なお、eX-SGを導入済みの既築ビルに対しても本サービスと同等の機能を提供可能です。
■ 協業の背景
昨今、出社とテレワークを組み合わせたハイブリットワークやABW(※1)の導入が増加しています。そのため、企業(以下、テナント)は複数拠点を利用する社員への入館証の発行や管理が煩雑になっており、ワーカーも、拠点毎に複数のICカードを持ち歩いたり、入館手続きが必要になったりと、ビル内の共用部と専有部や、ビル間での「認証」が連携されていない課題が浮き彫りになってきました。
一方、ビルのデベロッパーやオーナーはビル竣工の3〜5年前に入退室システムを始めとしたビル設備を設計する必要があり、テナントニーズの移り変わりを先読みした、ビル設備の決定難易度が上がっています。
パナソニックも、eX-SGが長期間にわたって多くのビルで利用されるインフラ設備という性質上、幅広い製品バリエーションの提供や頻繁な機能アップデートが難しいという課題がありました。
このような背景から、2021年より、あらゆるものをシームレスにつなぐコネクトプラットフォームを開発するビットキーと、ビルの入退室管理システムのリーディングカンパニーであるパナソニックの2社の強みを生かした協業を検討開始し、個別のビル単位で連携を実施してきました。
この度、さらなる市場ニーズの拡大を見越して本サービスを共同開発。次世代の統合ビル入退室サービスとして標準提供いたします。
※1 ABWとは、アクティビティ・ベースド・ワーキングの略で、仕事内容に応じて働く場所や時間を変える働き方。フリーアドレスと異なり、オフィスデスクだけでなく、場所・拠点そのものを仕事内容に応じて選択できる特長がある。
■ eX-SG with workhubの概要
ビットキーのworkhubとパナソニックのeX-SGが連携した次世代の統合ビル入退室サービスです。
workhubシリーズの各種システムで入力され、生成する権限情報をworkhub Cloud 経由でカードリーダーへ展開し、ドア・セキュリティゲート・エレベーターなどを多様な認証手段で通過可能にします。
新築ビルでは本サービスの導入、既築ビルでは既存のカードリーダーにビットキーの認証用アダプタ(※2)を接続するだけで、スマホアプリなどの認証手段に対応します。そのほかQRコードや顔認証などは、タブレット端末の設置など簡易的な工事で対応が完了し、一例として、通常1年ほどかかる大規模ビルへの導入プロジェクトでは、数ヶ月程度に短縮が見込めます。
これにより、既築・新築問わず、テナントニーズの移り変わりに柔軟に対応できる、変化に強いスマートビル・スマートオフィス化を低コスト・短期間で可能となります。
※2 システム内通信を可能にするため、共同開発したモジュール
※3 APIとは、ソフトウェアやプログラム間で情報をやり取りするためのインターフェイスの方式。(Application Programming Interfaceの略)
※4 BLEとは、近距離無線通信Bluetoothの規格のひとつ。低電力消費に特長がある。(Bluetooth Low Energyの略)
■ eX-SG with workhubの特長
1, 多様な認証手段から自由に選択
ビルオーナーや管理者は、竣工時・竣工後問わず認証手段を自由に選択し、大規模な工事無しで追加できます。eX-SG同様ICカードのみの運用も可能です。2022年秋時点で、顔認証、スマートフォンアプリ、QRコード、スマートウォッチ、モバイルFeliCa(※5)、ICカードなどに対応予定です。
※今後も認証手段は追加される予定です。
2, AD(Active Directory)連携
テナントが保有している人事・組織情報と連携し、セキュリティ権限を一括管理する機能です。入社・退職時の権限付与・削除はもちろん、組織変更時も、所属部署や役職に紐づく権限情報に連動して入退室権限を変更できます。
3, workhubシリーズや外部ツールと連携
本サービスが導入されたビルのテナントが、受付システムや、会議室予約システムなどのworkhubシリーズを採用した場合、共用部から専有部まで同じ手段で認証できます。また、Googleカレンダーで登録した会議室予約の情報に連動し、ゲストにビル入館用のQRコードを発行したり、Slack(※6)やTeams(※7)などのビジネスチャットツールに来訪者到着を知らせたり、テナントが導入する外部ツールとの連携により、各種サービスがつながるスマートなオフィス環境の構築が可能です。
なお、従来よりeX-SGで提供しているアンチパスバック(※8)、警備システム連動、エレベーター運行制限(※9)などの機能も提供します。
※5 楽天Edyなどに対応。楽天Edyは楽天Edy株式会社が管理するプリペイド型の電子マネーサービスの総称です。
※6 Slackは、Slack Technologies,Incの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※7 Teamsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
※8 カード操作なしの入退室を防ぐ機能。例えば「入室」の手順を経ず、他の人と一緒に入室した場合、不正使用と判断し「退室」を抑制したりアラーム通知する
※9 夜間や休日には許可されている階の行先ボタンしか押すことができない制限
■ eX-SG with workhub対応ビルのテナントおよびワーカーのメリット
本サービスが採用されたビルでは、以下メリットを得ることが可能です。
※適用範囲はビルオーナー・管理者の判断により異なります。
・一人ひとり異なる認証手段の利用が可能
スマートウォッチ、顔認証など、一人ひとり異なる認証手段を選択することが可能です。多様な認証手段に対応できることで、鍵紛失リスクの低減や、鍵管理者の再発行の手間軽減につながります。また、退職者に付与したカギの権限はworkhubの管理システム上で削除するだけで、無効化することができます。
・多要素認証によって、セキュリティレベルを向上
役員室や書類保管庫、サーバールームなど、セキュリティを強固にしたい区画において、ICカード+顔認証のような複数の認証手段の組み合わせに対応でき、区画毎に異なるセキュリティレベルを設定することができます。
・異なるビル間も「”いつものカギ”がつかえる」
本社を利用しているワーカーが支社を利用する場合など、異なる複数のビル間でもセキュリティゲートや、エレベーター、ドアなど各種セキュリティを通過できる権限をリアルタイムに生成。いつも利用しているカギ(ICカードや自分の顔など)で各ビルの共用部・専有部の入室が可能になります。
■ eX-SG with workhub導入によるビル管理者・オーナーのメリット
・ビル管理業務の効率化
オフィスニーズや働き方が多様化する中では、ワーカーやゲストのための入退室権限やレイアウト変更等に伴う設定の追加や変更、ビル入退館ログをつかった分析など、ビルの入退室にまつわる管理の手間が増加します。本サービスを導入することで、テナントの管理者によるそれらの情報の直接管理が可能となり、ビル管理者はテナント要望対応の時間削減や省力化を実現し、コスト削減・品質向上を図ることができます。
・ビルの魅力向上
従来、オフィスビルは立地や設備など、竣工時のスペックでその価値が判断される事が一般的でした。しかし、働き方の多様化や、生産性向上への意識向上から、テナントの求める「魅力的なビル」のニーズは多様化し、その変化も早くなっています。本サービス導入により、テナント企業の多様化するニーズへ柔軟に対応可能になります。
■今後の展開
ビットキーとパナソニックは、本サービスを既築・新築あわせて年間100棟のオフィスビルに導入することを目指して、取り組みを進めてまいります。加えて、workhubとワーカー向けのサービスとの連携も視野に入れ、両社で、ワーカーの多様な働き方をより一層後押ししてまいります。