人流予測と気象予報を活用するAIを用いた空調制御サービスを提供開始

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 株式会社NTTデータ(東京都江東区、代表取締役社長:本間洋、以下「NTTデータ」)と、株式会社ハレックス(東京都品川区、代表取締役社長:藤岡 浩之、以下「ハレックス」)は、2023年9月よりAIを用いた空調制御サービスを提供開始します。本サービスは室温に最も影響を与える人流と外気温の変化をAIが解析することにより、室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型の空調コントロールを実現するものです。2021年8月まで の約2年間JR新宿ミライナタワーで実証を行い、フィードバック型の空調コントロールに比べ、消費エネルギー量の約50%削減と快適性向上という効果を実現できることを確認しました。
 NTTデータとハレックス は、2025年までに50施設への導入を目指します。本サービスにより建物の空調コストを削減すると共に、省エネを推進し脱炭素社会の実現に貢献します。

1.      背景

 一般的なビル施設は、エネルギー消費の約50%を空調が占めています。企業が脱炭素経営で、SBT※1等の認定取得を進めていくうえでビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS※2)導入等の可視化が進み、次の一手としてエネルギー削減の具体策が求められていました。

 そこでNTTデータとハレックスは、ビル空調エネルギー削減の具体策となるAIを用いた空調制御サービスの提供を開始することとしました。

2.      サービス概要

 本サービスは、AIが室温に最も影響を与える人流と外気温を分析し、最適な空調制御シナリオを自動生成してビル管理システムに提供することにより、室温の変化を未然に防ぐフィードフォワード型の空調コントロールを実現するものです。

 従来型の空調制御は 、季節ごとに設定温度を決めてあり、室温に問題があれば空調を操作するというフィードバック型制御が行われてきました。フィードバック型制御の問題であった、短時間での一時的な温度調整や、過剰冷房(過剰暖房)による大量のエネルギー浪費と不快感を、フィードフォワード型の制御が解消します。

   図 フィードバック制御とフィードフォワード制御

「AIを用いた空調制御サービス」紹介ページ

AIを用いた空調制御サービス | 人流情報に応じてAIが空調をコントロールすることで、省エネと快適性を実現|NTTData
人流情報に応じてAIが空調をコントロールすることで、省エネと快適性を実現 削減できるビルの空調電力 最大50%/50%削減に相当する費用 1億円|AIを用いた空調制御サービスNTTData

3.      サービスの特徴

〇フィードフォワード型の空調コントロールにより、快適性を保ちつつ空調エネルギーを最大50%削減

〇応用性の高いNTT研究所のAIモデル、コンパクトな人流センサー、クラウド型のサービス設計により初期投資を抑制し、サービス導入面積10,000㎡でも十分な費用対効果を実現。さらに、既設のビルでも3か月程度の導入期間で後付け導入が可能

〇一部機能を試せる安価なトライアルプランを用意、本導入の際は導入費用からトライアル料金分を割引 

4.      実フィールドでの検証結果

 JR新宿ミライナタワーをはじめ、複数のオフィスビルや商業施設、複合ビルにおいて、2019年1月~2023年3月にかけて本サービスの検証を行いました。結果として、空調機が用いる消費エネルギー量(冷水熱量)を最大約50 %削減できることが確認できました。これは一般的な大型ビルの年間のエネルギーコストで換算すると、約1億円相当の削減額になります。

5.      今後の展開

 NTTデータとハレックスは、昨今の電気料金高騰によるビルのエネルギーコストの急騰に伴い、ますます必要性が高まる省エネ対策の切り札として、本サービスを2025年までに50施設に提供していきます。本サービスにより、建物のエネルギーコストを削減することで、省エネを推進し脱炭素社会の実現に貢献します。

注釈

※1 SBT:(Science Based Targets):パリ協定が求める水準と整合した、5年~10年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標。

※2 BEMS:(Building Energy Management System):ビルエネルギー管理システム。

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