEC-BACを始めとした国際機関の皆様に厚く御礼申し上げます。システム稼働時間が延長されれば、実際に日米貿易で使ってみたいというお声もいただいているので、日米貿易での実証から商用利用へ、一歩一歩着実に進めていきたいと思っています。」

株式会社トレードワルツ 営業チームリーダー 猪飼 泰秀
「国家間を跨ぐ貿易業務の電子化に取り組んでいるTradeWaltzとして、今回の実証実験によって日米双方の通関情報をシームレスに連携出来ると立証されたことは大きな成果です。世界的にもサプライチェーンの強靭化が課題となっている中で、貿易の電子化は取引の効率化だけではなく取引の可視化にも繋がる為、TradeWaltzとしても今までにない大きな価値を見出し、貿易立国である日本発のプラットフォームとして世界の貿易電子化をリードしていきたいと思います。」

■トレードワルツについて 

商号      : 株式会社トレードワルツ 
代表者   : 代表取締役 執行役員社長 小島 裕久 
所在地   : 〒100-6036 東京都千代田区霞が関三丁目2番5号 霞が関ビルディング36階 WORKSTYLING 
設立      :   2020年(令和2年)4月 
事業内容: ブロックチェーンを活用した貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz(注1)」のSaaS(注2)提供 
人員数   : フルタイム63名 
URL      : https://www.tradewaltz.com 
株主一覧:   株式会社NTTデータ / 豊田通商株式会社 / 東京大学協創プラットフォーム開発株式会社/

                住友商事株式会社 / 三菱商事株式会社 / 株式会社TW Link / 

                東京海上日動火災保険株式会社 / 豊島株式会社 / 株式会社上組 / 

                株式会社フジトランス コーポレーション / 三井倉庫ホールディングス株式会社 / 

                株式会社日新 / 株式会社三菱UFJ銀行 / 丸紅株式会社 / 三菱倉庫株式会社/ 

                損害保険ジャパン株式会社 

SDGsへの取組み:弊社サービスは主に8,9,12,13,15,17のテーマについての取り組みを推進しています。

 (注1)「TradeWaltz」は日本国内における株式会社トレードワルツの登録商標です。 

その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。 

(注2)Software as a Serviceの略で、ユーザーがインターネット経由で必要なソフトウェア機能を利用する仕組み 

本件に関するお問い合わせ先 
株式会社トレードワルツ 広報・マーケティング部 担当:染谷、齋藤、須藤、中尾
Email:info@tradewaltz.com 

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