チームラボが空間設計を手がけた、「共創」のきっかけが生まれる学校が開校。ICTの活用で、地域と学校が一体となる空間を実現。

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チームラボがICTを活用して空間設計を行った義務教育学校「安平町立早来学園」(北海道安平町)が、2023年4月1日に開校しました。授業で使っていない教室を、地域住民がWebサイトから予約し、地域の活動場所として安全に利用することができる仕組みを作ることで、学校が地域のコミュニティセンターの機能を併せ持ち、地域住民にも開かれた場所となります。さらに、児童・生徒と地域住民の距離が近づくことで、共に創り、学ぶ「共創」のきっかけが生まれる空間を実現しました。

 

■背景
安平町は北海道の南西部に位置する人口約7,300人*1 (2023年4月1日時点)の町で、人口密度が1k㎡当たり約40人と北海道平均の約68人から大きく下回っています*2。また、2020年5月1日時点、町内の小学校の児童数は332人、中学校の生徒数は166人で、人口減少とともに児童生徒数の減少も続いており*3 、地域で何か活動する際に人と関わる機会の少ない環境です。

一方、現状ある多くの仕事はAIや機械によって代行されていくと考えられており、これからの社会では、人間にしかできないこと、つまり共同的な創造性が最も大事になっていきます。共創の体験こそが、今、人々にとって非常に大事なのではないかと、チームラボは考えています。

安平町では、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震により、早来中学校の校舎が利用できなくなったのを機に新たに校舎が必要となりましたが、校舎を再建するだけではこれまでと状況は変わらないため、4つの小学校・中学校と公民館図書室を1つの建物に統合。安平町民と児童・生徒が考えた「みんなの学校」「自分が世界と出会う場所」をコンセプトに、児童・生徒と地域住民間でコミュニケーションが生まれ、「共創」のきっかけとなる場所として機能する学校を目指しました。

*1 安平町についてより
https://www.town.abira.lg.jp/
*2 安平町 新町まちづくり計画 新町の概況より
https://www.town.abira.lg.jp/gyosei/shincho-machi/21
*3 町内小中学校の教育環境より  
https://www.town.abira.lg.jp/webopen/content/1448/1.pdf

■ソリューション
安平町は今まで、「学校」と「地域のコミュニティセンター」は建物ごとに分かれていましたが、早来学園ではICT空間設計*4 により、ひとつの空間に「学校」と「地域のコミュニティセンター」の機能を共存させました。
家庭科室・美術室・音楽室・体育館などの教室を、地域住民がWebサイトから予約して自由に利用することができます。物理的には同じ空間であっても、児童・生徒が授業で利用する「家庭科室」「美術室」「音楽室」は、地域住民が利用する「キッチン」「アトリエ」「スタジオ」になります。

*4 ICT空間設計とは
デジタル・ICT(情報通信技術)を活用することで、空間の役割を大きく変えることができます。既にある空間に対してデジタル・ICTをどう当てはめるのかではなく、デジタル・ICTを使うことを前提とした空間設計を行うことで、より効果的な空間を実現できると考えています。

地域住民がパソコンやスマートフォンから自由に利用できる予約システム。教室の空き状況を確認し、日時を選択して予約可能。学校が授業で利用する日時は予約システムに自動で連携され、その時間に地域住民が予約できないように制御されている。地域住民がパソコンやスマートフォンから自由に利用できる予約システム。教室の空き状況を確認し、日時を選択して予約可能。学校が授業で利用する日時は予約システムに自動で連携され、その時間に地域住民が予約できないように制御されている。

一方でセキュリティラインの確保は重要な課題として浮上してきますが、児童・生徒、地域住民の入口を分ける空間設計と、利用状況に合わせて扉をICT制御するスマートロックを活用することでセキュリティを担保しています。

シェアできる教室の扉に設置されているスマートロックシステム。予約システムと連動しており、児童・生徒が授業で教室を利用している時間帯は、地域住民側の扉が施錠されて教室に入ることができない。同様に、地域住民が利用している時間帯は児童・生徒は入ることができない。シェアできる教室の扉に設置されているスマートロックシステム。予約システムと連動しており、児童・生徒が授業で教室を利用している時間帯は、地域住民側の扉が施錠されて教室に入ることができない。同様に、地域住民が利用している時間帯は児童・生徒は入ることができない。

また、シェアできる教室のうち、家庭科室(キッチン)・美術室(アトリエ)を学校の中央に配置し、教室の入口を2つ用意することで、学校、地域のどちらの空間からも簡単に教室にアクセスができるようにしました。教室には大きな窓があり、教室の中で行われている活動は、学校、地域のどちらからも見え、教室を使う児童・生徒と地域住民の距離が近づきます。その他の教室(体育館・音楽室・図書室)も同様に、外から中の様子が見える空間設計のため、活動の様子を知ることができます。また、地域住民の入口は図書館(児童・生徒から見た「図書室」)の入口でもあるため、地域住民は気兼ねなく利用することができます。
 

家庭科室(キッチン)・美術室(アトリエ)を学校の中央に配置し、教室の入口を児童・生徒用、地域住民用の2つ用意することで、学校、地域、どちらの空間からも簡単にアクセスが可能な空間設計。家庭科室(キッチン)・美術室(アトリエ)を学校の中央に配置し、教室の入口を児童・生徒用、地域住民用の2つ用意することで、学校、地域、どちらの空間からも簡単にアクセスが可能な空間設計。

 

更に、シェアできる教室の扉横にタブレットを設置し、いつ・どのような内容で教室が利用されるのかを、児童・生徒、地域住民が知ることができます。学校内や役場などの人が集まる場所に設置されたサイネージにも、教室の活動情報が表示されるため、学校に集まるきっかけを作ります。

■効果
1つの建物に「学校」と「地域のコミュニティーセンター」の2つの機能を持たせることで、建物や運営などを1箇所にまとめたコンパクトな運営ができます。
また、従来の学校は、主に先生と児童・生徒(とその保護者)のための建物でしたが、地域のコミュニティセンターと一体化することで地域住民にも開かれた空間となります。この空間を通じて、お互いが顔見知りになり、地域住民が児童・生徒に何かを教えたり、児童・生徒が地域住民を手伝ったりと、今まで関わり合いの少なかった学校と地域住民のコミュニケーションを創出します。

安平町 早来学園 ICT空間設計
https://www.team-lab.com/hayakitagakuen/
クライアント:北海道安平町
開校:2023年4月1日
 

 

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