今回、新たにApple社のノートパソコン「MacBook」シリーズの中古相場を調査いたしました。新型MacBook Proの発表を受け、二次流通市場でも注目が集まるMacBookシリーズの相場を「フリマアプリ」と「リユースショップ」の双方から調査・分析いたします。またiPhoneでは、本調査より「iPhone14」シリーズも調査対象に含めております。
【前回の調査はこちら】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000110402.html
【レポート全文のダウンロードはこちら】
https://prtimes.jp/a/?f=d110402-20230331-18e34b7e3e13dd1e1351ac0fc0fb6655.pdf
【全体サマリー】
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MacBookのフリマアプリ流通量はiPhoneフリマアプリ流通量のわずか1.35%
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「MacBook Air・Pro」ストレージ最小モデルのリセールバリュー(※1)が高い
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iPhone14の「Pro」シリーズ相場が高止まり
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新型が発表されない「mini」の中古相場が高い
(※1 リセールバリュー…所有品を売却した際の価値)
◆MacBook編レポート
まず、MacBookのリセールバリューレポートをご紹介します。フリマアプリ、リユースショップのそれぞれの相場データから読み解ける、2022年秋~冬のトレンドをご紹介します。
(1)フリマアプリにおけるリセールバリュー
フリマアプリにおける、MacBookのリセールバリューを調査した結果です。
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MacBook成約総数はiPhone比で「1.35%」のみの596件
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状態別の取引はCランク最多で415件
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Aランク~Cランク、1ランク下がるとリセールバリュー11%減
・MacBook成約総数はiPhone比で「1.35%」のみの596件
弊社「Smapra」で取得した成約データでは、2017年~2022年のあいだに発売されたMacBookの流通総数は、iPhone流通総数の1.35%に留まることが分かりました。
具体的には、2022年10月~12月におけるフリマアプリでのS~DランクiPhone成約総数が44059件に対し、MacBookの成約総数が596件でした。
これは国内普及率が86.8%のスマホに比べ、パソコンの普及率が70%であること(いずれも総務省調べ)、またスマホのうちiOS端末のシェアが67.0%である一方、パソコンのうちOS Xのシェアが11.6%程度であること(いずれもStatCounter Global Stats調べ)が関係していると見られます。
ほかに、耐久年数の違いや、サイズの大きさやセキュリティの観点からフリマアプリ以外の処分方法が選ばれやすいといった背景が考えられます。
・状態別の取引はCランク最多で415件
2017年~2022年に発売されたMacBookのうち、状態別で最も取引が多いMacBookはCランクで415件でした。
Cランクの取引が多い背景には、価格の手頃感があります。Aランクの平均フリマアプリ残価率(※3)は63.15%なのに対し、Cランクのフリマアプリ残価率は40.47%でした。つまり同じ中古品でも、Aランク品はおよそ4割引であるのに対し、Cランク品はおよそ6割引になります。
(※3 残価率…新品を100%とした際に、中古価格がどれほどの率になっているかを示します)
ボリュームゾーンは2017年モデルに集中しており、特にMacBook Pro 2017年モデルが最も出品の多いモデルでした。
MacBook Pro 2017年モデルは、前身の2016年モデルからキーボードなどの不満点を解消し、順当進化を遂げたモデルです。ファンクションキーの代わりに「Touch bar」と呼ばれる独自のインターフェースを搭載しており、タッチ操作による明るさ調整やシークバーの操作に対応しています。これらが二次流通市場で評価されている可能性があります。
・Aランク~Cランク、1ランク下がるとリセールバリューおよそ10%減
フリマアプリにおける、2017年~2022年に発売されたMacBook全体のリセールバリューは、S→A、C→Dランクになる際の下落幅が大きく、1つ下がるごとにおよそ¥20%下落していたことが分かりました。
一方でA~Cランクの間はリセールバリューの下落幅は比較的小さく、10%程度となっています。
フリマアプリの出品基準では、Aランクが「未使用に近い」、Bランクが「目立った傷や汚れなし」、Cランクが「やや傷や汚れあり」。本体カバーやフィルム等でMacBookを保護することが、結果として高い売却価格に繋がることが分かります。
(2)リユースショップにおけるリセールバリュー
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「MacBook Air」ストレージ最小モデルのリセールバリューが高い
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「Pro」も、ストレージ最小モデルのリセールバリューが高い
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「Pro」は2018年モデルのリセールバリューが高い
・「MacBook Air」ストレージ最小モデルのリセールバリューが高い
MacBookのリユース店買取価格を「Smapra」で集計したところ、特に「Air」シリーズのなかでもストレージ容量の少ない、低価格モデルのリセールバリューが高いことが分かりました。
例えば2018年式MacBook Airは、最も価格の安い、内部ストレージ128GBモデル(発売価格:13万4800円)のSランク買取価格が5万円、残価率が34.34%であるのに対し、上位機種にあたるストレージ256GBモデル(15万6800円)の買取価格が5万6000円、残価率33.07%と、買取における残価率は1.27ポイントほど、ストレージ最小モデルのほうが高くなっています。
また2019年モデルは、ストレージ128GBモデルが43.28%、256GBモデルが39.08%と、4.2ポイントの開きがあります。
中古品の新品に対する大きな強みは価格です。「MacBookが必要だが、お金を掛けたくない」という需要の高さが、ストレージの少ない低価格モデルの高い買取価格につながっていると考えられます。
・「Pro」も、ストレージ最小モデルのリセールバリューが高い
Sランクにおける、2020年式MacBook Proのうち、ストレージ最小モデルにあたるMacBook Proのメモリ8GB・core i5・ストレージ256GBモデルは45.18%でした。一方で上位グレードにあたるメモリ16GB・core i5・ストレージ1TBモデルの買取残価率は40.93%。ストレージ最小モデルのほうが4.25ポイント、リセールバリューの良い結果となりました。
また、同じくSランクで、2019年式上位グレードのMacBook Pro(16インチ・メモリ16GB・core i7・ストレージ512GB)の買取残価率が38.37%に対し、ストレージ最小モデル(13.3インチ・メモリ8GB・core i5・ストレージ128GB)は39.08%と、ここでも0.71%の差がついています。
これは当時のストレージ大容量モデルが、現在のストレージ最小モデルと同一の容量(256GB)であることから、人気が集まりにくくなっていると推測できます。
なお、AirとProをあわせたストレージ最小モデルのS~Jランクのリセールバリュー平均は37.82%、ストレージ最大モデルのリセールバリュー平均は36.03%でした。
・ジャンク品でも定価の1割で売れる
リユース店における各ランクごとの平均買取価格と残価率を調査したところ、Sランクで残価率41.95%となり、未使用に近いAランク(39.47%)、目立った傷のないBランク(35,77%)まで買取金額に大きな差が生まれないことがわかりました。
さらに、Jランク(ジャンク品)でも、各モデルを平均した残価率は10.42%となりました。ジャンク品は正常に動作しない部分があったり、激しい傷があったりといった、通常利用が難しいモデルです。それでもパーツ単位でのリユースや、資源リサイクルなどの使途があるため、買取を行っている企業も存在します。
もしお手持ちのパソコンが完全に動かなくなった場合でも、リユースショップに持ち込めば、買取金を受け取りつつ、資源の適正な再利用に繋がる可能性が高まります。
・「Pro」は2018年モデルのリセールバリューが高い
「Smapra」において、「MacBook Pro」2018年モデル(13インチ・メモリ8GB・core i5・ストレージ256GB)のS・Aランクが買取残価率が30%を超えておりました。本調査において、残価率が30%を超えた最も古いモデルです。
2018年モデルはデザインに大きな変更がない一方で、CPUが大きく進化し、キーボードやディスプレイに改良が加えられました。こうした実直な改良が現在のリセールバリューの高さにつながっていると言えます。
◆iPhone編レポート
続いて、前回の7月~9月調査に続き、10月~12月のiPhoneリセールバリューレポートをご紹介します。
(1)フリマアプリにおけるリセールバリュー
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目立つ「iPhone14 Pro」「Pro MAX」不足
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「mini」シリーズのリセールバリューが「Pro」シリーズ超え
・目立つ「iPhone14 Pro」「Pro MAX」不足
今回の調査で目立ったのが、14Proシリーズの不足です。同シリーズのいくつかのモデルは新品を超える相場で取引されています。
調査期間内において、SランクのiPhone14 Pro 128GBモデルは新品と比べ116.82%、iPhone14 Pro MAX 128GBモデルに至っては120.75%と、アップル公式よりも2割高い相場で取引されていたことが分かりました。
最新のiPhone 14 Proシリーズは「Dynamic Island」(ダイナミックアイランド)と呼ばれるインカメラと通知領域を兼ねたデザインや、常時表示ディスプレイなどの新機能が話題を呼ぶ一方で、昨年秋から冬にかけて品薄となり、入手まで時間がかかる場合がありました。こうした需給バランスを反映し、S・AランクのiPhone14 Proシリーズは定価を超える相場を記録したモデルが見られました。
・「mini」シリーズのリセールバリューが圧倒
iPhone12・13の「mini」シリーズに注目が集まっています。流通台数の多さに加え、同時期の「Pro」モデルよりも高いリセールバリューを記録。iPhoneの小型モデルに対するニーズの強さが浮き彫りとなりました。
iPhone12 mini 64GBモデルのSランクは10月から12月にかけて529台が流通し、フリマアプリ残価率は89.94%でした。ストレージの大きい128GBモデルに至っては99.11%と、ほぼ新品価格で取引されています。
一方で、同じSランクの12無印・128GBモデルは104台が流通し、フリマアプリ残価率は68.76%。
12Pro 128GBモデルは54台が流通し、82.27%のフリマアプリ残価率でした。
iPhone13 miniでは、ストレージ最小モデルの128GBモデル・Sランクにおけるフリマアプリ残価率が104.73%、中位モデルの256GBモデルは110.42%と、どちらも定価を超えています。一方で同じSランクのうち、13無印・128GBは283台の流通、フリマアプリ残価率は81.89%。
13 Pro・128GBモデルは89台が流通、97.72%でした。
人気の低さを理由に14シリーズで廃止となったminiモデルですが、少なくとも国内のリユース市場においては未使用のminiモデルは高く評価されています。
・新モデル発売の影響は「2年前」のモデルに大きく影響
前回の2022年7月~9月調査と比較した場合、iPhone13・iPhone12の残価率が大きく低下しました。要因と見られるのはiPhone14シリーズの登場です。iPhone14の登場により買い替え需要が進んだことが主な要因であると考えられます。また、iPhone14の発表を受けてSEやAndroidモデルを購入する動きがあったとしても不思議ではありません。
本調査においては2020年に発売されたiPhone12のリセールバリューがiPhone14発売前と比べて-16.51ポイント減の60.71%(全容量平均)でした。
(2)リユースショップにおけるリセールバリュー
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Dランク iPhone Xの買取残価率は1桁台に
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iPhone14 Maxの買取残価率は「iPhone 12 mini」並
・Dランク iPhone Xの買取残価率は1桁台に
DランクiPhoneXの64GB・256GBモデルは、新品を100とした際の買取残価率が1桁まで下落しました。
例えば64GBモデルは、発売価格が12万1824円(税込)に対し、Dランクの買取相場が1万1220円で、残価率は9.21%となりました。また256GBモデルは発売価格14万184円に対し買取相場が1万2540円と、残価率は8.95%となりました。
発売から5年以上が経過した同モデルはカメラやCPUなどの性能が最新モデルに比べ見劣りするようになっており、また低価格モデルを求める層の一部は安価な「SE」モデルを購入する動きがあります。こうした背景から需要がかなり限定的になっていると見られます。
・iPhone14 Maxの買取残価率は「iPhone 12 mini」並
14シリーズから始まった、無印大画面モデル「Max」は、早くもそのリセールバリューに暗雲が立ち込めています。
リユース店におけるSランクのiPhone14 Max 128GBモデルの買取残価率は81.80%でした。これはiPhone 12 mini 128GBの買取残価率80.88%とほぼ同等と言えます。
iPhone14は前モデルから目立った性能向上がなく、「Max」はその大型モデルとなります。国内の二次流通市場では大型モデルよりも通常モデルが多く流通する傾向があるため、値崩れのリスクがあります。
◆リユース事業者向けの相場検索ツール「Smapra」(スマプラ)とは
「Smapra」は、月額3万円から利用できる、各買取店舗やフリマアプリの相場情報を分析するサービスです。
フリマアプリ4社、ECモール3社。10社の企業サイトのデータを活用いただけます。相場データは日々更新されるため、迅速な買取相場表の作成に役立ちます。
対応カテゴリーはiPhone・iPadやAndroidなどのスマートデバイスと、WindowsやMacBookなどのPC、Apple Watchなど幅広く対応しています。
ご興味のある事業者さまには1ヶ月のトライアルをご用意しておりますので、ぜひお問い合わせください。
→「Smapra」サービスHP:https://smapra.com/
◆本件の調査概要
・リユース事業者向けの相場検索ツール「Smapra」で取得したデータにてフリマアプリ、店頭双方の相場を調査
・各機種の状態別に、フリマアプリもしくはリユースショップ買取価格の中央値データを使用
集計期間
2022年10月1日~12月31日
対象企業:
・MacBookを取り扱うリユースショップ2社
・スマートフォンを取り扱うリユースショップ5社
・フリマアプリ 4サービス
集計対象
◆MacBook
<フリマアプリ>
・2017年~2022年に発売されたMacBook Air・Proモデル
・期間内に各フリマアプリ内で売約したMacBook本体の相場を集計
・外れ値は除外
・入力間違いのあるモデルは除外(ストレージ8GBなど明らかに誤表記と思われるもの)
<リユースショップ>
・2017年~2022年に発売されたMacBook Air・Proモデル
・リユースショップの公開している買取相場を集計
・カスタムモデル(メモリの増量等)は除外
◆iPhone
<フリマアプリ>
・iPhone X~14及び各Pro・Max・miniモデル
・期間内に各フリマアプリ内で売約したiPhone本体の相場を集計
・ネットワーク利用制限なしモデルのみを集計
・SIMフリー、もしくはSIMロック解除モデルのみ集計
・外れ値は除外
<リユースショップ>
・iPhone X~14及び各Pro・Max・miniモデル
・期間中のリユースショップ買取価格平均値を集計
・ネットワーク利用制限なしモデルのみを集計
・外れ値は除外
◆用語の定義について
・リセールバリュー
本リリースにおける「リセールバリュー」とは、所有品を売却した際の価値を指します。高値で売却ができる品物は「リセールバリューが高い」と言えます。
・フリマアプリ相場
「フリマアプリ相場」は、弊社サービス「Smapra」で取得した4社のフリマアプリサービスで取引成立した出品アイテムのうち、外れ値を除いた中央値で算出しています。
・残価率
本リリースでは「残価率」という用語を使用いたします。新品を100%とした際に、中古価格がどれほどの率になっているかを示します。例えば10万円で購入した商品が、8万円で売却可能な場合は「残価率80%」となります。
・ランク
フリマアプリにおけるランクの定義は下記のとおりです。
Sランク…新品、未使用
Aランク…未使用に近い
Bランク…目立った傷や汚れなし
Cランク…やや傷や汚れあり
Dランク…傷や汚れあり
リユースショップごとにランクの定義は微妙に異なりますが、例えば「イオシス」では下記のように定義しています。本調査では、同社のランク付けを参考にご紹介いたします。
Sランク…使用していない
Aランク…使用感が少なく傷はない
Bランク…使用感はあるが目立つ傷はない
Cランク…目立つ傷がある
Dランク…難あり
また、MacBookにおいては「Dランク」に相当する買取金額が存在しないため、除外しています。
◆株式会社リスマについて
社名:株式会社リスマ
設立:2021年4月20日
代表:木村洋介
本社:東京都品川区平塚3-1-9 クレール川崎4階
事業内容:リユース業者向けの相場検索ツール「Smapra」(スマプラ)の運営、ECサイト制作・ECコンサルティング等
「Smapra」(スマプラ)サービスHP:https://smapra.com/
企業HP:https://company.re-sma.com/