日本の森林の約5割を占めるコナラやケヤキなどの広葉樹林は、戦後の化石燃料の普及以降、需要が落ち込んでおり、その9割が木材の良し悪しに関わらず安価なバイオマスチップなどに利用されています。また、森林保全には適度な伐採などの森林整備が必要ですが、針葉樹と比べて市場価値が低く、経済的な理由によって管理が行き届いていない広葉樹林が増えています。そのため、今後、水源涵養や土壌保全、生物多様性保全、地球温暖化防止などの森林の持つ多面的な機能が発揮されない森林が増えていくことが予想されます。
今回の連携協定では、広葉樹が市内の森林面積の約4割を占める真庭市で、同市自治体、OSS、地元木材事業協同組合の3者が広葉樹の付加価値を高めるサプライチェーンを構築し、森林所有者および事業者への利益還元の実現とともに、森林の持つ多面的な機能が将来に渡って発揮される姿を目指します。
■実施内容
近年は、森林保護意識の高まりや外国産広葉樹価格の高騰により、国産広葉樹への注目が集まりつつあります。3者は本プロジェクトを通じて、広葉樹の新たな需要を調査し、付加価値の高い家具や内装材、樽などの活用のニーズを探索します。また、伐採から製材・加工、最終メーカーへの流通までを効率的に行うためのサプライチェーン構築による事業モデルの検証を行います。
【目的】真庭市における広葉樹の付加価値向上と、そのための事業モデルの構築
【期間】2023年8月~2027年3月
【各者役割】
・真庭市:取り組みについての情報発信、課題の抽出と必要な政策支援
・OSS:サプライチェーンシステムの設計・開発と運用・管理、広葉樹活用のための市場調査・マーケティング
・真庭木材事業協同組合:組合員と連携した木材供給および製材・加工に関する調整
■検証内容
・真庭市内で伐採・搬出された広葉樹の需要について調査するとともに、その活用スキームの有効性を検証する
・本取組を効率的かつ効果的に実施するためのサプライチェーンマネジメントの構築を目指し、そのためのシステムの有効性を検証する
・広葉樹の更なる価値創出に取り組み、経済効果、および、その他の事業性を検証する
真庭市、OSS、真庭木材事業協同組合は、持続可能な資源活用と産業発展が両立する新たな事業モデルを構築することで、森林のもつ多面的機能を維持し、日本の豊かな自然の保全に貢献してまいります。