【調査報告】CES Keynote 予測分析で分かった“高成長企業の分岐点”

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 知識表現AIを用い、会話・文章データから組織課題を可視化するコグニティ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:河野理愛、以下「コグニティ」)は、CES2025・2026における企業トップのKeynoteスピーチ(以下Keynote)を対象に、「2025年までのトレンドを基に行った2026年Keynoteの予測分析の結果」と「2025・2026年を統合した総合分析の結果」を比較する分析を行いました。

 その結果、10年スパンで成長する企業に共通する“語り方の構造”の背後に、より本質的な「考え方の違い」が存在することが明らかになりました。本分析が示すのは、10年成長トレンドを「追う企業」と「押し進める企業」の差が、Keynoteの構造に表れるという点です。

CES Keynote 予測分析で分かった“高成長企業の分岐点”

 本レポート(詳細図表・算出方法含む)は限定公開です。Keynote/IR/技術発信の改善に関心のある方はお問い合わせください。

■ 予測分析と総合分析の差が浮き彫りにした、NVIDIA/AMD/Lenovoのスコア変化

 2025年までのCES Keynoteトレンドを基にした2026年のKeynoteの予測分析*では、各社が高い評価を得ていました。しかし、2025・2026年を統合した総合分析*を行うと、これらのスコアに明確な差が生じています。

・予測分析:2024/2025年のKeynoteの分析で得られた「10年で企業価値を200%以上に伸ばした企業の特徴」を基に、2026年に行われたKeynoteを分析。

・総合分析:2024/2025/2026年のKeynoteを総合して、「10年で企業価値を200%以上に伸ばした企業の特徴」を分析。

NVIDIA

・予測分析では高評価

・総合分析では 20点以上の低下

AMD

・予想・総合分析ともに 100点

・トレンドとの差を広げ、単独で抜きん出た結果

Lenovo

・予測分析では一定の評価

・総合分析では 20点以上の低下

 この違いは、技術力や事業規模の差では説明できません。

 予測分析では3社とも高評価でしたが、総合分析では、AMDだけが100点を維持し、NVIDIAとLenovoは20点以上スコアを落としました。この20点超の落差は、技術の優劣ではなく、「トレンドをどう更新し、誰を巻き込み、どこまで主導するか」という“思考様式の差”が構造スコアとして表れたものです。(本分析は、事業成果や製品優位性ではなく、Keynoteに表れる発信構造を比較したものです。)

 下の図では、10年成長率が高い会社のスピーチを基に各社のKeynoteスキルを分析して得点化して点として示し、上の点ほど高得点であることを表しています。図の左は予測分析した場合、図の右は総合分析した場合の各社の分析値です。予測分析では高い数値を示していた点が、総合分析では幾つか大きく落ちていることが分かります。

【結論】予測分析では見えなかった“落ちる企業”が総合分析で浮かび上がった

【結論】予測分析では見えなかった“落ちる企業”が総合分析で浮かび上がった

■ AMD:示したのは「語りの進化」ではなく「考え方の進化」

 AMDがスコアを維持した背景には、トレンドに適応するだけではなく、現状を前提としてトレンドそのものをさらに加速させる構造が見られた点が挙げられます。分析上、2026年のKeynoteでは話量が増加し、指示語の活用や聴衆への問いかけの比重が高まるなど、聞き手を巻き込みながら未来像を描く傾向が強まりました。AMDはその変化を最も強く体現しており、結果として他社との差を広げています。

 このことは、単にプレゼンテーション技法を磨いたというより、AI時代の計算基盤が社会や産業に何をもたらすのかという見立てを更新し、それに合わせて語りの骨格を進化させた、すなわち「考え方を進化させた」と解釈するのが自然です。

 下の図は、スピーチのストーリー展開を分析した結果です。図の左は予測分析、図の右は総合分析の結果で、それぞれ10年での成長率が200%を超える企業の平均を提示しています。右では直線的展開と枝分かれ展開が増えており、メインになるストーリーとその周辺の説明が充実していることを示していますが、実際にはAMDがこれらの数値を大きく押し上げています。

【結論】AMDはストーリー構造そのものを厚くしている

■ NVIDIA:同じトレンド上にいながら、加速度の差が生まれた

 NVIDIAもまた、2026年のKeynoteにおいてトレンド上の要素を強化しています。実際、AMDと同様に話量の増加や指示語の増加、問いかけの増加といった傾向は見られます。しかし、総合分析の結果としてはスコアが20ポイント以上下がっており、2025年から2026年にかけた「進化の幅」がAMDほど強く表れなかった可能性が示唆されます。

 今回の比較が示すのは、NVIDIAがトレンドを牽引してきた象徴的な存在である一方で、2026年のKeynoteにおいては、トレンドを“最大限に推進する役”をAMDがより強く担った、という構図です。

 下の図は、各社のKeynoteスピーチの話量を測定したものです。AMDが頭抜けて多いですが、それに次いで多いのが2026年のNVIDIAです。NVIDIAは2025年から話量が9%増えて2位に付けてはいるものの、他社をわずかに上回るレベルにとどまっています。

【結論】NVIDIAも増やしたが、AMDほど“差を作る増やし方”ではない

■ Lenovo:10年成長率144%でも“Keynote構造スコアは高い”、分岐点はPF構想

 Lenovoについては、企業価値の10年成長率が144%と、10年成長率200%を超える企業群には届いていません。一方で、本分析で算出したKeynoteの構造スコアは、10年成長率200%を超える企業の多くを上回る位置にあり、少なくとも「語りの構造」という観点では、成長企業群に近い要素をすでに備えていることが確認されました。このギャップは、Lenovoが“伸びしろ”を持つ可能性を示す一方で、今後の成長が何によって左右されるのかという論点も浮かび上がらせます。

 今回Lenovoは、自社のKeynoteにAMDやNVIDIAを招きながら、自らのプラットフォーム(PF)構想を語る構成を取りました。これはエコシステムを意識した構成であり、予測分析では良いスコアであることからも、トレンドに向き合う姿勢は明確です。一方で総合分析ではスコアが大きく低下しており、語りの構造としては「プラットフォームがこの先どう進化し、Lenovoがどのように主導性を発揮するのか」という未来像が十分に描き切れていない可能性が示唆されました。

 しかしこれは、Lenovoの事業実態や技術力が劣るという意味ではありません。むしろ、それらを生かすも殺すも、今回提示したプラットフォーム構想が成功するかどうかにかかっていると考えられます。その成功の鍵は、トレンドを追うだけでなく、トレンドをより進化させていく前向きな姿勢と、その姿勢をKeynoteの構造として一貫して示し切れるか、つまり、プラットフォーム構想を成長のドライバーに変えるために、外部を巻き込みながら“進化の物語”を更新し続ける発信が重要になると考えられます。

■ 第1弾分析との接続:ビジョン×エコシステム×主導性が「思考様式」として現れる

 コグニティは2026年1月26日に、CES Keynote分析から「10年スパンで成長する企業は、ビジョンを示し、エコシステムを呼びかけ、その中心を担う」発信構造を持つことを報告しました。

該当プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000012053.html

 今回の第2弾では、同じ構造を語れているように見える企業間でも、予測分析と総合分析の差として明確な優劣が現れること、そしてその差が「語り方」ではなく、語りの背景にある「考え方の進化」の違いとして説明できることが明らかになりました。

■ コグニティの示唆

<成長企業は、トレンドを語る企業ではなく、トレンドを進化させる考え方を持つ企業である>

 CES Keynoteの分析は、単なるプレゼンテーション評価ではありません。そこには企業が世界をどう捉え、変化をどう主導しようとしているのかという、経営の思考様式が色濃く表れています。成長企業は、トレンドに乗るだけでなく、トレンドを前提に自らの見立てを更新し、その更新された見立てを基に語りを再構築していきます。

 コグニティは今後も、こうした定性情報を構造的に分析し、企業の中長期戦略を読み解く示唆を提供していきます。

■ 分析レポートについて(限定公開)

 本分析で用いた

  • CES2025・2026 Keynote総合分析

  • CES2026 Keynote予測分析

は現在一般公開していません。

 ご関心のある方には、個社別のスコア内訳(話量・構造・問いかけ等)と改善の論点を含めて、個別に分析内容のご説明・資料提供を行っています。お気軽にお問い合わせください。

*お問い合わせ先:https://cognitee.com/contact

*本分析は、「経営者/CxO」「技術広報・IR担当者」「事業戦略・研究開発部門」を主な読者として想定しています。

コグニティ株式会社

コグニティ株式会社

◯ 社 名 :コグニティ株式会社
◯ パーパス :技術の力で、思考バイアスなき社会を。
◯ 事業内容 :定性情報の定量化技術を使った組織分析サービス
◯ 本 社 :〒140-0015 東京都品川区西大井一丁目1番2−208号
◯ 設 立 :2013年3月28日
◯ Web :https://cognitee.com/
◯ 資本金 :6億円(準備金含む)
◯ 従業員 :71名(リモートワーカー含む)
◯ 代表者 :代表取締役 河野 理愛
◯ 受賞歴他 :
■EY Innovative Startup エンタープライズ部門受賞(2019)
■第11回 HRアワード 人材開発・育成部門 最優秀賞(2022)
■第22回 一般社団法人日本テレワーク協会 テレワーク推進賞 優秀賞受賞(2022)
■第3回TOKYOテレワークアワード 推進賞(2023)
■一般社団法人生成AI活用普及協会協議員(2023〜)

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