「戦略的テクノロジのトップトレンド2023」(ガートナー発表)を中心に、デジタル変革の観点からビジネスの風景が来年どのように変化するかを紹介しています。
1. デジタル免疫
図にあるように、複数の技術対策を組み合わせることにより企業のアプリケーションやサービスをソフトウェアのバグやセキュリティ問題から保護する「デジタル免疫システム」。
- バグによる被害を減らし、ユーザーエクスペリエンス (UX) を向上
バグなどの障害から迅速に回復できるようにレジリエンスを高めることを目的とする「デジタル免疫システム」を取り入れることで、顧客への負担を減らしユーザーエクスペリエンス (UX) の向上が期待できます。
- デジタル免疫を導入することにより、80%のダウンタイムを削減
IT部門は企業の76%の収益を担っており、デジタル免疫を導入することによって80%のダウンタイムを削減するこ
とが可能とみられています。
2. 業界クラウド
本来は別々に提供されるSaaSアプリケーションを、ある業界に特化してパッケージ化した「業界クラウド」。企業の半数以上が、2027年までに業界クラウドを利用すると言われています。(ガートナー予測)
組織の俊敏性を高めてイノベーションを加速し、価値実現までの時間を短縮することがメリットとして挙げられます。
- 業界クラウドの利用に関して注意すべきポイント
1、既存のテクノロジを大幅に置き換えるものではなく、新しい機能をもたらす「補完的」なものとして位置づけること
2、テクノロジとビジネスを横断する融合チームを設置し、IT部門と協働させること。それによって、業界クラウドの実現に向けた全社的な理解と協力を得ることができる
3、業界クラウドをそのまま導入するのか、自社のニーズに合わせて再構築するのか明確にすること
- 新規デジタルサービスの立ち上げは、クラウド上での提供を優先的に検討するべき
デジタル庁が発表した「デジタル社会の実現に向けた重点計画」から、日本に根ざしたクラウドサービス産業は未熟であるという現状があるため、クラウド技術の発展を支援する取り組みが今後増えていくことが読みとれます。
従って、新規デジタルサービスの立ち上げを考えている企業は、クラウド上での提供を優先的に検討するべきでしょう。
3. AI TRiSM
「Trust (=信頼)」「 Risk (=リスク)」「Security Management (=セキュリティ管理)」の頭文字から生まれたAI TRiSMは、AIイニシアティブの信頼性、透明性、公平性を担保するためのツール群を指し、すなわち、説明可能性、ModelOps (モデルの運用化)、AIアプリケーションセキュリティ、及びプライバシーのこと。
- AI TRiSMの導入は事業目標達成度やユーザー受容度の大幅な向上につながる
まだあまり馴染みのないコンセプトですが、規制の強化やAIの運用能力向上により今後その需要が高まり、AI TRiSMの導入によって事業目標達成度やユーザー受容度の大幅な向上につながりと予想されています。
潮流を見据えたDXへ
デジタル社会に向けての国の施策を、IT業界を席巻しているトレンドと照らし合わせて、「2025年の崖」対策に関して注目に値する動向をピックアップして紹介しました。今回は「デジタル免疫」、「業界クラウド」、「AI TRiSM」についてまとめましたが、デジタル人材の育成・確保に関連する事業など、行政が注力している領域は他にも色々あります。
このような動きをいち早くキャッチすれば、自社の意思決定に役立つ知見を得るだけではなく、国・自治体・省庁などの助成金・補助金を申請する際にも参考になる情報になります。
常にアンテナを張って時代の潮流や変化を見据える姿勢は、ビジネスのデジタル化に取り組む上で欠かせないことと言えるでしょう。
調査結果の詳細は、
「2025年の崖」への対策はまだ間に合う!デジタル化に向けて中小企業が行うべき3つの取り組み
(https://www.capterra.jp/blog/3204/future-trends-in-digitalization)
をご覧ください。
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