人々の健康を守るため、また高齢化社会を迎えて医療・福祉産業はますますその重要性と必要性が増しています。そして今、withコロナ、postコロナに社会が舵を切る中では、病気を治すこと、予防することに加え、新しい暮らしの在り方が求められています。こんな時だからこそ、病気やヒトの身体に関する正しい知識を持ち、あらゆる知識を総動員して生み出す柔軟な発想こそがこれを実現するものと考えます。
第55期バイオメディカル・カリキュラム(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
開講期間:2023年10月~2024年9月 募集人数:60名
受講料:140万円(税込) 申込受付期間:【第1次締切/令和5年7月31日】
Ⅰ カリキュラムの背景と経緯
■バイオメディカル・カリキュラムは、理工学と医学の知識を有する新しい人材を育成するために、およそ50年前に開講しました。当時の日本にはまだ医・理・工の知識を兼ね備えた「バイオメディカルエンジニア」という役割はなかったそうです。医療現場が本当に必要とするものを創り出すために必要な知識を得て、さまざまな分野の専門家が集うことで、新しいものを生み出す。それができるのがこのバイオメディカル・カリキュラムです。
■これまでに修了受講生は2,100名(第1~53期実績)を超え、医薬・医療機器業界の第一線で活躍する人材を多く輩出して参りました。1年間を共にした同期の方々は、お互いに刺激し合う、高め合う仲間として修了後も交流を続けておられる修了生もたくさんおられます。競合企業や業種の隔てなく人脈を作ることができるのも、特色の1つといえるでしょう。未来の医療を切り開きたいとお考えの方は、ご参加ください。
Ⅱ カリキュラムの内容(年間スケジュール)
1年間(受講期間)は医学の初歩となる基礎医学講義と実習から、専門的な臨床医学へと段階的に学習できるように構成されています。
また、最新の先端医学、バイオメディカルエンジニアリングの動向を広く学び、未来医学セミナーを通じてこれら知識の実践的な応用を行います。
□講義時間について
1時限80分の講義・実習を、木曜日午後に3時限、土曜日に4時限行います。年間授業日数は講義約190時限、実習・見学は約45時限、未来医学セミナー(自主研究)は約20時限で合計約260時限です(第54期2022年10月~2023年9月の場合)。
□講義内容について
講義内容①基礎医学(医学部1~2年の学習内容に相当)
講義内容②臨床医学(医学部3~4年の学習内容に相当)
講義内容③バイオメディカルエンジニアリング
講義内容④実習・見学
講義内容⑤.未来医学セミナー(文献調査とグループ討論)
Ⅲ カリキュラムの特長
東京女子医科大学バイオメディカル・カリキュラムは、企業、研究所、病院などで業務に従事している工学系、薬学系等の技術者などを主な対象として、これらの人たちが日常業務に従事しながら、医学全般についての系統的な知識を学べるようにスケジュールされた、1年コースの公開講座です。
バイオメディカル・カリキュラムでは、単に最新トピックスのみを紹介するセミナー形式をとらず、医療産業に携わる人たちが、系統的な医学知識を学ぶ講義に加え、体験型の実習・見学により基礎医学と医療の実地に触れることができます。
また、医学と理工学が融合した最新の先端医学、バイオメディカルエンジニアリングを取り入れた最新カリキュラムを提供しています。
その他、受講生数名と先端生命医科学研究所スタッフからなるグループを組み、月1回の頻度で「未来医学セミナー」を実施します。それぞれ自分のテーマを決めて、文献調査とグループ討論を通じて、親交を深め合いながら各自が30年後の未来医学に関する独創的なアイデアの創造に挑戦します。
このカリキュラムは、日本ではもちろん、世界にも類のない、学際的な卒後継続教育コースの一つであり、医療産業が正しい医療の発展に役立つために、産業従事者の資質の向上という点で基盤的貢献をしています。
例年の受講生は、医薬、医療用具関連産業をはじめ、各種企業等から幅広く参入しており、企業の高度な社員教育に大きな貢献をしています。
特に近年では、金融や出版分野、翻訳業など、非医療産業分野からの受講も増えてきております。受講生数は毎年約50名で、1~54期の総員は2,200名余に達しています。
学修環境は、東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設(通称TWInsツィンズ)を利用した講義、実習等が行われています。TWInsの基本コンセプトは、医学・生命科学と理工学の先端テクノロジーを真に融合した、新しい治療・診断システムの創出を通して、先端医療の実現に貢献する人材の育成と研究・開発の実践を目指しています。
【お問い合わせ先】
<バイオメディカル・カリキュラム(BMC)に関すること>
〒162-8666
東京都新宿区河田町8-1 TWIns 2階
東京女子医科大学
先端生命医科学研究所 BMC事務局
TEL:03-3353-8112(ext.26401,26411) FAX:03-3359-6046
E-mail: bmc.aa@twmu.ac.jp
<報道取材申し込みに関すること>
東京女子医科大学 広報室 阿部・首藤
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
Tel:03-3353-8111 Fax:03-3353-6793
E-mail: kouhou.bm@twmu.ac.jp
【参考情報】※これまでのバイオメディカル・カリキュラムBMC受講生の実績事例
40年近い歴史の間、日本の医薬・医療機器産業、学会等で活躍する数多くのユニークな人材を輩出しています。
ここでは、BMC修了後にご活躍されている方々から、開発に携わった医療機器や、BMC受講が役立ったご経験について紹介していただきました。(企業名は受講当時。)
■「Cardiolife自動体外式除細動器(AED)」17期 荻野和郎氏(日本光電工業)
一般人が使用できる除細動用機器として、装置が救命の手順をわかりやすく伝えること、使用者が迷うことなく除細動できる簡単な操作性であること、何時でも使えるためのセルフテスト機能を搭載していることをコンセプトに開発されました。より精度の高い除細動適応の判定ロジックを追求し、患者さんにより速く、より最適なエネルギー値と波形での通電を可能にします。
■「ヘリカルCTの開発」34期 浜田祐二氏(東芝メディカルシステムズ)
輪切り画像から動画へ。技術革新により、頭部、心臓などの動画撮影を実現した世界で唯一の4次元CTスキャナ、東芝Aquilion ONE。日本国内での開発完了後、私は米国に移り、本製品の米国内マーケティング、販売活動を支援しています。装置を導入いただいたJohns Hopkins University、Brigham Woman’s Hospital等、世界に冠たる施設の医師との討議では、BMCで学んだ臨床医学の知識が今でも活きています。
■「術者支援ロボット」42期 奥田英樹氏(デンソー)、岡本淳氏(当時、東京女子医大//現在、ソニア・セラピューティクス株式会社)
手術を止めず、術者の「ふるえ」と「つかれ」を止める、術者支援ロボット、デンソー「iArmS®」。術者の意図を汲み取り、「軽やかな腕への追従」「任意位置での腕の支持」「ロボットからの腕の離脱」の3つのステートを自動的に切り替えます。ヒトとロボットのハイブリッドとも言うべき、類のない術者支援ロボット。大学の研究成果とデンソーの産業用ロボット技術が、BMCで出会うことから生まれました。