本書は、インプレスの専門メディア『クラウド&データセンター完全ガイド』による監修のもと、データセンターの市場動向、サービス動向、データセンター事業者の意向、企業の利用動向などをまとめた調査報告書です。2007年度に1回目のレポートを発行し、本年度で16回目を迎えました。
近年は、テレワーク・オンラインが定着するにつれて企業活動が急速にデジタルへシフトしつつあることで急増しているICT・クラウドサービス需要を背景に、その基盤となるデータセンター需要は昨年までとは比較にならないほど急拡大しています。このような中、この1年は政府のデジタル田園都市国家構想に基づいた国内デジタルインフラ強靱化と地方拠点整備の推進、ハイパースケール型データセンター市場へのさらなる新規参入・前倒しされる発表済み計画・用地の高値入札、リテール型における都心部でのインターコネクション向け・周辺主要都市でのハウジング向けデータセンターの新設、高騰する電力料金と脱炭素対応の4つがトレンドとして挙げられます。
本書では近年の国内データセンター新設トレンド、地域ごとの動向、データセンター事業者と利用企業の両調査などから、さらに加熱するハイパースケール型、インターコネクション向け並びにオンライン化・デジタル化によるハイブリッドクラウド・オンプレミス利用の再拡大といったリテール型データセンターの動向を中心に分析し、さらに政府の施策動向や最新トピック、高騰し始めた電力料金と省エネ法ベンチマーク制度への対応、上積みが求められる省エネ・再エネ・脱炭素に向けた取り組みを解説しています。また、データセンターカオスマップ(業界マップ)、国内の新設データセンター地図・地域別の全商用データセンター地図と日本国内全データセンター一覧を収録しています。
提供・需要の両者意向調査として、データセンター事業者を対象としたサービス・施設状況や高騰する電力料金への対応についての現状・意向、利用企業におけるITインフラ利用の現状・意向をそれぞれアンケート調査してその結果を収録しています。
巻末付録として、市町村別の国内全商用データセンター一覧(1000件弱)と国内商用データセンターサービス一覧(176事業者)を掲載しています。加えて、「データセンターサービス分析」では、国内で提供されているデータセンターサービス市場について各種スペックやサービス提供料金を多角的に分析しています。
本書は、2007年の初回発行以来、クラウド&データセンター完全ガイド(インプレス刊)が2000年から蓄積してきた資料・データや知見をもとに、過去から現在に至るデータセンター市場・産業の変遷から将来に向けた動向予測までを網羅しています。データセンター事業者がデータセンター新設・営業戦略を立案するうえで有用なデータと分析、最良の情報と示唆を提供します。
[新設データセンターに関する注目の調査結果]
■2023年にはハイパースケール型がリテール型を累積ラック数で逆転
図表1は日本国内の商用データセンターをハイパースケール型・リテール型に分けたうえで、新設・増床時のラック数を年次で集計したものです。
2022年末においては、リテール型がまだ上回っているものの、リテール型とハイパースケール型のラック数はすでに拮抗しており、翌2023年にはハイパースケール型が追い抜くことが確実視されます。その後もハイパースケール型の累積ラック数は増加し続け、その伸び・スピードも昨年予測より拡大・早まると予測しています。
ハイパースケール型は、2022年の累積ラック数は約30万ラックで、2030年には約2倍の60万ラック超に増加すると予測しています。これは、年間平均成長率(2022年~2030年)に換算すると年9.6%で増加することになります。
ハイパースケール型は、新規参入や計画前倒しがみられる、データセンターの大規模化、データセンターキャンパスとして複数棟の新設計画まで明らかになっています。一方、リテール型の新設は都市部でのインターコネクション用・周辺主要都市での新設が続くとみられますが、ハイパースケール型と比べると小規模で数も少なく、リテール型のラック数の伸びは限定的です。
また、総務省のデジタルインフラ強靱化事業は実施(新設費用確定・補助金請求)が2026年3月(令和7年度末)まで、経済産業省の地方拠点整備事業により造成した土地にて早ければ2025年からデータセンターが竣工・開設され始める見通しであることも、ハイパースケール型の増加が長期間維持される要因になっています。
出典:インプレス推計
【図表1 ハイパースケール型DC・リテール型DC それぞれの累積ラック数(2016年~2030年)】
■国内の全商用データセンター日本地図・地域別地図マップを収録
本書では、国内の全商用データセンターの立地状況を一覧表、及び地図にマッピングして整理しています。近年の新設データセンターに加え、1000件弱の全商用データセンターを7地域、及び主要10都市に分けて字名・地番レベルで地図上にマッピング。ハイパースケール型データセンターの建設状況など含めてひと目で把握できます。
出所:「白地図」(国土地理院) をもとにインプレスデータを用いて作成
【図表2 2022年新設、及び2023年以降に新設予定のデータセンター立地状況】
出所:「淡色地図」(国土地理院) をもとにインプレスデータを用いて作成
【図表3 東京都の全データセンター立地状況(計画中も含む)】
[データセンター事業者における現状・意向調査 注目の調査結果]
■半数のデータセンター事業者が利用料金の値上げを実施済み・実施予定
ロシアによるウクライナ侵攻以降、国際エネルギー価格の上昇・円安などによって、日本国内の電力価格が高騰し始めています。データセンターでは、顧客が消費した電力料金を、ラックの利用料金に含める形の固定価格でサービスを提供しているケースが多く、仕入れである電力料金の高騰は事業者の収支を圧迫します。
データセンター事業者に電力料金上昇分をデータセンターの利用料金に転嫁する意向を尋ねたところ、「転嫁する予定」は40%で、「転嫁済み」の事業者も10%となっています。すでに半数の事業者が転嫁済みまたは転嫁予定です。さらに、「検討中」が32%で高く、多くの事業者が転嫁する傾向です。事業者の従業員規模別による傾向の違いは見られず、どの規模の事業者も転嫁するのがデータセンター業界の流れになる見込みです。
【図表4. 高騰する電力料金のデータセンター利用料金への転嫁意向】
<<調査概要>>
■データセンター事業者における現状・意向調査
調査目的 |
データセンターサービス提供事業を運営する企業に対して、大手クラウドサービスとの連携やパブリック/ハイブリッド/ホステッドプライベート/SaaSといったクラウドサービスとVDIサービスの提供状況、ファシリティ保有状況と今後の調達意向、今後の事業の方向性や戦略(投資状況や今後の事業継続性)、高騰する電力料金への対応などについての動向把握 |
調査対象 |
・株式会社インプレスが発行する専門メディア「クラウド&データセンター完全ガイド」が保有しているデータセンターサービス事業者約180社の担当者・データセンター・イノベーション・フォーラム2021/2020/2019(主催:データセンター・イノベーション・フォーラム プログラム委員会、株式会社インプレス)に参加したデータセンター/クラウド基盤サービス事業者約600 |
調査方法 |
対象者にメールを送付し、Web上のアンケートフォームへ誘導 |
有効回答数 |
50社 |
調査期間 |
2022年12月1日~12月16日 |
調査企画・実施 |
株式会社インプレス インプレス総合研究所/クラウド&データセンター完全ガイド |
■ITインフラのユーザー企業への現状・意向調査
調査目的 |
ITインフラのユーザー企業におけるデータセンター及びクラウドサービスの利用動向把握 |
調査対象 |
・株式会社インプレスの媒体/サービスである「IT Leaders」(https://it.impressbm.co.jp/)の読者 ・株式会社インプレスが実施したセミナー・イベントなどの事前登録者・受講者・来場者の中のユーザー企業 |
サンプリング条件 |
業種:ITインフラのユーザー企業、顧客のためにデータセンターを検討する企業 役職:勤務先においてデータセンターの選定や決定に関与する個人 |
調査方法 |
対象者にメールを送付し、Web上のアンケートフォームへ誘導 |
有効回答数 |
170人 |
調査期間 |
2022年11月28日~12月9日 |
調査企画・実施 |
株式会社インプレス インプレス総合研究所/クラウド&データセンター完全ガイド |
<<調査報告書の製品形態、及び販売に関するご案内>>
書名 :データセンター調査報告書2023
[ハイパースケール型への投資が加速 脱炭素化が始まった国内データセンター]
監修 :クラウド&データセンター完全ガイド
編:インプレス総合研究所
発行所:株式会社インプレス
発売日:2023年3月17日(金)<予約受付中>
価格:CD(PDF)版・電子版 176,000円(本体160,000円+税10%)
CD(PDF)+冊子版187,000円(本体170,000円+税10%)
判型:A4判
ページ数:470ページ
ISBN:CD(PDF)+冊子版 978-4-295-01586-4
詳細、ご予約は右よりご覧ください。https://research.impress.co.jp/DC2023
以上
【株式会社インプレス】
https://www.impress.co.jp/
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