中赤外光に高い感度を持つ超小型のInAsSb光起電力素子を開発

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波長11μmまでの中赤外光を高感度で検出可能
超小型、低コスト、高速応答のプリアンプ内蔵型受光素子を開発
2月1日より販売開始
当社は、インジウム(In)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)を使用した最新の中赤外光検出素子と独自の回路設計技術を応用し、波長11マイクロメートル(以下μm、μは100万分の1)までの中赤外光に高い感度を持つプリアンプ内蔵型の受光素子である「プリアンプ付InAsSb光起電力素子 P16702-011MN」を開発しました。従来のモジュール製品と同等の感度ながら大幅に小型化するとともに低コスト、高速応答も実現した本製品により、工場周辺などの測定現場で排ガスの成分を即時に分析することができる可搬型のガス分析機器への応用が期待されます。
本製品は、国内外の環境計測機器、分析機器メーカーに向け、2023年2月1日(水)より販売を開始します。なお、本製品は1月31日(火)から2月2日(木)までの3日間、米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される国際会議「SPIE Photonics West(フォトニクス ウエスト)2023」の併設展示会に出展します。

分子が吸収する光の波長分子が吸収する光の波長

<製品の概要>
本製品は、電気信号を増幅するプリアンプを内蔵した化合物光半導体素子です。
分子には固有の振動があり、そのエネルギーに起因する特定の波長の赤外光を吸収します。この性質を利用して試料に含まれる成分の種類や量を分析することができるため、工場からの排ガスに含まれる窒素酸化物や硫黄酸化物などの分析では中赤外光が広く利用されています。
当社は、ガス分析や加工用レーザ装置のモニタリング用途などに向け、InAsSbを使用した中赤外光検出素子や、プリアンプをはじめとする電子回路や電子部品と素子を一体化し感度を高めたモジュール製品を開発、製造、販売していますが、市場からの小型化の要求に対応するため、超小型で低コスト、高速応答の受光素子の開発を進めてきました。
今回、InAsSbを使用し感度を約1.5倍まで高めた裏面入射型の最新の中赤外光検出素子を採用するとともに、独自の回路設計技術により素子とプリアンプを直径が約9mmと小型の円筒形のパッケージに内蔵しました。この結果、モジュール製品と比べ体積を約200分の1と大幅に小型化しながらも、波長11μmまでの中赤外光を同等の感度で検出できるプリアンプ内蔵型の受光素子の開発に成功しました。また、パッケージ内の配線を最適化することで、応答速度をモジュール製品の2倍となる100メガヘルツまで高め測定精度を向上させるとともに、部品点数を削減することでコストを低減しています。
本製品により、試料を分析室に持ち込むことなく、工場周辺などの測定現場で排ガスの成分を即時に分析することができる可搬型のガス分析機器への応用が期待されます。また、中赤外光を利用する高精度の分析用途では主流となっている一方でRoHS指令(※1)の制限物質を含む、テルル化カドミウム水銀(MCT)検出素子からの置き換えが加速すると見込まれます。当社は、受光と発光の両素子を生産している世界でも数少ない企業であり、本製品と当社の量子カスケードレーザ(QCL : Quantum Cascade Laser ※2)を光源として組み合わせることで、より高速で高分解能、高感度の測定を実現することができます。
今後、周囲の温度変化に影響を受けず、測定結果の信頼性を高めることができる冷却タイプの開発を進めていきます。
※1 RoHS指令:欧州の電気電子機器の特定有害物質使用禁止指令で、制限対象物質を指定の濃度以上に含む電気電子機器の欧州市場での販売を禁止するもの。
※2 量子カスケードレーザ:発光層に特殊な構造を用いることで、従来のレーザと異なり、中赤外から遠赤外の波長領域において高い出力を得ることが可能な半導体光源。 

主な仕様主な仕様

●販売開始             2023年2月1日(水)
●販売価格(税込)   プリアンプ付InAsSb光起電力素子P16702-011MN  132,000円
●販売目標台数         初年度30台/年、3年後500台/年
 

本製品の応用イメージ1本製品の応用イメージ1

本製品の応用イメージ2本製品の応用イメージ2

プリアンプ付InAsSb光起電力素子P16702-011MNプリアンプ付InAsSb光起電力素子P16702-011MN

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〒435-8558 静岡県浜松市東区市野町1126-1
TEL053-434-3311 FAX053-434-5184 E-mail: takamasa.saito@ssd.hpk.co.jp

 
 

 

 

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