ランコムは、2022年3月に、南フランス・グラースに敷地面積4エーカーの生態系と調和する農園を買い受け、農業、建築学の視点から包括的にデザインした他に類のない農園「Domaine de la Rose by Lancôme (ドメーヌ ド ラ ローズ by ランコム)」を開設しました。
生態系に配慮した穏やかなこの農園は、ランコムが取り組むローズ栽培を中心に生物多様性への敬意を多くの方に知っていただく特別な場となります。開設から2年目となる2023年は、香料の原料となる植物をテーマにした様々なイベントやトレーニングセッションを開催すべく、近日一般公開を予定しています。
「Domaine de la Rose by Lancôme(ドメーヌ ド ラ ローズ by ランコム)」と名付けられたこの農園の敷地内には4エーカーの有機栽培地と数百年の歴史を持つ段畑、さらには蒸留所もあります。
プロヴァンス地方ヴァランソルに5エーカーの農地を所有するランコムはこの地域に根を下ろし、オリジナルの特別なランコム ローズはもちろん、ランコムのスキンケア製品に用いられるセンチフォリアローズの栽培を行っています。グラースには農地が1ヵ所あり、フレグランス用のセンチフォリアローズ、ジャスミン、ラベンダーが育てられています。所有地は3ヵ所で計10エーカーとなり、それぞれ異なる地域特性や気候の影響の恵みを受け、上質な花々がすくすくと育ち、花を開かせています。
「ドメーヌ ド ラ ローズ」の運営により、ランコムはグラースで受け継がれる香料植物の栽培を中心とした香水技術の保護に貢献し、様々な品種のローズや香水用の花々のサステイナブルかつ有機的な栽培を続けていきたいと考えています(エコサート有機認証農地)。私たちは、グラースで育まれたこの土地ならではの貴重な宝を世界に発信する一端を担っていることを誇りに思います。グラースの香水作りの技術は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、世界の香水の都として、香料植物の栽培と花精油の抽出技術が広く知られています。
ランコムにとってのバラ
1935年にランコムを立ち上げた創業者、アルマン・プティジャンはローズに情熱を注ぎ、パリ郊外のヴィル=ダヴレーに自身のバラ園を所有するほどでした。この繊細で貴重なローズは、どの品種も芳しい香りを漂わせる他にはない花であり、まさに花の姿をした理想です。ランコムは海と山に絶妙に挟まれたグラース特有の気候と土壌の恵みを受け、センチフォリアローズの栽培を行っています。私たちが最終的に目指すのは、バラの木のすべて、花も、花びらも、茎も、根も、そのすべてを使用し、一切の無駄のない「ゼロ ウェイスト」式の生産工程によって新しい有用成分を開発することです。
メイドインフランスの責任ある有機栽培
ランコムは、創業者プティジャンの妻がかつて育てていたローズをその象徴に掲げていますが、ランコムの主要製品にはローズ以外の植物も用いられています。ローズやオリーブの木、プラムの木、イチジクの木をはじめ、すでに栽培し、今後も製品開発を進める植物のほかにも、アイリス、ジャスミン、ラベンダー、ダイダイ、月下香、オスマンサス、さらにはイモーテル、バーベナ、マドンナリリーなどの古くから用いられている香料植物、そして蜂の巣など、グラースの土地ならではの植物の栽培にも生物多様性の保護と進展に努めながら取り組みます。
生物多様性保護の取り組み
ランコムを象徴するローズやその他の香料植物を栽培するだけでなく、生物多様性保護区域を設け、この土地の遺産と天然資源の保護に取り組んでいます。
このプロジェクトには主に2つの柱があります。1つは在来種の植物や香料植物の植え替えによって農園の活動を再活性化させること。もう1つは土壌を人工化することなく、現在残された構造物や自然物を修復することです。そのために地元で調達した再生利用可能なバイオ由来材料を使って母屋を修復し、樹木遺産を守っています。ランコムは今や、この歴史的遺産とも言える農園の所有者であり、生産者であり、保護者でもあります。これは、ラグジュアリーコスメブランドでは初の試みです。現代に合った方法で資源や材料の無駄な消費をなくしたこのエコロジカルプロジェクトは、ランコムの価値観を反映すると同時に、香水をブランドの原点とするメゾンの本質が活かされています。
この農園の独自性は様々な種類の農学知識を組み合わせている点にあります。持続可能、追跡可能、有機的な農法で香料植物を育成、栽培しています。この農園ではおよそ500年にわたって農業が行われてきました。これまでの農園主はローズと香料植物の有機栽培を50年以上前から手掛けてきた先駆者として知られています。ランコムはこの考え方を受け継ぎ、アグロフォレストリー農法を取り入れ、ドライストーンウォーリングや水路、木を含め、農園独自の農業・建築遺産を守ります。敷地内には現在、163種もの植物が育ち、33種の鳥類、31種の蝶、8種のトンボ、12種のコウモリ、その他生物多様性監査で観察され、記録されている動物の生息地になっています。ランコムではこの監査を取り組みの指針として活かしています。
このエコロジカルな農園はランコムが掲げる企業の社会的・環境的責任戦略の重要な構成要素です。ランコムでは原材料の栽培に始まり加工、製品の使用、生産終了に至るまでの製品に関わる環境負荷の軽減に取り組んでいます。ランコムは「ドメーヌ ド ラ ローズ」を通じて生物多様性に対する影響の軽減に努めます。生物多様性が失われることによって地球の生態系の維持と物理的変化に対する強さに悪影響が及びます。ランコムでは現在、スキンケア・メイクアップ製品に使用するローズの99%が有機栽培です。2025年までに100%を目指し、そのうち60%がフランスで栽培されます。
ランコム インターナショナルのジェネラル ディレクター、フランソワーズ・レーマンは次のように話しています。
「ランコムにとってローズは常に大切な存在です。農園を買い受け、香水の都であるグラースでランコムの存在感が増すことをうれしく思います。ランコムはすでにこの地域に根差し、中でも特筆すべきはヴァレンソールのローズ畑です。スキンケア製品に用いられるローズが栽培されています。追跡できる責任ある原材料調達の一環として独自のローズをこれからも育てていきます。私たちの目標は現代の持続可能な修復方法を取り入れ、農業の技と生物多様性のバランスを尊重しながら農園を再生することです。知識と技の継承という意味では、この農園の取得を通じて社内外にローズの伝統的サヴォアフェールを共有したいとも考えています。」
ランコムはその言葉と違わず、この穏やかで持続可能なプロジェクトを果断に実行していきます。プロジェクトで設計を手掛けたのはNeMエージェンシーに所属する2人の建築家、リュシー・ニネとティボー・マーカです。パッシブバイオクライマティックデザインがベースになっています。以前からあったドライストーンウォールは残し、伝統の工法で修復しました。新しい農業施設は自然の景観になじみ、ストーンウォールの外観とも調和する作りです。新しいローズハウスは従来のプロヴァンス風住居の大きさと建築学的特徴を踏襲しながら改修しました。グラース地域の遺産や技術を忠実に取り入れた色や素材を使いながら現代的外観に仕上げています。主たる建物の改築については被覆材や屋根、木工品など外装に用いる材料はすべてピンクで統一し、色の数を抑えることによって全体がまとまった印象を与えます。ピンクはこの土地の色の一つです。この地域に生育する花や植物に自然に存在し、グラースの住宅の正面にもしばしば用いられます。そしてランコムのイメージと共鳴する色でもあります。
一連のライフサイクルにおいて環境負荷を抑える省エネとエコな改修を念頭に、母屋の壁はラベンダーの茎と木の繊維を混ぜ合わせた材料で修復、断熱し、ピンクの漆喰で覆っています。エコを意識した敷地内では水の回収・再利用のための仕組みと雨水を利用する灌漑システムを取り入れています。水を自給自足し、再生可能エネルギーを活用するためです。さらに空調には地熱と地中接続熱交換器による自然換気を利用しています。こうした工夫が評価され、このプロジェクトはBDM(Bâtiment Durable Méditerranéen 持続可能な地中海沿岸建物)のゴールド認定を取得しました。
ランコムは、バラ園である「ドメーヌ ド ラ ローズ」の所有者であるとともに、独自の伝統の担い手でもあると同時に、生物多様性保護の取り組みを通じ、これからも卓越したビューティブランドとして使命を果たしていきます。
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