日本国内のSaaS市場は年平均成長率12.5%で拡大し、2026年度には1.7兆円規模へ到達する見込みです(富士キメラ総研「ソフトウェア新市場2022年版」)。それに伴いSaaS提供企業によるカスタマーサクセスへの取り組みも加速してきています。
国内のカスタマーサクセスはどのように変化しているのか、調査結果を公開いたします。
<カスタマーサクセス白書2022>
■国内SaaSのメトリクス
昨年までに引き続き、国内SaaSのメトリクスについて調査を実施しました。
・年間発注額(ACV:Annual Contract Value)
ACV13〜60万円(MRR1〜5万円)の価格帯が27.1%となっています。2022年は全体的に低めの価格帯に移行していましたが、2023年はACV241万円(MRR20万円)以上の割合が増加していることがわかります。
・月次解約率(Monthly Revnue Churn Rate)
月次解約率2%未満の企業が50.0%と半数以上を占めています。
一方で6%以上の企業が24.3%と、2022年より16.5ポイント向上し、カスタマーサクセスの取り組み成果が二分している様子が伺えます。
・売上維持率(NRR:Net Revenue Retention)
売上維持率は90〜100未満の企業が46.9%と最多になっています。グローバルで合格基準とされる120を超える企業も25.0%存在していますが、まだまだ伸びしろがありそうです。
■カスタマーサクセスの取り組み
・カスタマーサクセスチームが責任を負っている指標
カスタマーサクセスが負っている指標について聞いたところ、「売上ベースの解約率」を指標としているチームがトップとなりました。2020年から3年連続でトップとなっていた「社数ベースの解約率」は次点となっています。
また「NRR」を指標としているチームは、昨年の26.5%から13.4ポイント上昇し、2年連続で上昇してきています。
・直近1年間で最も優先度の高いKPIに寄与した施策
この1年間で、最も優先度の高いKPIに寄与した施策については、昨年に引き続きオンボーディングプロセスの見直しが25.1%と多数を占めました。
・直近1年間で行ったKPI改善のための施策で、最も期待外れだった施策
KPI改善のために行った最も期待外れだった施策については、データ分析/可視化が9.8%とトップでした。
・直近1年間でCS組織の生産性向上に一番寄与した施策
一方で、この1年間でCS組織の生産性向上に一番寄与した施策については、データ分析/可視化が14.8%でトップとなりました。データ分析/可視化によりフォローすべき顧客の優先順位/見極めを行ったり、施策の成果を振り返りアクションの精査を行うことで、生産性向上に繋げたチームが多いのではないでしょうか。
次点にはKPI改善に一番寄与した施策でトップとなったオンボーディングプロセスの見直しがあがっています。
■営業とカスタマーサクセスの連携
顧客を成功に導きLTV向上を実現するには、カスタマーサクセス部門の取り組みだけでは不十分です。本年は、営業部門とカスタマーサクセス部門の連携についても調査を実施しました。
・4割の人が営業からの引き継ぎが不十分だと感じている
営業からカスタマーサクセスへの引き継ぎについて尋ねたところ、38.5%の方が引き継ぎが十分におこなわれていないと回答しました。
・情報の網羅性/正確性だけではなく、営業担当のマインドも引き継ぎの十分さに影響を与える
引き継ぎが不十分だと感じる方に理由を尋ねたところ、「営業担当のマインド」と「引き継ぎ内容の不足」が共に18.8%とトップになりました。引き継がれる“情報”だけでななく、受注後のプロセスへの営業の理解が重要な要素となっていることがわかりました。
・引き継ぎが不十分なほど解約率が高くなる
引き継ぎが不十分な企業の63.3%が、解約率が2%以上となっており、引き継ぎが十分な企業の1.7倍となっていることがわかりました。また引き継ぎが不十分な企業では解約率が15%以上の企業が10%と、引き継ぎ不足は大きな事業リスクに繋がることがわかりました。
・引き継ぎが不十分だとエクスパンションの機会損失の可能性が高くなる
さらに売上維持率(NRR)についても見てみると、引き継ぎが十分に行われている企業では100以上が60%と、引き継ぎが不十分は企業の1.4倍となっています。顧客の状況を正しく引き継ぐことで、解約防止のみならずエクスパンション創出にもつなげられることが明らかになっています。
・サクセス実現のためにはゴール・プロジェクト関係者情報の連携が必要
カスタマーサクセスが引き継いでほしい情報と営業から必ず引き継がれる情報についても調査しました。差分が大きい上位3項目は、「提供サービスの導入を通じて実現したいことや達成したいKPI」が23.5ポイント、「意思決定者の定性情報」が20.8ポイント、「意思決定者以外のプロジェクトに関わる関係者の定性情報」が19.3ポイントとなりました。
その他、様々な調査内容を公開しております。詳細は以下ページよりレポート全文をダウンロード(無料)してご覧ください。
<その他調査内容>
・昨年からのカスタマーサクセスチーム規模の変化
・カスタマーサクセスが責任を負っている指標
・カスタマーサクセス担当1人当たりの担当社数 / ARR
・直近1年間のKPI改善に寄与した施策
・営業からカスタマーサクセスに引き継ぐべき情報
・カスタマーサクセスの年収レンジ
・役職別昨年からの年収増加率 など
【調査概要】================================
調査期間
2023年4月18日〜4月30日
調査機関(調査主体)
自社調査
調査対象
カスタマーサクセスサクセスに関わる方
有効回答数(サンプル数)
203
調査方法(集計方法、算出方法)
インターネット調査
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HiCustomer株式会社について
商号 :HiCustomer株式会社
代表者 :代表取締役 鈴木大貴
所在地 :〒141-0031 東京都品川区西五反田7−13−1 トモビルティング2階
設立 :2017年12月18日
事業内容:カスタマーサクセス関連ツールの開発・提供
URL :https://arch.hicustomer.jp/
IT製品の営業活動や導入・活用支援の工数削減やパフォーマンス改善を実現する『アーチ(Arch)』について
IT製品の提案と導入は、売り手と買い手が同じゴールを目指す一つのプロジェクトです。
一方で、活用の主体となるSaaSの買い手は、選定や導入の経験が必ずしも豊富ではなく、売り手による適切な支援が必要不可欠です。
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