年々高まる健康経営への熱を背景に、健康経営優良法人認定制度への申請企業数は増加傾向にあります。毎年、健康経営度調査票の設問が一定数改訂されているため、引き続き認定を受けるためには、企業は継続的な施策の見直しと数値改善を行わなければなりません。また、健康経営優良法人(大規模法人部門)ホワイト500(以下、ホワイト500)の認定も、年々難易度が上昇しており、企業には健康経営の本質的な推進が求められています。
企業に健康経営の概念が浸透し、取り組みが推進されるなかで、従業員はどのように捉えているのか、その回答から企業が意識すべきポイントを探るべく調査を行いました。その回答結果より、以下のことが明らかとなりました。
■調査サマリー *結果詳細は後述
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健康経営の取り組みに対して、「関心はない(36.7%)」が最も多い。「どちらかというと関心はない(20.1%)」と合わせると、半数以上(56.8%)が“関心はない”と回答した。
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自身が勤める企業の健康経営方針やその計画についての理解は、「指針や計画が公表されているかわからない(42.2%)」が最も多く、次いで「理解していない(31.7%)」、「だいたい理解している(21.9%)」と続く。「詳細に理解している」は、4.2%に留まる。健康経営銘柄やホワイト500などの取得有無別では、健康経営銘柄を取得している企業の従業員ほど、方針や計画についての理解度が高い傾向にある。
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自社が行う健康経営の取り組みに対するメリットは、「どちらかというと感じる(42.8%)」「感じる(14.1%)」と、メリットを感じる回答はあわせて56.9%、「どちらかというと感じない(30.5%)」、「感じない(12.7%)」と、メリットを感じる回答がやや上回る。年代別では、20代や30代といった若手世代のほうがメリットを感じている傾向がある。
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メリットを感じる理由は、「自身の健康に気を遣うようになったから」が59.1%と最も多く、次いで「自身の健康状態に改善を感じたから」(48.6%)と続き、健康意識の向上や、健康状態の改善をメリットとして挙げる人が多い。
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メリットを感じない理由は、「取り組みによる変化や効果を実感できないから」という回答が最も多く半数を超える(52.4%)。次いで「人事側の一方的な取り組みに感じるから(21.3%)」、「従業員の不満や要望に応えるような取り組みだと感じられないから(17.6%)」と続く。
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「お勤め先で課題解決のためのサービス導入や取り組みを実施した場合、積極的に活用/参加したいか?」という問いに対しては、「そう思う」「どちらかというとそう思う」を含めると73.3%が“そう思う”と回答している。
■調査概要
調査概要:健康経営に関する一般従業員への実態調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年3月29日~同年3月30日
調査対象:一般企業に勤める人事・経営層を除く従業員1,000名
*構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
■まとめ
従業員の能動的な行動を促し、健康経営の取り組みが形骸化しないためのポイントは以下のようにまとめられます。
POINT1:従業員の健康意識を見定める
健康経営の施策を企画・実行する前に、「自社の従業員はどのような健康意識を持っているのか」を把握することが効果的です。健康への意識は高いものの、なかなか健康習慣をルーティン化できない従業員が多い企業の場合、健康セミナーやeラーニングといった健康について学ぶ施策を中心に実施してもあまり効果的ではありません。健康経営施策をより効果的に実施するためには、その対象となる従業員の特徴を理解することが大切です。
POINT2:従業員を惹きつける取り組みの進め方「継続ドライバー」
“従業員が健康経営の施策に継続的に参加したくなる要素”のことです。この継続ドライバーを意識して施策を実施することで、参加率の向上や従業員の継続的な参加につながります。
インセンティブ(有形/無形)を与える、交流や励まし合いが生まれるコミュニティ環境をつくる、ゲーム性のある競争やストーリーで楽しい感情を与えることなどが「継続ドライバー」の例です。
POINT3:効果検証で従業員の変化を捉え、次の施策へ
各施策の実施により、その前後で何が変わったのかを定量的に見ていくことが重要です。検証時には、セミナーやイベントの参加後にアンケートを取り、そのアンケート結果をストレスチェックや健康診断などのデータと掛け合わせて参加者の健康状態の変化を確認するなど、多角的に検証することが求められます。
<当社組織コンサルタント 風間 聖也より>
健康経営に取り組むことが、従業員だけでなく、取り組む企業にとってもメリットが大きいことは、研究レベルでも徐々に明らかになっています。そのため、形式的ではない本質的な健康経営の推進が望まれますが、踏み込んだ内容を実施できている企業はとても少ないのが現状です。もちろん、いきなり全てを完璧に取り組むことは難しいでしょう。まずは、できる範囲の取り組みを一つずつしっかりやり切ることが大切です。これからも健康経営のコンサルタントとして情報提供やコンサルティング等の支援を続け、本質的な健康経営を推進される企業が少しずつでも増えていくことに寄与したいと考えています。
本アンケート結果と考察について、当社のオウンドメディア「アドバンテッジJOURNAL」にて詳しく紹介しています。
「健康経営の取り組み、正直どう思ってる?」従業員1,000人に聞いた調査結果を大発表!~従業員を巻き込んで推進するためのポイントは○○?~
https://armg.smktg.jp/cc/0y12zfmrG
■結果詳細
半数以上が、自社の健康経営の取り組みについて「関心はない」、健康経営方針も把握していないが4割超
一方で、健康経営銘柄取得企業の従業員は関心が高い傾向も
健康経営銘柄やホワイト500などの取得有無別の回答結果(※1)をみてみると、健康経営銘柄を取得している企業に勤めている従業員の方が、健康経営への関心は高い傾向にあることがわかりました。一方で、同銘柄を取得しているにも関わらず、「内容を理解していない」「わからない」と回答している従業員も一定数存在することから、健康経営の推進に関する明文化と従業員の理解促進が課題であることも伺えます。
(※1)健康経営優良法人認定の取得状況は、調査回答者の認識によるもので、当方にて正確な情報を確認しているものではありません。
健康経営の取り組みでメリットを感じている従業員は半数以上、若手世代ほどメリットを感じている
健康経営により、「自身の健康に気を遣うようになった」 「健康状態に改善を感じた」に加え、「仕事のモチベーションが向上」」した従業員も
「自身の健康に気を遣うようになったから」、「自身の健康状態に改善を感じたから」のように、健康意識の向上や、健康状態の改善にメリットを挙げる人が多いなか、4位には「仕事へのモチベーションが向上したから」という回答も挙がっており、健康経営が従業員のモチベーションアップや生産性アップに結びついていることがうかがえます。
また、6位の「会社への信頼や帰属意識が高まったと感じたから」という回答は、特に40~60代の割合が相対的に多くなっていました。
健康経営優良法人認定の取得状況別で分析してみると、健康経営優良法人の上位企業になるほど、メリットとして「自身の健康状態に改善を感じたから」や「仕事のモチベーションおよびパフォーマンスの向上」、「上司や同僚との関係性の良化」の回答割合が多いということがわかりました。
「健康経営銘柄・ホワイト500認定企業」と「認定を取得していない企業」で、それぞれの回答割合を表したツリーマップを見ると、前者のほうが健康状態以外の指標でもメリットを実感しているようです。健康状態の改善が仕事の面でポジティブな効果として現れていることが推測されます。
「変化や効果を実感できない」ことでネガティブに 従業員の能動的な参加を促す工夫が必要か
5位に挙がっている「施策後のフィードバックや情報発信がないから」の回答は、年代別でみてみると、20代・30代の回答割合が高い傾向にありました。
サービス利用にはポジティブな回答が7割超え その意義を伝えることがカギ
「課題解決のサービス導入や取り組み」の実施に対しては肯定的な姿勢がみられました。
ただ導入にあたっては、企業側からの意義発信・社内浸透はもちろんのこと、健康経営実現に向けた網羅的な取り組みおよび健康経営を形骸化させない工夫が不可欠です。
<関連情報>
・【8/4 Web開催】健康経営優良法人2024対策セミナー
先日公開された「第9回 健康投資ワーキンググループ」の内容をもとに認定制度の最新動向を交えた企業が取り組むべきポイントを解説します。
健康経営の取り組みが自社の課題を解決し、期待する効果を得られているか、振り返りの機会としてぜひご活用ください。
https://armg.smktg.jp/cc/0y12zfmrJ
お申込み期限は2023年8月1日(火)17:59となっております。
・「アドバンテッジ健康経営支援サービス」 https://armg.smktg.jp/cc/0y12zfmrK
健康的で働きやすい職場づくりをサポートするため、専門のコンサルタントが、健康経営度調査の作成にあたりカギとなる「推進計画」の土台づくりを支援。
従業員のヘルスリテラシー向上を目指す施策の策定、推進にもご活用いただけます。
「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
▼本プレスリリースのPDFデータはこちらからご覧いただけます。
https://prtimes.jp/a/?f=d24618-170-66981184e4c4e397504ec9347c6cba34.pdf
株式会社アドバンテッジリスクマネジメント https://www.armg.jp/
(本社:東京都目黒区、代表取締役社長:鳥越 慎二)
1995年、休職者の所得を補償する保険「GLTD(団体長期障害所得補償保険)」専業代理店として創業。
2002年より、日本で初めてストレスチェックを取り入れた、予防のためのEAP(従業員支援プログラム)サービスの提供を開始し、周辺領域へと事業を拡大。2017年12月に東京証券取引所 市場第1部銘柄に指定。
現在は、EAPや研修・ソリューション、健康経営支援を軸とする「メンタリティマネジメント事業」、病気・ケガ、出産・育児、介護による休業・復職支援や仕事との両立支援を軸とする「就業障がい者支援事業」、個人向け保険販売を軸とする「リスクファイナンシング事業」を展開。
従業員の「ウェルビーイング」、「ハピネス」向上を掲げ、今後は福利厚生アウトソーシングや労務管理支援、組織活性のためのツールなどへと事業拡大。各種サービスのDX化を推進し、「ウェルビーイング領域におけるNo.1プラットフォーマー」をめざす。