アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:原田裕介、以下、「ADL」)は、Arthur D. Little Ltd. (Thailand)と共同にて、「日本・経済産業省とタイ・エネルギー省間のエネルギー・パートナーシップの実現に関する協力」のさらなる深化に向けたタイ最大の石炭火力発電所が所在するマエモ地区の脱炭素にかかる検討について、AOTS(一般財団法人 海外産業人材育成協会)を通じた、日・タイ政府・企業への支援を開始しました。
近年、新たな成長・投資機会である世界規模のグリーン化・脱炭素化は、日本政府としても重要な経済成長の柱と位置付けています。特にタイは、5,700社以上の日系企業が進出しており(中国、米国に次ぐ3位、2020年現在)、日系企業売上高も米国、中国に次ぐ3位(2018年現在)、海外直接投資残高は6位(東南アジアではシンガポールに次ぐ2位、2018年現在)と、日本の経済産業において東南アジアの最重要国の一つと言えます。
タイ政府は、新型コロナウイルスの影響などにより落ち込んだ経済の復興及び今後の成長に向け、同国が強みを有する農業・バイオテクノロジーの強化に加え、資源を有効活用する循環型経済を取り入れたBCG(Bio, Circular, Green)戦略を表明しており、Greenの文脈では、2050年カーボンニュートラル(以下、「CN」)実現に向けて、体系的なエネルギー政策と水素などを含む先端技術を駆使したロードマップの策定を進めています。
日本政府(経済産業省)は、タイエネルギー省とエネルギーパートナーシップ実現に関する協力覚書を締結しており、これまで両国の最近のエネルギー政策、特にCNに向けた取り組みを相互共有するとともに、タイにおける2050年CNに向けたエネルギー・トランジションロードマップの策定、及び水素、燃料アンモニア、炭素回収・利用・貯蔵、カーボンリサイクルなどの脱炭素技術といった個別の技術分野について意見交換を進めてきました。
両者は、日タイ企業間の具体的な協業プロジェクトのさらなる創出が重要であることを確認するとともに、タイ最大の石炭火力発電所が所在するマエモ地域の脱炭素化検討は日・タイ協力案件の象徴事例として政府・民間企業を挙げて取り組むべき重要な検討と定めております。
ADLは、AOTSと協同にて、タイ・エネルギー省下に設置が予定されている検討小委員会を通じた、日本政府・日系企業によるマエモ地域の脱炭素化・産業育成推進に向けて、下記のような知的貢献・働きかけを支援して参ります。
– タイ政府、マエモ石炭火力発電所を運営するEGAT、及び日本政府・関連日系企業間での協働スキーム構築
– 再生エネルギー、バイオマス、水素・アンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・貯留)、グリーン工業団地、スマート農業、スマートコミュニティといった重点検討領域の現状把握、方向性仮説立案、アクションプラン作成
– 各アジェンダ討議の重要なインプットとなる日系企業・団体招集、討議ファシリテーション
– 検討を通じた「マエモグリーンエリアロードマップ(仮称)」立案
– タイにおいてインセンティブ制度を所管する政府機関や産業団体に対する日タイ協力案件の認知向上、将来の具体的なインフラ投資・プロジェクト創出に向けた環境整備
また、本検討を通じた、タイBCG地域開発戦略に基づくタイにおける地方創生可能性探索、及びアジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)に基づくアジアの脱炭素化・エネルギートランジション協力への貢献も目指します。
【アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社/Arthur D. Little Ltd. (Thailand)について】
1886年に創業。マサチューセッツ工科大学のアーサー・D・リトル博士による世界最初の経営コンサルティングファーム。米国アポロ計画をはじめ、社会的インパクトが大きいイノベーションの実現を数多く支援し、自動車・製造業における経営コンサルティングに豊富な実績を有します。近年注力するカーボンニュートラル領域では、国内及びタイ・東南アジアにおいては、各国政府、地場国営・民間企業、各国における日本官公庁・日系企業に対しカーボンニュートラル・脱炭素関連の調査・分析、戦略立案、実行支援を多数実施ている他、グローバルでもドバイ道路交通局に対し2070年の都市交通・脱炭素を見据えた街づくりを長年支援するなど、多くの取り組みを実施しています。
詳しくはこちらまで⇒https://www.adlittle.com/jp-ja, https://www.adlittle.com/th-en