LIXILでは、急激な事業環境の変化に柔軟かつ機動的に対応すべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速しています。デジタル化により、より顧客志向の組織へと転換するとともに、生産体制とサプライチェーンの最適化を図っています。
LIXILではこれまでも、消費者のさまざまなニーズに対応すべく多品種の生産基盤を構築し、事業生産性向上やブランド競争力向上に取り組んできました。しかしながら、資材調達リスク、コンテナ不足など世界的なサプライチェーンにおける問題が発生し事業環境が大きく変化する中、多岐に渡る製品コードを人の手を使って需要予測をすることは困難です。そこで、これから先に起きるイシューを予見し、迅速な対応が可能な体制を構築していく必要があります。そのために、調達から製造、販売までの各プロセスにおける状況を把握し、在庫管理や業務運営の効率化などサプライチェーン全体の最適化に向けた取り組みの一つとして、AI需要予測ソリューションを導入し、プロジェクトを始動しました。
2022年9月より、ハウジングテクノロジー事業の約半数を占める既存品の予測値を先行展開。そして、2023年1月より、これまで予測できなかったモデルチェンジ品についても対応し、LIXIL Housing Technologyのほぼ全ての製品をカバーする予測値の算出が可能となりました。
ハウジングテクノロジー事業においては、製品で約120万機種、販売エリア別に展開したSKUで230万を超える非常に大きな規模であることから、細かい粒度で需要の動きや特徴を捉えることは難しい状況にありました。こうした背景から、さまざまなサプライチェーンリスク(欠品・リードタイム延長・過剰在庫・廃棄コスト・横持ち輸送コスト等)を低減することが喫緊の課題となっていました。
AI需要予測を活用することで、230万の予測対象一つ一つの特徴を捉えた高解像度かつ高精度な予測算出が可能となりました。膨大な予測データを提供する環境構築には当社の様々なデータを一元管理するクラウド型のデータ統合基盤「LIXIL Data Platform」を採用し、各工場でデータ活用の自走化を促すためのデジタルスキル支援も並行して進め、多くの工場で潜在リスク低減に向けた実用化レベルの取り組みが加速しています。今後は、製品だけでなく副資材等も含め、需要予測の対象領域をさらに拡大していく予定です。
LIXILは、今後もDX推進により、サプライチェーン全体の最適化を図り、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいの実現に貢献していきます。
■AI需要予測の展開事例
例:エリア別予測精度向上による 横持ち輸送コストを抑制
高解像度な予測によって、エリア別の予測精度の向上に貢献しています。海外で生産する製品については、海外の生産拠点から日本国内の全国6エリアの物流センターへ向け、SKUごとの適切な数量を船輸送することで、ムダかつ高コストな日本国内での横持ち輸送発生を抑制します。2023年1月、タイ工場、ベトナム工場、中国大連工場から中四国エリアの岡山物流センターに輸送する対象SKUの見直しにMDF予測値を活用。今後は、年3回実施する全エリアの定期見直しにも展開していく予定。
例:需要予測対象の広さによる 手動対応(=業務コスト)の削減
MDFは、定番・量産品のみならず、特注品や少量品(=ロングテール品)も需要予測可能で、モデルチェンジ(旧モデルの終息、新モデルの立ち上がり)にも対応。機械的アプローチが可能になり、人手による手動対応が必要な範囲が極小化しました。この機会に、特定の従業員に頼っている計画業務を標準化し、業務の属人化を解消するとともに効率化を進め、さらに浮いた工数を、欠品・過剰在庫・横持ち輸送コストといった潜在リスク低減活動に振り向けるという、好循環を促していきます。また、さまざまなモデルチェンジのパターンへ対応しており、旧モデルの終息に向けた需要の動きを正確に捉えることで、滞留在庫および廃棄コストの発生を抑制するとともに、納品リードタイム延長を防ぎます。
■PwCコンサルティング合同会社について
https://www.pwc.com/jp/consulting
PwCコンサルティング合同会社は、経営戦略の策定から実行まで総合的なコンサルティングサービスを提供しています。PwCグローバルネットワークと連携しながら、クライアントが直面する複雑で困難な経営課題の解決に取り組み、グローバル市場で競争力を高めることを支援します。
■PwC Japanグループについて
https://www.pwc.com/jp
PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社の総称です。各法人は独立した別法人として事業を行っています。
複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanグループでは、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、そして法務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、弁護士、その他専門スタッフ約10,200人を擁するプロフェッショナル・サービス・ネットワークとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2022年3月期に1兆4,286億円の連結売上高を計上しています。
LIXILグローバルサイト:https://www.lixil.com/jp/
LIXIL Facebook(グローバル向け):https://ja-jp.facebook.com/lixilglobal/
LIXIL Facebook(日本国内向け):https://www.facebook.com/lixilcorporation
LIXIL、AIを活用した需要予測を導入し、試験運用開始
この記事は約6分で読めます。
株式会社LIXIL(以下 LIXIL)は、PwCコンサルティング合同会社が提供するAI・機械学習アルゴリズムを用いた次世代型需要予測ソリューション「Multidimensional Demand Forecasting(以下、MDF)」を導入し、サプライチェーン全体の最適化に向けた取り組みの一つとして、サッシ・ドアやエクステリアなどの建材事業を展開するLIXIL Housing Technologyの約120万機種におよぶ製品を対象とし、AI需要予測の試験運用を開始しています。