2桁増益見込むが増益率は秋号より低下 原燃料価格の高騰が業績に影響

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 3月期決算会社の2023年3月期第2四半期決算が出そろいました。株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:駒橋憲一)では、業界担当記者が決算発表を受けて取材を行い、全上場会社について独自に今期、来期の業績予想を見直しました。
 四季報予想を集計した結果、今期(22年10月期~23年9月期、対象3538社)の予想営業利益は、全産業で営業利益が15.9%増加する見通しとなりました。原材料や燃料価格の上昇によるコスト増などが影響し、22.6%の営業増益見通しだった四季報秋号(22年9月発刊)から、増益率は低下しました。
 業種別では、値上げが相次いだ食料品が前期比11.4%増益と、四季報秋号より増益率を引き上げています。情報・通信は前期赤字だったソフトバンクグループが黒字転換することで営業利益が2.2倍に拡大。また、コロナ禍の影響が薄れて移動需要の回復が進み、鉄道大手を中心に陸運業は4.0倍の営業増益、空運業は3期ぶりの黒字化を見込みます。
 一方で、燃料価格の高騰が直撃し、電気・ガスは赤字転落の見通しです。31業種(銀行業、保険業を除く)では、電気・ガスのみが営業赤字予想です。セメントなどのガラス・土石製品も原材料高などが痛手となり、四季報秋号の営業増益予想から一転、減益予想となりました。
 市場別では、東証プライム・名証プレミアの企業は15.7%の営業増益、ネット関連サービスの企業が多い東証グロース・名証ネクストの新興市場は26.9%増益の見通しです。
 一時は1ドル=150円台になった外国為替市場での円安ドル高は落ち着きを取り戻してきましたが、原材料や燃料価格の高騰を受けて、各業界では製品やサービスへの価格転嫁の動きが継続しています。世界的なインフレ継続と米欧などの利上げによって世界景気が後退局面に入るとの見方も広がってきています。四季報では来期の全産業の営業利益を11.3%の増益と予想、今期よりも営業増益率は鈍化する見通しです。

(注)業種別、市場別業績集計の算出方法
『会社四季報 2023 年1集』掲載会社で、今期・来期の予想および実績2期分がある企業の業績を集計。実績・予想とも連結決算の数値を優先。ただし、決算期変 更企業、連結決算方式変更企業、上場企業の子会社は除く。銀行、保険の営業利益は集計していない。
 

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