医師のRWDに対する理解・認知は一般の方に比べて高く、77.5%が医師の立場でRWDの積極的な活用を希望
個人として自身のRWDを積極的に活用されることを希望する医師は59%、一般の方は44.4%
RWD活用に不安を持つ理由として、一般の方の77.3%、医師の92.9%が個人情報・データの漏洩リスクと回答
一般の方・医師の大半が海外よりも日本のRWDに信頼・安心を感じるも、データ量が多ければ海外データも信頼
メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業 Moderna Inc.(以下、「モデルナ」)の日本法人モデルナ・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:鈴木蘭美、以下、「モデルナ・ジャパン」)は本日、一般の方ならびに医師におけるリアル・ワールド・データ(RWD)活用に関する意識調査の結果を発表しました。調査は、横浜市立大学医学部公衆衛生学准教授、東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学客員准教授の五十嵐中氏監修のもとモデルナが実施しました。
RWDとは、レセプト、DPC(Diagnosis Procedure Combination)、電子カルテ、健診、患者レジストリ、ウェアラブルデバイス等から得られる日常の実臨床の中で得られるデータの総称です。RWDは、個人情報が分からないように加工することで、第三者の利用も可能になり、医療や介護の質の向上、医療政策の評価、個人の健康管理、医薬品の臨床開発、ならびに疾患の基礎研究など多様な領域への応用が進んでいます。
調査の結果(*文末参照)、次のRWDについて「具体的にどのようなものか知っている」、「何となくどのようなものか知っている」と回答したのは、電子カルテデータ(一般の方44.1%、医師82.2%)、健診データ(一般の方48.2%、医師78.7%)、レセプトデータ(一般の方24.6%、医師78.6%)、DPCデータ(一般の方7.2%、医師75.3%)、ウェアラブルデバイス(一般の方34.8%、医師67.7%)、ワクチン接種記録システム(一般の方27.2%、医師64.6%)、患者レジストリデータ(一般の方10.4%、医師50.1%)であり、全項目で医師の理解度・認知度が一般の方を上回っていました。一般の方においては全項目で理解度・認知度は5割未満でした。
RWDの活用については、一般の方の44.4%、医師の59.0%が自分自身のRWDを積極的に活用することを希望しており、一般の方・医師ともに、自身の健康や治療のため(一般の方65.3%、医師71.7%)、新しい治療法やより良い治療法を見つけるため(一般の方56.6%、医師56.5%)、また医薬品の効果や治療の成果を確認のため(一般の方45.4%、医師52.5%)に活用を望んでいることがわかりました。医師としての立場で確認した際、RWDの積極的な活用を希望する医師は77.5%であり、置かれた立場によりRWDの積極的活用に対する考えが異なることがわかりました。
自分自身のRWDが活用されることに不安があると回答した人は、一般の方で36.6%、医師では39.4%となり、不安を感じる一般の方の77.3%、医師の92.9%が「個人情報やデータ漏洩のリスクがあるため」を理由に挙げており、RWDのさらなる活用促進には、このような心配に課題があることが明らかになりました。
また、今回の調査では、日本と海外のRWDに対する信頼感、安心感についても次の点が明らかになりました。一般の方・医師ともに、「日本のデータのほうが信頼感・安心感がある」と回答した人が大半を占める一方で(一般の方82.8%、医師74.2%)、日本の限られたデータと海外の大規模データのどちらを重視するかと聞いたところ、海外のデータを重視すると回答した人が一般の方で57.0%、医師で60.8%となりました。一般の方、医師ともに、日本のデータを望んでいるものの、データ量が多ければ海外のデータのほうを信頼し活用を許容する傾向があることがわかりました。また「新型コロナウイルス感染症の感染拡大後にイギリスやアメリカの公的機関や研究所からRWDが発表されましたが、感染拡大前後で自分自身のRWDの提供に対する考え方に変化はありましたか?」との質問に対し、「自身のデータを共有したいと思った」のは、一般の方で29.6%、医師42.2%と、「共有したくないと思った」人(一般の方10.8%、医師7.1%)を大きく上回りました。
五十嵐氏は、「自身のデータの積極的な活用を希望する割合が、医師で59%、一般の方で44%と、15%の差が見られた。データの性質や活用形態についてより多くの知見を持つ(であろう)医師がより高い割合になることは順当な結果ではあるが、一般の方でも4割以上が積極的活用に前向きなのは興味深い」と指摘。その上で、「医療情報の内容のみならず、得られた医療情報がどのように使われるのかの点も含めて、3年間のパンデミックを経てより『身近』になった結果ではないか」と述べています。また、「人数の多寡や研究デザインなどの問題こそあれ、国内データに対するニーズは依然として高い。RWDデータの取得や活用が人々の信頼を得るためには、データをまとめて報告すれば完了ではなく、データがどのように意思決定・政策決定に活かされたかも含めて吟味することが重要である。データの人数や取得方法・解析手法にばかり目が行きがちだが、活用方法や社会還元方法まで見据えた上で、企業・行政・大学などが連携していく必要がある」と述べました。
モデルナ・ジャパン代表取締役社長の鈴木蘭美は「RWDの活用は、一人ひとりにより適した予防や治療の選択につながると期待されます。海外で蓄積されたRWDを活用するだけに留まらず、日本のデータのほうが信頼感・安心感があると大半の方が感じていることをふまえ、モデルナはさまざまなステークホルダーと協力し合い、日本におけるRWDの理解と活用を推進してまいります」と述べています。
調査概要:リアル・ワールド・データ(RWD)に関する一般の方・医師への意識調査
横浜市立大学医学部公衆衛生学准教授、東京大学大学院薬学系研究科・医薬政策学客員准教授の五十嵐中氏監修のもとモデルナが実施
実施期間:2023年1月
対象条件:一般の方=全国の20~79歳の男女、医師=m3.com会員全医師
調査方法:インターネット調査 一般の方=楽天インサイトおよびQLIFEを通じて実施、医師=m3.com上で実施
回答数:一般の方=3,000人(男性49.7%、女性50.3%)人口統計における性別・年代の構成比に合わせて割付。医師=1,063人(男性88.7%、女性11.3%)
主な調査結果はこちらからダウンロードしてご覧ください。(メディアユーザー向け)
https://prtimes.jp/a/?f=d64549-113-910c42de57ca36f267c45a07a243ebf0.pdf
*主な調査結果概要
モデルナ社について
モデルナは、2010年の創業から今日までの10年強の間に、メッセンジャーRNA(mRNA)分野の科学研究型企業から、現在は7つのモダリティにわたる多様なワクチンと治療薬の製品並びに臨床開発段階のプログラムを有する企業へと発展しました。モデルナはmRNAと脂質ナノ粒子製剤を含む幅広い知的財産ポートフォリオを構築し、最新の大規模製造設備では迅速な臨床開発と臨床使用を目的とした生産が可能です。モデルナでは、国内外の様々な政府や企業との提携関係を継続しており、革新的な科学の進展と速やかな製造拡大の実現を可能にしています。最近では、これらモデルナの能力を結集した例として、新型コロナウイルス感染症拡大に対し、効果的なワクチンを早期に開発、承認取得に至ったことがあげられます。
モデルナのmRNAプラットフォームは、基礎および応用の研究・医薬デリバリー技術・製造においての継続的な進歩を目指して構築されており、感染症、腫瘍免疫学、希少疾患、心血管疾患、並びに自己免疫疾患のための治療薬とワクチンの創出を可能にしています。8年連続で、Science誌によりトップのバイオ医薬品企業として選出されました。さらなる詳細は、www.modernatx.com またはhttps://www.modernatx.com/ja-JPをご覧ください。