5G NRのミリ波技術は、ビームフォーミングや高機能アンテナアレイ・システムといった複雑な新技術の普及でも、新しい有用な通信周波数の採用でも主役となるに違いありません。しかしそのためには、いかなるケーブル接続もせずに、全てのデバイスをFR2周波数のもとでOTA(over-the-air)テストしなければなりません。さらに、先進の5G NRアプリケーションの多くは、超高速データ速度で超低遅延といういずれもFR2でしか実現できない能力を前提にしています。そこで、今回のローデ・シュワルツのテスト・ソリューションは、こうした要件や機能に対応できるよう特別に開発しました。CTIAによる承認は、米国のデバイス・メーカーやネットワーク事業者にとって、FR2周波数帯を含めた5Gデバイスの有効性を示すための足掛かりであり、その承認は世界的にも認められています。
共通の規格に基づくモバイル機器の承認は、相互運用性を保証するためのもっとも重要な基盤の一つです。ローデ・シュワルツは、5G FR2テストシステムを通じてこうした認証テスト機能を提供できる初めての試験・計測機器サプライヤとしてCTIAから承認されました。しかもそのシステムは完全なマルチAoA能力も備えています。このマルチAoA能力は、ミリ波帯におけるモバイル機器の性能を検証するうえで非常に重要です。こうした高周波数(たとえば28 GHzなど)の電波は大きな伝搬損失を被るため細いビームに絞る必要がありますが、その移動中の検出や追跡、ハンドオーバーに課題がともなう場合があり、マルチAoA測定が重要となるのです。
この新テストシステムには、先日、5G NR FR2のRRM(無線リソース管理)に対する試験プラットフォーム認証基準(TPAC)を業界で初めて達成したのと同じ最新の試験プラットフォームを採用しています。同テストシステムは、クワイエット・ゾーンを30 cmから40 cmへ、またシングルAoAからマルチAoAへ、バンド内からバンド外テストへと拡張できるため、さらに進んだテスト上の課題に取り組むための準備も整います。これには、デバイスを両手で横向きに持った場合や片手で縦に持った場合、頭部の影響など、その仕様策定作業がCTIAで続いているファントム試験も含まれています。さらに、3GPPリリース16/17/18とこれから登場してくるテスト仕様のサポートも計画中であり、将来性のあるプラットフォームへの確かな投資と考えていただけるようにしています。
ローデ・シュワルツのモバイル機器認証を統括するDr. Thomas Eyringは次のように説明しています。「当社は、全米における広帯域ワイヤレス接続の展開をさらに加速させようと傾注するCTIAをサポートできたことを大変光栄に考えています。私どもには最新の5Gミリ波対応製品のOTAテストに関する非常に豊かな経験がありますので、RFおよびRRMの認証ニーズを完全にカバーできる先取的なテストシステムを開発することができました。1つのテストシス
テムでCTIA のOTA性能テストのほか、3GPPやGCFが規定する試験をカバーしながら、RFとRRMの認証試験プロセスを完全に自動化できるという他に類のない可能性も見込めます」。
R&S®TS8980 Conformance test system
https://www.rohde-schwarz.com/jp/products/test-and-measurement/conformance-test-systems-3gpp-ctia/rs-ts8980-conformance-test-system_63493-8181.html