しかしながら、後述の背景等を鑑みて、ZC社の当該提案を受けることは現時点において考えておりません。
背景と経緯
当社らはZC社に対して、2020年9月頃から、オフィスの無償貸与等を含むハンズオン型の支援を行っておりました。ハンズオン型支援は、ZC社の代表取締役である成田浩志氏からの要望によるものでございます。
そして、2021年3月24日には「株式会社Zero Crime 第1回J-KISS 型新株予約権(Ver.1.x系)」を通じてZC社を支援しました。その後、ZC社が事業開発をおこなう中で、成田浩志氏から当社らに対してピボット(事業内容の大幅な変更)の意向と事業説明を受け、当社らは熟考の上で速やかに快諾しました。
ピボット後の新事業は社会的意義が大きく、ベンチャー企業が取り組む社会的課題としては評価できるものの、一方で、莫大なキャッシュアウト先行型の『モノづくり事業』であり、ハードウェアの開発遅延や在庫リスクなど、事業計画の不確実性が高いと判断しました。
当然ながら、当社らは、投資先企業の成功を願って全面的に支援しております。そこで、ベンチャー企業の資本政策は不可逆的であるという性質を鑑みると、ZC社がJ-KISSを用いてファイナンスを続けることは、ピボット後の新事業においては将来の資金調達が困難になることが予想されました。
そこで、資金需要に応じたデットファイナンスを提案し、これらの意図をしっかりと説明した上で、双方が合意しております。なお、ZC社の代表取締役に対する個人連帯保証は設定しておらず、ベンチャー企業の健全な成長を促進する意図がございます。
2022年4月1日には、ZC社の防犯関連の新規事業に対する成長資金として貸付を実施しております。また、成田浩志氏からの要請に応じて適法に追加貸付を実施しております。
なお、成田浩志氏からの強い要望に基づき、当社らの経営陣である佐藤由太および齋藤洋希は、ZC社の社外取締役を無報酬で引き受けております。しかしながら、最大限にZC社の経営を尊重し、過度な介入等はおこなっておらず、良好な関係を保つように努めて参りました。
しかしながら、2023年2月下旬頃にZC社の代表取締役である成田浩志氏が、突如、行方不明になりました。その後、一方的かつ高圧的な内容で「債務放棄」と「J-KISS契約書に定められた義務の不履行」等の提案を受けました。
対応と方針
今般、政府がベンチャー企業育成のために、代表取締役の個人連帯保証を無くす貸付を推進しています。しかし、ZC社および成田浩志氏の一連の言動は、それらの政策に水を差すものであり、強いては、国内のベンチャー企業全体に対する評価を下げかねないモラルハザードを引き起こすと考えます。
さらに、ベンチャー企業の資金調達で頻用されているJ-KISSにおいて、ベンチャー企業が最低限度の義務すら果たさないことは常軌を逸した行為であると考えております。
これらのことから、ZC社の社外取締役を務める、当社らの経営陣である佐藤由太および齋藤洋希は、ZC社の代表取締役である成田浩志氏に対して、ZC社の代表取締役としての忠実義務および善管注意義務を果たすように警告しました。
それにも関わらず、本日に至るまで成田浩志氏の経営は改善されておりません。なお、佐藤由太および齋藤洋希の両名は、ZC社の社外取締役の責務を果たすことは不可能であると判断し、2023年2月17日に辞任しております。
一連の言動に対し、当社らは到底看過できません。
今後、当社らは、ZC社および代表取締役である成田浩志氏との対話を試みますが、状況に応じて法的手段を検討してまいります。