ウクライナ南部ヘルソン州で8月4日、国境なき医師団(MSF)が支援する病院が砲撃を受けた。この病院は、8月1日にも砲撃され、現地保健省の医師1人が死亡、医療スタッフ5人が負傷していた。最初の砲撃は大きく報道され、非難されたにも関わらず、病院とその周辺が攻撃される事態は変わらなかった。ウクライナの病院と民間インフラの保護を繰り返し求めてきたMSFは、改めて医療施設に対する非道な攻撃を非難する。
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遺体安置所を直撃
サイレンが砲弾の飛来を知らせる中、MSFオペレーション顧問のアンドリー・ドブラウスキーは病院の地下壕で作業をしていた。「MSFは、保健省職員と患者用に、病院の防空壕を整備していて、私は中で作業の監督をしていました。病院の敷地内に砲弾が着弾した時、強烈な爆発を感じました。粉じんが収まった後、地上に上がってみると、砲弾が遺体安置所を直撃し、コンクリートの構造物やガス管は壊れていました。当時病院にはスタッフや患者、約150人がいましたが、幸いにも全員無事でした。この病院は住宅街にあり、近くには学校やアパートがあるということを強調します」と憤る。
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繰り返される病院への攻撃
同病院は昨年ウクライナ軍が奪還した、前線からわずか数キロの地域にあり、72時間の間に2度も砲撃を受けた。2022年2月24日以来、MSFはヘルソン、ドネツク、ドニプロペトロウシク、ハルキウ、ミコライウ各州で医療施設の破壊を目撃し、医療施設の保護を繰り返し要請している。今回の攻撃も、MSFがこの戦争で目にしてきたパターンと一致する。特にロシア軍が民間インフラ、住宅地、医療施設に攻撃を続けていることにおいて、その傾向が顕著に表れている。
ウクライナでMSFの活動責任者を務めるシリル・カッパイは、「私たちは何度同じ惨事を目にしなければならないのでしょうか。この戦争において、ケアする人(患者の家族や看護師など)や患者になるということは何を意味するのでしょう。武器を操る人たちが人命への敬意を少しでも持つためには何が必要なのでしょうか」と問いかける。
「何を思っているにせよ、私たちはこの戦争で医療スタッフや民間人が被害を受けるのを繰り返し目にしてきました。伝えたいことはただひとつ。病院への攻撃をやめてください」