世界初】AIとブロックチェーンで実現する 次世代24H介護記録システムを2026年5月リリース

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ユニットケアの本質を守りながら多国籍人材とデジタル技術で介護の未来を切り拓く

この度、24時間シート(以下、24Hシート)のデジタル化に、AIによる多言語対応とブロックチェーン技術を組み合わせた、世界初の次世代介護記録システムを開発いたしました。最先端技術を使った、入力記録方法の簡素化と、アセスメントシートによるケアのムラ、無駄をなくす事による「やらなければいけないこと」の明確化により、介護人材不足と記録管理の信頼性という2つの社会課題に本システムは応えます。

24Hシートとは ― 利用者本位のケアを実現する記録手法

24Hシートは、ユニットケアを実践する介護施設において、利用者お一人おひとりの24時間の生活リズムを時系列で可視化する、個別ケアの根幹をなす記録手法です。2000年代初頭から日本の介護現場で発展してきたこの手法は、従来の画一的な施設運営から、利用者一人ひとりの生活の質を重視する「その人らしい暮らし」への転換を支えてきました。従来のケアプランが専門職による「必要なこと(ニーズ)」を中心に構成されるのに対し、24Hシートは利用者自身が「したいこと(デマンド・ウォンツ)」も含めて記録します。起床時刻、朝食の好み、排泄のタイミング、入浴の時間帯、趣味活動、就寝前の習慣など、生活の細部まで記録することで、その人の生活史や価値観を尊重したケアが可能になります。また、スタッフ間でケアの質を標準化し、情報共有の精度を高めることで、「Aさんの担当者しか知らない」といった属人的な状況を解消し、チーム全体で利用者様の尊厳ある暮らしを支えることができます。24Hシートは、WHO(世界保健機関)が提唱するICF(国際生活機能分類)の考え方とも親和性が高く、「できないこと」ではなく「できること」「したいこと」に焦点を当てた、真の利用者本位のケアを支える基盤として、現場で重視されています。

外国人就労者の円滑な業務を実現するAI多言語対応と視覚的入力

日本の介護現場では、深刻な人材不足を背景に、外国人介護職員の受け入れが急速に進んでいます。厚生労働省の統計によれば、EPA(経済連携協定)、技能実習、特定技能など複数の受け入れ制度を通じて、2025年には外国人介護人材は数万人規模に達すると予測されています。ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなど多様な国籍のスタッフが協働する環境が一般化しつつあり、今や外国人職員は日本の介護を支える欠かせない存在です。しかし、24Hシートのような詳細な日本語記録業務は、言語の壁が大きな障壁となってきました。日本語能力試験N3レベルが求められる中、専門用語や微細な生活状況の表現は難易度が高く、記録の質のばらつきや情報伝達ミス、記録業務への心理的負担が課題となっていました。結果として、能力の高い外国人職員が言語の問題で本来の力を発揮できない、あるいは記録業務に過度な時間を費やし利用者と向き合う時間が減少するという悪循環が生じていました。本システムでは、最新のAI翻訳技術を搭載し、記録の入力・閲覧を母国語で行うことが可能です。ベトナム語、タガログ語、インドネシア語、英語、中国語、ミャンマー語など主要な言語に対応し、介護専門用語や日常生活の微細な表現も高精度に翻訳します。「夜間に3回覚醒し、その都度トイレ介助」「食事を半分残したが、好物のおかずは完食」「笑顔で昔話をされ、娘さんの思い出を語る」といった具体的で詳細な記録が、言語を超えて正確に共有されることで、国籍の異なるスタッフ間でも利用者様の状態を的確に把握し、一貫性のある質の高いケアを提供できる環境を実現します。

また、部位の状態入力に関しては、端末上の体の部位をタッチおよびプルダウンすることにより正確に入力できます。

これらにより、外国人職員の記録業務への心理的・時間的負担を大幅に軽減し、日本人スタッフとの協働を円滑にし、多様な人材が本来の介護スキルを存分に発揮できる職場づくりに貢献します。

ブロックチェーンによる記録の信頼性保証 ―世界初の試み

介護記録は、利用者の健康状態やケア内容を証明する重要な法的文書であり、事故発生時の検証、行政監査への対応、家族への説明責任、さらには訴訟時の証拠資料として、多岐にわたる場面で真正性が求められます。特に近年、介護事故をめぐる訴訟の増加や、虐待防止の観点から記録の透明性への社会的要請が高まっています。しかし従来の電子記録システムでは、記録の改ざんリスクや事後的な編集・削除の可能性を完全には排除できず、「本当にその時刻に記録されたのか」「後から書き換えられていないか」という疑念を払拭できませんでした。本システムでは、ブロックチェーン技術『TSURU』を活用し、記録の改ざん不可能性を技術的に担保します。スタッフが24Hシートに記録を入力した瞬間、その内容はタイムスタンプと共にブロックチェーンに刻まれ、分散型台帳に保存されます。ブロックチェーンの特性により、一度記録されたデータは誰も改変できず、記録の追加は可能でも削除や書き換えは技術的に不可能です。これにより、「いつ、誰が、何を記録したか」を客観的に証明でき、記録の真正性を第三者が検証可能になります。これは介護分野において世界初の試みであり、記録の蓋然性を暗号技術によって証明することで、透明性の高いケアマネジメントを実現します。監査対応の効率化、訴訟リスクの低減、家族の信頼獲得、スタッフの記録に対する責任意識の向上など、多面的な価値を提供します。また、将来的には複数施設間での記録共有や、医療機関との連携においても、信頼性の高いデータ基盤として機能することが期待されます。

TSURUブロックチェーンについて ― 介護記録に「永遠の信頼」を刻む技術

本システムで採用したTSURUブロックチェーンは、弊社が開発した、組織向けのブロックチェーン技術です。TSURUが必要な理由は、介護記録という「人の尊厳を守る記録」に必要な、特別な機能があるからです。従来のブロックチェーン技術では、一度記録した内容を更新することができませんでした。しかし、介護の現場では、利用者様の状態は日々変化し、記録も追記や補足が必要になります。「朝は食欲がなかったが、昼には笑顔で完食された」といった経過を追加できなければ、本当の意味での24時間の生活記録にはなりません。TSURUは、記録の改ざんは絶対に許さないという信頼性を保ちながら、必要な追記や更新を正当な権限者だけが行える仕組みを実現しました。
これは、利用者様の生活の連続性を記録しながら、同時にその記録の真実性を守るという、介護現場が本当に必要としていた技術です。また、記録は施設内で厳格に管理され、外部に意図せず流出することがありません。利用者様とご家族の個人情報、日々の生活の詳細、健康状態といった極めて機密性の高い情報を、施設が責任を持って管理し続けることができます。家族が記録を閲覧したい時も、施設が必要な範囲だけを安全に共有でき、利用者様のプライバシーを守りながら透明性を確保できます。

TSURUは医療、製造、金融、行政など、「記録の信頼性」が何よりも重要な分野で採用が期待されるソリューションです。介護分野での活用は世界初の試みですが、利用者様の尊厳ある暮らしを支える記録に、最高水準の信頼性を提供できると確信しています。記録は、利用者様が生きた証であり、ケアの質を証明する大切な財産です。その記録を、永遠に信頼できる形で残す。それが、TSURUブロックチェーンが介護にもたらす価値です。

介護の未来へ ― 技術と人間性の融合

本システムは、単なるデジタル化ではなく、介護の本質である「人と人とのつながり」を技術で支えるものです。
AI翻訳により言語の壁を越え、ブロックチェーンにより記録の信頼性を確保することで、多様な人材が安心して働き、利用者様とご家族が安心して任せられる介護環境を実現します。
利用者様の尊厳を守り、スタッフが本来の介護業務に集中できる環境づくりに貢献してまいります。

■ 会社概要 

会社名:ONFET PTE. LTD. 

URL:https://onfet.ltd/

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