「C-Turtle ForeSus」は、CFPを中心としたサステナビリティ関連指標と製品別の収益情報を同一システムで管理できるソリューションです。お客さまは、各企業の喫緊の課題であるCFP可視化だけでなく、企業収益に影響を与える指標を同時に確認することができるため、施策による収益性への影響を確認しながら経営戦略の立案・実行・検証を行えます。
【背景】
昨今、これまで経験したことのない気候変動が世界の至るところで観測され、主因とされる温室効果ガス(GHG)の排出量削減は各国喫緊の課題です。日本においても2050年のカーボンニュートラル達成を念頭にGHG削減に対する具体的な法整備等が進み、企業は対応を求められています。
カーボンニュートラルの実現に向け、サプライチェーン全体でGHGを削減するには、脱炭素・低炭素製品が選択されるような市場創りが必要となります。その基盤として、「製品単位のGHG排出量(CFP)」を可視化する仕組みが不可欠です。さらに、サプライチェーンの上流に位置する企業に対し、CFPの開示を要請する動きがあり、各企業は事業競争力確保の観点で、CFPを可視化し、開示する必要に迫られています。
【概要】
サステナビリティと収益性の両輪で経営管理をめざすというコンセプトのもと、CFPを中心としたサステナビリティ関連情報と製品別の収益情報を同一システム内で管理するソリューションとして提供してきた、「サステナビリティ経営管理基盤」に、以下の新機能を追加し「C-Turtle ForeSus」として新たに提供開始します。
本ソリューションは、拡張性の高いEPM/BIソリューション「Board」(注2)を用いたシステムであり、環境変化やお客様のニーズに応じ、水資源・生物多様性などのCFP以外のサステナビリティ指標管理への拡張や、開発・調達・製造・物流といったサプライチェーン全体のDX施策への応用を検討することが可能です。
【機能】
C-Turtle ForeSusの機能は以下の通りです。 なお、前回リリース(注3)から追加された機能を新機能と記載しています。
(1)製品別原価積上計算(新機能)
品目単位量当たりの原価と業務コア情報を乗算し積み上げることで、製品別原価をCFPと同様に積上計算します。既に別システムで計算された製品別の収益性情報がある場合は、その情報をインポートすることが可能です。通貨を設定することで、レート換算機能を利用することも可能です。
(2)ダッシュボード機能(新機能)
データをExcel一括出力することに加え、CFPや製品別原価の構成要素にドリルダウンすることが可能です。また、計算結果を目的に応じて柔軟に可視化するダッシュボードを作成することが可能であり、例えばCFPと製品別粗利を同時に表示することで、サステナビリティ×収益性の2軸分析を実現します。
図1:製品別の収益性×CFP可視化ダッシュボードイメージ
(3)業務コア情報の管理機能(既存機能)
製品当たりの構成材料を表現する部品表、拠点あたりの電力使用量、最終製品の販売実績などの業務の核となる情報を、年月×組織×品目の軸で管理できます。積上計算時に、製品に直接紐付けられない品目(例えば、工場共通の電力、燃料等)を特定の基準で製品に割り振ることも可能です。
(4)CFP積上計算(既存機能)
業務コア情報と品目単位量当たりの温室効果ガス排出量(排出原単位)を乗算し、積み上げることでCFPを算出します。自社の活動による排出量(Scope1,2(注4))に加え、製造にかかわる間接的な排出量(Scope3)などを登録することで求めたいスコープでCFPを計算できます。複数の工程を保有する製品においても、親子関係とその活動量・排出係数を定義することで段階的に積み上げ計算することが可能です。また、同一情報を活用することで、新商品開発等におけるCFPシミュレーションへの応用も可能です。
図2:CFP算出機能の概要
【本ソリューションの導入イメージ】
本ソリューションは、EPM/BIソリューション「Board」のテンプレート機能として提供され、必要な業務データを用意することで簡易に利用を開始できます。また、個社業務を踏まえたCFP算出ロジックの考慮や社内システムとのデータ連携など、個別のカスタマイズも可能です。
本ソリューションの導入に先立ち、プロジェクト構想策定や業務領域の定義、CFP算出ルールの整備、業務コア情報・排出原単位・損益原単位の事前整理が必要です。NTTデータは包括的なグリーンコンサルティングサービスを提供しており、導入を見据えた各タスクの推進、支援を行うことが可能です。
【今後のビジネス展開について】
NTTデータでは、本ソリューションを含むGHG可視化を得意とするC-Turtle(注5)や、ServiceNowを用いたESG経営を促進するDX施策サービスを提供しています。本ソリューションの提供を含む温室効果ガス関連ビジネスで2025年度末までに20件以上の受注をめざします。
図3:C-TurtleとC-Turtle ForeSusの対比表
【参考】
C-Turtle ForeSus | NTTデータ
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle-foresus/
Datainsight | NTTデータ
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2023/0921/
・NTTデータの取り組み
アバントと協業し、Boardによるサステナビリティ経営管理基盤を提供開始
旭化成とScope1, 2, 3を網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
UBE社の最終製品別CFP算定システム開発により、算定にかかる時間を約95%削減
国内石油業界初 製品別CFP算定・組織単位でのGHG排出量管理システム構築の共同検討を開始
・株式会社アバントについて
2022年10月、アバントグループの再編に伴い、これまで連結会計・グループ経営管理領域において 自社製品を通じたコンサルティングおよびシステム実装を推進してきた株式会社ディーバのコンサルティング&SI事業を母体とし、株式会社ジールのCPM(Corporate Performance Management)事業を統合する形で、新たに株式会社アバントがスタートしました。
アバントはグループ経営管理・連結会計・事業管理を柱として、お客様の「見えない企業価値の可視化・最大化の実現」を様々なグローバル経営管理ソフトウエアを通して、コンサルティングからシステムの企画・構築、導入、運用・保守までワンストップで支援しています。
(注1)商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したものを指します。
(注2)Boardは、International SA.(スイス)、およびBoard Japan株式会社(日本)が提供する経営管理SaaSです。BI、EPM/CPM(計画編成・業績管理)、予測を1つのプラットフォームで実現し、お客さまの迅速で正確な意思決定を支援します。第三者機関からも、Board は2022 Gartner® Magic Quadrant™ for Financial Planning Software でリーダーとして認められており、他にもIDC、Dresner、BARCといったアナリストからも高い評価を得ています。詳細はwww.board.com/jpをご覧ください。
(注3)サステナビリティ経営管理基盤としてリリースしました。
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2023/071400/
(注4)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:スコープ1、2以外の事業者のサプライチェーンにおける間接排出
(注5) C-Turtleは、国内初「総排出量配分方式」対応のGHG排出量可視化プラットフォームです。
*「C-Turtle」及び「ForeSus」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標又は商標です。
*文章中の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。