DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して事業や業務を変革することで、競争力や生産性を向上させることを指します。
BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などによって事業が中断された場合に、重要な業務を継続するための計画です。
この事業継続のために不可欠な文書は「バイタルレコード」と呼ばれ従来紙で保存されている場合がほとんどでした。
これらの紙書類は、情報の共有や検索が困難であり、災害や火災などで失われるリスクが高いため、DXやBCPの推進において管理方法が重要な課題となっています。
電子化することで、情報の管理や活用が容易になり、事業継続力が向上します。
「バイタルレコード(企業の存続に関わる文書や代替情報が他に求められない文書のこと。紙媒体の文書に限らず、電子データも含めた情報資産のことをいう)」には、設計図や見取図、品質管理資料、契約書、顧客台帳など間接的に必要なものなど、さまざまな文書があります。
では、各企業のDX推進とBCP導入時における重要な紙書類(バイタルレコード)の保存、および電子化による活用とバックアップなどの進捗状況は、どのようになっているのでしょうか。
そこで今回、紙書類図面電子化スキャニングサービスを行っている富士マイクロ株式会社(http://www.fujimicro.co.jp)は、製造業の経営者を対象に、「DX推進とBCP(事業継続計画)導入時における紙書類の電子化の課題」に関する調査を実施しました。
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調査概要
調査概要:「DX推進とBCP(事業継続計画)導入時における紙書類の電子化の課題」に関する調査
【調査期間】2023年4月11日(火)〜2023年4月12日(水)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】918人
【調査対象】調査回答時に製造業の経営者と回答したモニター
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
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製造業のDXの進捗状況は?ペーパーレス化が進まない理由について
DX(デジタルトランスフォーメーション)の1つに「ペーパーレス化」があり、その中でも「紙媒体を電子化してデータとして活用・保存すること」があります。
では、製造業界ではどのくらい進んでいるのでしょうか。
はじめに、紙媒体の電子化の進捗状況について伺いました。
「重要な紙書類(バイタルレコード)の保存はどのようにしていますか?」と質問したところ、『一部電子化して保存している(31.8%)』と回答した方が最も多く、次いで『すべて紙のまま保存している(28.2%)』『概ね電子化して保存している(17.8%)』と続きました。
「概ね電子化している」と回答した方に対して、「一部電子化して保存している」の割合には大きな差があることや、3割近くの方が「すべて紙媒体で保存している」と回答したことから、製造業界における紙媒体の電子化はあまり進んでいるとはいえない状況にあるようです。
では、電子化せずに、紙のままで保存している理由とは一体何なのでしょうか。
前の質問で『すべて紙のまま保存している』『紙に複製し分散保管している』と回答した方に聞いてみました。
「電子化せず紙のままで保存している理由は何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『紙のほうが使いやすいから(32.2%)』と回答した方が最も多く、次いで『社内規定または以前からの習慣に従っている(31.3%)』『法律上、紙保存でなければならないと思っている(25.1%)』と続きました。
紙媒体のほうが使いやすい、社内規定(または以前からの習慣に従っている)と回答した方がいずれも3割いるようです。
また、4人に1人の割合で「法律上、紙で保存しなければならない」と思っていることがわかりました。
先程の質問で『一部電子化して保存している』『概ね電子化して保存している』と回答した方がいましたが、どのような書類を電子化しているのでしょうか。
詳しく聞いてみました。
■製造業におけるペーパーレス化。どのような書類を電子化している?
【一部電子化して保存している】
・製造に関する記録類や製造レシピ、規程類、設備情報などの書類を電子化している(50代/男性/大阪府)
・過去の書類で保存義務があるもの(50代/女性/静岡県)
・議事録、打ち合わせ記録、検査報告書、記録写真、図面、発注書、見積書、など(50代/男性/岐阜県)
【概ね電子化して保存している】
・契約書類関連(60代/男性/神奈川県)
・企画書や仕様書、領収書請求書ほぼすべての書類(50代/男性/大阪府)
製造業に関するさまざまな書類を電子化している様子が窺えました。
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一般的な傾向として多いのは?電子化されたデータの保存先とファイル形式について
製造業界におけるペーパーレス化の進捗状況はあまり芳しいとはいえないものの、紙媒体から電子化に移行している方の実状についてわかりました。
では、電子化された重要なデータの保存先はどのような媒体が多いのでしょうか。
「重要な電子データは現在どのような媒体に保存していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『社内のサーバー(56.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『各担当者のパソコン(34.5%)』『クラウドサービス(30.3%)』と続きました。
電子化された文書の中には重要なデータも多く含まれているため、「社内のサーバー」と回答した方が5割強にのぼったのではないでしょうか。
その一方、3割以上が「各担当者のパソコン」に保存されている実態も明らかになりました。
では、電子化されたデータのファイル形式については、一般的にどのようなものが多いのでしょうか。
そこで、「どのようなフォーマットで保存していますか?(複数回答可)」と質問したところ、『PDF(87.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『JPEG(24.8%)』『PDF/A(12.1%)』『TIFF(8.4%)』と続きました。
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紙媒体から電子化へ。製造業経営者はBCP(事業継続計画)についてどのように認識している?
電子化に関する保存先やファイル形式などについてわかりました。
先程の質問で、製造業界におけるペーパーレス化については従来からの紙媒体で行っている方と電子化を進めている方とには差があることがわかりましたが、企業のDX自体については政府が推奨していることもあり、今後も社会全体に広まっていくことが予想されます。
では、このような文書の電子化(ペーパーレス化)の流れについて、どのように考えているのでしょうか。
具体的にお聞きしました。
■製造業の経営者は、文書の電子化についてどのように考えている?
【紙に複製し分散保管している】
・顧客データの保管や漏洩を防ぐためにも電子化に切り替える必要があるとは思います(20代/女性/東京都)
・利便性を考えると電子化に切り替えなければいけないと思う(40代/男性/三重県)
・データ漏えいの危険性も有り、また法律上すべての書類の電子化は難しいと思う(50代/男性/東京都)
【概ね電子化して保存している】
・すべての書類を電子化するのは重要事項だと考えています(40代/男性/東京都)
・業務効率化のために必要(40代/男性/東京都)
・BCPを考える上で電子化に切り替えたい(40代/男性/京都府)
【すべて紙のまま保存している】
・電子化によって場所の確保や検索のしやすさなど便利なのはわかりますが、電子データが安全に保存されるのか、ハッキング等により機密保持契約に違反しないのか、といった不安もあります(40代/男性/滋賀県)
・電子化に切り替えなければならないが面倒(40代/男性/福岡県)
【一部電子化して保存している】
・書類で保存するより電子化すればコンパクトに保存できるので、電子化が進めば事務所のスペースが広くなると思います(50代/男性/愛知県)
現在は紙媒体で文書を保存している方も、いずれは電子化を行う必要があると考えているようです。
しかしその一方、安全性や法律上の原本保管に違反しないかといった点を懸念している様子も窺えました。
では、電子化を行わず紙媒体で文書を保存(保管)し続けると、どのような問題が起こると考えているのでしょうか。
「電子化が進まないとどういう問題がおきますか?(複数回答可)」と質問したところ、『保管スペースが膨らむ(48.6%)』と回答した方が最も多く、次いで『整理や管理が面倒(38.5%)』『担当社員が辞職した際に困る(属人化)(37.0%)』『災害などで消失する(36.5%)』と続きました。
突然の事故や病によって文書の管理を担当する社員が辞職した場合だけでなく、突然の地震や洪水といった自然災害による消失も考えられるため、文書の電子化は速やかに行っておくべきかもしれません。
しかし、実際には、保管スペースの問題や整理・管理が面倒といった問題を懸念している方が多いことがわかりました。
電子化できる文書は電子化を行っておくべきですが、その前に紙媒体での保管が必要なのかどうか、知っておく必要もあるのではないでしょうか。
そこで、「e文書法をご存じですか?」と質問したところ、『内容まで知っている(23.3%)』『名前だけ聞いたことがある(47.4%)』『全く知らない(29.3%)』という回答結果になりました。
e文書法(電子文書法)によって、紙で保存する必要があったものをスキャンした電子データとしての保存も認められるようになりましたが、内容まで知っているという方は少ないようです。
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今後、外部に電子化を依頼する際は何が決め手になる?
ここまでの調査で、製造業界における電子化(ペーパーレス化)の状況について明らかになりました。
自社で文書の電子化を行うことが難しい場合は、文書の電子化を外部に依頼することもできます。
では、その際どのようなことが“決め手”になるのでしょうか。
「今後、もし電子化を外部委託する際、選択の決め手は何ですか?(上位3つまで)」と質問したところ、『セキュリティが万全で情報漏洩等の心配がない(50.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『価格が安い(44.1%)』『入力漏れ等なく正確(29.4%)』と続きました。
「費用が安い」「入力漏れがない(正確)」といった回答が比較的多くみられましたが、過半数の方は、外部委託する際には「セキュリティ(情報漏洩)」を重要視していることがわかりました。
先程の質問でも、「電子化された文書のデータが安全に保存されるのか」といったことに対して懸念する声もありましたが、製造業などの業種に関わらず、顧客情報などの重要データが外部に漏れてしまうと企業としての社会的信頼が著しく損なわれるため、電子化を外部に委託する際にはセキュリティについて十分に配慮している企業を選ぶことが重要なのではないでしょうか。
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【まとめ】製造業界において、今後は紙媒体の文書の電子化したいと考えている様子が窺える
製造業界のDX(ペーパーレス化・電子化)は、紙媒体のほうが使いやすい、社内規定に従っている、以前からの習慣に従っている、といった理由から、まだまだ進んでいないことがわかりました。
電子化を進めている方の中には、「保管スペースが膨らむ」「整理・管理が面倒」といった理由で、あらゆる文書を電子化したいと思っている方も少なくないようですが、災害時におけるBCP(事業継続計画)については、まだまだ進捗してはいないようです。
紙媒体から電子化への移行について障壁となっているのは、「紙で保存しなければならない文書と、電子化できる文書がある」について詳しくないことや、「電子化することで機密保持契約に違反しないか」といった不安があるようです。
ご自身で文書の電子化が行えない場合は外部委託するという方法がありますが、その際はセキュリティについて重視している方が多い結果となったことから、今後の電子化には「セキュリティ」が鍵となるのではないでしょうか。
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セキュリティに配慮した電子化なら富士マイクロ株式会社
今回、「DX推進とBCP(事業継続計画)導入時における紙書類の電子化の課題」に関する調査を実施したのは富士マイクロ株式会社です。
富士マイクロ株式会社は、デジタルアーカイブ・ファイリングの専門企業です。
1968年に設立された同社は、マイクロファイリング事業からスタートし、その後デジタルファイリング事業などを展開してきました。
現在では、国内の官公庁や図書館、新聞社や出版社、民間企業や医療機関など、幅広い分野のお客様に対して、高品質で安全な紙書類の電子化サービスを提供しています。
富士マイクロ株式会社は、品質マネジメントシステム(ISO9001)や個人情報保護マネジメントシステム(JIS Q 15001)、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO27001)などの認証を取得し、お客様の大切な資料を厳重に保護しています。
また、熊本本社には耐火防盗を考慮した国内屈指の設備を備えた耐火書庫があり、お客様のお預かり品の移動時には専用の金属ケースを使用するなど、安全対策にも万全を期しています。
また、様々な業種における電子文書の取り扱いについて、文書管理に関する資格者がご対応いたします。
常に最先端の技術とサービスを提供することを目指しています。
紙書類電子化サービス
BCP対策・DX推進の基盤整備
富士マイクロ株式会社:https://www.fujimicro.co.jp/
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