九度山町は高野山の入り口でもあり、毎日のように参拝客やお遍路さんがやってくる。
野良犬だった白い犬は、ある日突然ふらりと九度山町へやってきた。
時は、1200年前に遡り、弘法大師であるお大師様が開創するため高野山に入った。
山中で道に迷っていたところ、黒い犬と白い犬を連れた猟師に出会い、2匹の犬はお大師様を道案内したといわれている。
現代によみがえったかのような白い犬は、参拝客やお遍路さんを連れ、高野山までの険しい山道を20キロ歩き先導するようになった。
時には振り返って人々を気遣ったり、分かれ道ではその前で待っていたりと、本当にガイドをしているかのようだった。
そんな白い犬の存在を知った九度山町にある慈尊院の住職は、その犬を引き取り「ゴン」と名付け可愛がった。
“お大師様の犬の再来”といわれ、町の人や参拝客、お遍路さんに愛され親しまれたゴンの物語である。
高齢者にも読みやすいように、文字が大きく、挿絵・写真も多いため、小さい文字を読むのが大変になってきたお年寄りにも好都合のようだ。
フリガナは小学3年生以上の漢字にふってあり、活字離れの進む子どもたちにとっては読書しながら難しい漢字も学ぶことができる。
さらに本書は欄外に、高野山にあるお堂や歴史的な建築物の情報も豊富に散りばめられている。高野山までの道順になっているので、実際にゴンに道案内されている気分で、知識を深められる工夫がされている。
・著者プロフィール
関 朝之(せき・ともゆき)
1965年東京生まれ。
城西大学経済学部経済学科、日本ジャーナリストセンター卒。仏教大学社会学部福祉学科中退。スポーツインストラクター、バーテンダーなどを経てノンフィクションライターとなる。
医療・労働・動物・農業・旅などの取材テーマに取り組み、同時代を生きる人々の人生模様を書きつづけている。
著書に『救われた団地犬 ダン』『愛された団地犬 ダン』『タイタニックの犬 ラブ』『のら犬ティナと4匹の子ども』『ガード下の犬 ラン』『神様のおつかい犬 純平』(以上ハート出版)、『歓喜の街にスコールが降る』 (現代旅行研究所)、『たとえば旅の文学はこんなふうにして書く』 (同文書院)、『10人のノンフィクション術』(青弓社)など。
・書籍情報
書名:新装版 高野山の案内犬ゴン
著者:関朝之
仕様:A5判上製・176ページ(カラー8ページ)
ISBN:978-4-89295-987-5
発売:2014.11.13
本体:1,500円(税別)
発行:ハート出版
書籍URL:https://www.810.co.jp/hon/ISBN978-4-89295-987-5.html