【対談】ソントレーゾ×ダイキン工業が行ったDXにおける業務効率化のサクセスストーリー

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DXという単語が世の中に大きな変化を与え、会社組織においても必要不可欠とされる今日。
社内へDXを導入する手段はエキスパートへの外注や、IT人材の採用、さらにはDXツールの導入など様々にあります。
しかし、どの手段においても課題となるのは社内のDX文化の普及です。
外部発注で場当たり的に課題を解消できても社内にスキルを持った人材やノウハウが残らないことや、特定の人材がITの分野に長けているだけで全社的に変化が起きないこと、ツールを活用してもスキルアップには繋がらないことなどがあげられます。

このような課題に対して株式会社ソントレーゾが提供しているのが「教育支援」です。
Microsoft社 が提供するPower Platform を活用し、支援先にDX文化が広がる教育を実施しています。

そこで今回は、空調メーカーとしてグローバルシェアNo.1を誇るダイキン工業株式会社が行った業務効率化において株式会社ソントレーゾのPower Platform を主とした教育支援についてダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター西川様と株式会社ソントレーゾのCTO中村が対談しました。

 

 

 

「DXの先生が欲しかった」ソントレーゾの教育支援を選択したワケ

ーそもそもダイキン工業株式会社が社内業務においてDXを推進していくと決めた背景にはどのような考えがあったのでしょうか。

西川氏「弊社は製造業ということもあり、会社の長い歴史の中で各部門や社員が自身の業務を常に改善していくという意識は非常に高い状態にありました。そこに、昨今のDXの考え方が上手くマッチしたというのが大きいと考えています。その背景から各部署でデジタルを用いた業務改善を行っている状況が起こり、会社全体としてもデジタルを活用した業務改善を行いたいという意思が強くなっています。そこで、業務改善についてリサーチしてPower Apps を認知し、既にPower Apps を活用している部署が社内にあったこともありMicrosoft 製品を活用した業務改善を進めています。」

 

ーDX推進に関するツールやサービスは他にも存在しますが、その中でMicrosoft 製品を選択した理由は他にもあったのでしょうか。

西川氏「業務の改善対象や改善内容によっては他のサービスも使用していますが、弊社で既にOffice 製品を活用して業務を行っていたことが大きな理由です。Office のライセンスがあれば無料でPower Platform の一部を利用できることも魅力でしたし、何より使い慣れているOutlook やExcel との親和性も高いのではないかと考えました」

 

ーPower Platform を活用したDX推進を実施するにあたり、不明な点や質問事項はMicrosoft のサポートに直接問い合わせることも可能ではありますが、なぜ株式会社ソントレーゾの教育支援を導入することとなったのでしょうか。

西川氏「簡易的なアプリケーションの作成手順はインターネット上でも情報を得ることができますが、社内のDX化が進めば進むほど求められるレベルは高くなってきます。その状況において我々では解決できないことをMicrosoft社 のサポートに都度問い合わせることは、開発において前後関係などを知っていただくことまでの工数がかかってしまうことが多いと感じました。そして何より、不明点の解決を迅速に行うことによる業務改善のスピードを高めると同時に、私が所属するチームメンバーの育成や文化構築をセットで行ってくれる先生のような存在が欲しかったことが教育支援導入の動機です」

中村「当時、DX推進をサポートする他の企業はHow toをパッケージにして提供している形が多かったです。しかしHow toの提供を受けたとしても御社が求めていた社員育成や文化構築という点は補えませんよね」

西川「はい。その通りです。我々が求めていたかゆいところに手の届くような企業を探していく中でソントレーゾの代表取締役である小林社長が話されていたITの町医者という部分で我々の課題に寄り添ってもらえると感じて、相談をさせていただきました。

 

DXの技術と精神を根付かせる。教育支援の具体的な内容について

ーダイキン工業株式会社の業務改善とDXに強い社員育成を行うべく具体的にどのような教育支援を実施したのでしょうか。

中村「西川さんが所属するチームメンバーの皆さんはPower Platform について積極的に調べてはいましたが、虫食い的に理解されている方が多い印象でした。つまり、日頃使用されているOutlook やExcel の付帯的なサービスだという認識を持たれていたと思いますし、実際にPower Apps を活用されている部署もあったため、100%理解しているわけではないが全く知らないわけでもないというような状況でした」

西川氏「中村さんの話の通りで、我々はとても困るお客さんだったと思います。笑
プロでもなければ素人でもないという状況に対して、根本的な部分からじっくりと教育を実施していただきました」

中村「まず西川さんの所属するチームメンバーはモチベーションが高く、教育支援をしていてもメキメキと成長していくので、とてもやりがいがあります。内容としてはまず始めにPower Platform の前提的なご説明をしました。機能云々ではなくどんな背景で作られたサービスであるのか、Power Platform を活用するということは受動的なDX普及が得られるのではなく、自分たちがプレイヤーとなって普及していくものなのだという文化を伝えました。」
 

図1.当時 Power Platform の立ち位置の説明で使用した資料(2021年当時)

ー技術の教育支援の前に、意識や概念に対する訴求を実施したのですね。その後、どのようにしてダイキン工業株式会社の方々とコミュニケーションを図ったのでしょうか。

中村「前提を理解していただいたうえで、業務改善に関わるハンズオンを開催し、皆様の技術向上のためのハッカソン的な取り組みを行いました。ご質問やお悩みに関してはQ&A用のチャットを設けてテキストコミュニケーションを実施しつつ、定例会を設けてリアルでの対話も行いました。ダイキン工業株式会社におけるPower Platform の専門の医局のような存在とも言えます」

西川氏「教育支援を導入したばかりの頃は根気強くお付き合いいただけたという印象がとても強く残っています。“先生が欲しかった”と話しましたが、それは教育者としての先生でもあり、医者のような先生という存在でもあったので、株式会社ソントレーゾの教育支援は非常に充実したものでした」
 

図2.製品だけではなく、開発時におけるマインドの持ち方についても指導している

ー株式会社ソントレーゾではIT分野の町医者になるという経営理念を掲げていますが、それが反映された教育支援だったのですね。ダイキン工業株式会社としては教育支援を導入してどのような感想を持たれていますか。

西川氏「率直に導入して良かったなと思っています。特に教育支援を受けた私やチームメンバーはもちろんハンズオンなどを経験した社員のモチベーションが高まったことが大きな理由です。外部の方がDXによる業務改善に参画し技術的な支援を行うだけではなく、教育も行ってもらえたという経験が弊社の社員にとっては刺激的なものでしたし、その道のプロと接することで向上心が生まれたと感じます。もちろんそれだけではなく、安全にセキュリティが保たれた環境で業務改善が行えることや、不明な点について相談できる先生がいたことも良かったことの一つです」
 

教育支援によって生まれた文化とビジョン

ー株式会社ソントレーゾの教育支援を導入して、実際に教育を受けた社員の方々はどのような感想や効果を得ているのでしょうか。

西川氏「何よりも自分たちでできることが増えています。以前は業務改善の相談を受けても、これは自分たちでは難しいのではないか?ということがあったのですが、今では自分たちで解決策の立案を行ったり、仮説を立てて検証を行うことができています。それだけではなく、社内全体からPower Platform を活用した業務改善の需要が高まっています。これによって教育支援を受けた社員が他部署の社員に対して業務改善の教育支援を行なっている状態です。まさに、3年前の株式会社ソントレーゾと我々の関係のようなコミュニケーションが生まれています」

中村「教育支援を受けた方々が新たな先生となり社内のDXの文化を広げるというのは、3年前に思い描いた姿でした」

 

ー教育支援を受けた方々が他部署の方々へ教育支援を行う際に留意されていることなどあるのでしょうか。

西川氏「社内全体に向けたDXの教育支援という点では広く浅くという認識で動画や資料を作成しています。課題を単発的に解決する技術支援ではなく、例え話なども織り交ぜながら“これはこういうものなんですよ”という本質的な訴求をしています」

中村「高い技術を持った方がその分野について話すと、どうしてもテック的(技術寄り)な話になってしまいますよね。知らない人からするとハードルが高くなってしまいますよね。」

西川氏「その通りです。やはり教育支援を受けている社員はある程度の技術も理解もありますが、我々がコミュニケーションを取る相手はほとんどが非ソフトウェアエンジニアなので、それを当たり前にしては社内全体への浸透は難しいのでその点は留意しています」

 

ー株式会社ソントレーゾの教育支援を導入し社内に様々な変化が生まれているダイキン工業株式会社ですが、今後に対してどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

西川氏「Power Platform による間接業務やレガシーシステムの改善をするのはすぐには難しいですが、それ以外の業務や手作業についてはこれからも改善していきたいと思っています。そのために、市民開発的な発想で、Power Platform を題材にしたコミュニティ形成がさらに盛んになれば良いなと考えています。自分たちが抱える業務課題を自分たちの手で改善していける、その中心にPower Platform があるという状態を目指します」

 

ー株式会社ソントレーゾとしては、教育支援についてどのような展望を持っているのでしょうか。

中村「我々の中ではダイキン工業様への支援は理想としたモデルになりました。教育支援を開始した当時は、Power Platform に関する情報は今ほど出回っていませんでしたが、最近では認知度が上がりユーザーも増え、社会には様々なコミュニティが存在し情報をアウトプットしています。ただ、Power Platform を活用した運営の管理の点についてはセキュリティなども関わることから難しいものなので我々が支援を行えればと思っています。さらに西川さんがお話しされたような社内のコミュニティ形成においてDXに知見のない方への訴求の方法や、魅力的なコンテンツの作成サポートなどを行いつつ、会社全体の利益に繋がるような支援を行えればと考えています」

 

 

 

株式会社ソントレーゾ
「ITの町医者」としてPower Platform を主としたDX推進事業に注力しています。
全国の企業や自治体のDX推進のための導入・開発・教育の支援をおこなっております。
ホームページ https://sentreseau.com/
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