本レポートは、アジア太平洋地域の13ヵ国のデータセンター管理者505名(一般企業70%、データセンターサービス事業者30%※)を対象に実施した調査をまとめたものです。
デジタルコミュニケーションツールやEコマースの普及に伴い、世界のデータを保存、処理するコンピュータシステムやサーバーを収容する施設であるデータセンターの需要が急増しています。この成長に伴い、データセンターで使用されるエネルギー量は4年ごとに倍増しており、現在データセンターは、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の最大4%を占めています。しかしながら、エネルギー使用状況を可視化し、事業価値を向上、効率を最大化し、廃棄物の削減を実現していると回答したデータセンター事業者はわずか28%でした。
JLLアジアパシフィック データセンター ヘッド クリス・ストリートは「アジア太平洋地域は、間違いなく世界で最も動きがあるデータセンター市場であり、戦略においても、事業環境の変化や高まるESG対策への期待に対応していく必要があります。データセンター市場は世界の温室効果ガス排出量の増加に寄与していることを認識することが急務であり、事業者は、直面している大きなサステナビリティの課題に対応するため、用地の選定から投資、施設管理まで、不動産のライフサイクル全体に関わるアドバイスを必要としています」と述べています。
本レポートによると、データセンター戦略において今後2年間で最優先事項は、サステナビリティと社会的責任の追求で、従来の生産性や効率性よりも優先項目となっています。ネット・ゼロカーボンの達成に向け、データセンター事業者と管理者は、電力消費を削減し、廃棄物を最小限に抑えるテクノロジーに注目し、電力の再生可能エネルギーへのシフトが予測されます。本調査によると、データセンター管理者の約50%が、2023年までにAI支援と自動化による冷却制御設計を採用する計画としています。また、将来的に気候変動に対する中立性、すなわちカーボンニュートラルを達成するためには、データセンターの建設を見直すことが重要であり、特に鉄やコンクリートといった炭素を多く含む材料を最小限に抑えることが重要であると回答しています。
データセンターに対する投資家の関心
インターネットサービスのクラウド化やネット通販へのシフトに伴い、投資対象資産の獲得競争が激化しており、投資資産としてのデータセンターにはリート、プライベートエクイティファンド、政府系ファンドなどが関心を寄せています。その結果、機関投資家は安定した収益源の追求だけでなく、ESGを主要な投資判断指標として位置づけるようになっています。
しかし、本調査によると、グローバルで統一されたデータセンター規格が存在しないため、詳細なESG指標の報告が困難な状況です。データセンター事業者は、投資家からの信頼を獲得し、株主の価値を生み、リターンの最大化につながる明確なKPI(重要業績評価指標)を設定することが不可欠です。
JLLアジアパシフィック ESGリサーチ ヘッド カミヤ・ミグラーニは「アジア太平洋地域におけるデータセンターの成長は、投資家や事業者にとっては、環境コストの上昇を伴うものの、より持続可能性に基づいた運用と開発の実践に必要な推進力となっています。同地域でより多くのデータセンターが必要とされる中、セクターを支えるアセットのグリーン化や、より積極的なESG戦略の議論が今後なされていくでしょう」と述べています。
レポートの詳細はこちら(https://www.joneslanglasalle.co.jp/ja/campaign/investor-perspectives/esg-ambitions-shaping-the-future-of-data-centres)をご覧ください。
※ 日本からの回答は含まれていません。
JLLについて
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フォーチュン500に選出されているJLLは、2022年3月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約100,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。https://www.jll.com