大澤教授は、2013年にデータの設計と使用可能なデータから対象の潜在構造を可視化するプロセスであるInnovators’ Marketplace on Data Jacket(IMDJ)を提案し、IMDJを単一分野のみならず異分野間のデータが流通する多層空間に拡張し、異種データのネットワークからなる創造的データ市場においてデータ間の相互作用を説明する研究開発を進めてきました。IMDJの手法はCOVID-19の流行予測のプロジェクトにも適用され、人の分布、特に「知らない人との接触」が本質的な情報であることを意味するStay with Your Communityという原理を発見し、2020年に発表されました。このたびの受賞は、こうしたデータ解析の本質に対する四半世紀にわたる一貫した研究成果は人工知能学会の「業績賞」に値するとの理由により受賞しました。同学会においては、2015年度以来6年ぶりの受賞者となります。
【大澤教授のコメント】
誠に光栄です。人工知能は機械学習と同義ではなく、はるかに広大な分野であり、日本の人工知能学はその広大な分野の夢と本質を追求する発展性と魅力において、世界のトップだと私は思っています。FRONTEOにおいても、個々のAI技術に加え、生まれ出るAI達と人々を繋ぐイノベーションに貢献できると嬉しいです。今後も、知識システムを育てる工学と3D連携(産官民学×国際×学際)の発展に寄与するとともに、FRONTEOの行動情報科学研究の展開において、戦略的な観点からの知見を提供してまいります。
【大澤教授 略歴】
1995年に東京大学工学研究科で工学博士を取得後、大阪大学基礎工学研究科助手、筑波大学ビジネス科学研究科助教授、東京大学情報理工学研究科特任助教授、同大学院工学系研究科システム創成学専攻の准教授などを経て2009年7月より同教授。知能情報学とデザイン学、認知科学の境界にあるチャンス発見学およびデータ市場設計学を自ら創始し国際会議や産学WSなどを開催。IEEEのデータマイニング国際会議(ICDM)においてデータ市場の観点で2013年からMarket of Dataなどのワークショップを成功に導く。人工知能学会では、ワークショップ(2001年)および全国大会(2019年)においてそれぞれ国際化の端緒を切った。
『Chance Discovery』 (Springer, 2003年)、『Innovators’ Marketplace』 (Springer, 2017年)、データ市場(近代科学社, 2017年)を含む編著書24冊のほか、雑誌論文100件余、国際会議論文約200件、産学両界での招待講演多数。人工知能学会理事(2017-18年)。人工知能学会功労賞受賞(2017年度)など。
■FRONTEOについて URL: https://www.fronteo.com/
FRONTEOは、自然言語処理に特化した自社開発AIエンジン「KIBIT(読み:キビット)」と「Concept Encoder(商標:conceptencoder、読み:コンセプトエンコーダー)」、「Looca Cross(読み:ルーカクロス)」を用いて膨大な量のテキストデータの中から意味のある重要な情報を抽出し、企業のビジネスを支援する、データ解析企業です。2003年8月の創業以来、企業の国際訴訟を支援する「eディスカバリ(電子証拠開示)」や「デジタルフォレンジック調査」などのリーガルテック事業をメインに、日本、米国、韓国、台湾とグローバルに事業を展開してきました。同事業で培ったAI技術をもとに、2014年よりライフサイエンス分野、ビジネスインテリジェンス分野、経済安全保障へと事業のフィールドを拡大し、AIを用いて「テキストデータを知見に変える」ことで、創薬支援、認知症診断支援、金融・人事・営業支援など、様々な企業の課題解決に貢献しています。2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。2021年1月第一種医療もと製造販売業許可を取得(許可番号:13B1X10350)、同9月管理医療機器販売業を届出(届出番号:3港み生機器第120号)。資本金3,034,846千円(2022年3月31日現在)。
※FRONTEO、KIBIT、conceptencoder、Looca CrossはFRONTEOの日本における登録商標です。