「高濃度CNF/天然ゴムマスターバッチ」を開発・販売

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株式会社スギノマシン(富山県滑川市、代表取締役社長:杉野 良暁)は、天然物由来のセルロースなどを原料としたナノファイバー*1(商品名:BiNFi-s)の開発を進める過程で、自社のセルロースナノファイバー(CNF)を少量添加した天然ゴム(NR)複合体に、他の補強材添加では見られない、ユニークな補強特性を見出しました。この成果の早期実用化を図るため、固形ゴムと容易に複合化できるよう、予めNRに高濃度のCNFを配合させた「BiNFi-s/NRマスターバッチ」を開発し、6月にサンプル販売を開始しました。同アイテムに関する技術情報はテクニカルレポートとしてホームページで公開します。

1.開発背景
NRはゴムの木から採取される天然物由来のサステナブルな材料で、機械的強度、反発弾性、耐摩耗性に優れており、タイヤやホース、防振ゴムなど幅広く使用されています。一般的にNRにはフィラー(補強材)としてカーボンブラック(CB)が多く使用されており、多くのゴム製品が黒色なのはこのCBの色によるものです。CBは石油化学製品で比重が約2と大きいため、それに代わり天然物由来でCBより軽量なCNFを活用する研究開発が盛んに行われています。当社では、CNFを少量添加したNR複合体は初期モジュラス*2が大幅に向上すること、また添加するCNFの繊維長によってCNF/NR複合体の物性が異なることを見出していました1, 2)。

2.BiNFi-s/NRマスターバッチとは

ゴムのマスターバッチとは、ゴムに補強材やその他の薬剤を予め高濃度で混合させたものを指します。元々水分散液状のCNFは、固形ゴムと直接均一に混練するにはノウハウを必要とします。従って顧客からは、容易に混練できる状態のCNF、つまり予めNRにCNFを混合させたマスターバッチでの提供が求められていました。そこで、NRにCNFを高濃度(固形分で25phr *3)で複合化する手法を確立し、CNFの繊維長が異なる2種類のBiNFi-s/NRマスターバッチを開発しました。
このBiNFi-s/NRマスターバッチは固形ゴムとのドライ混練が容易なため、特別な工程や機器を用いなくてもCNFが均一分散したゴム複合体を製造できます。また、2種類のマスターバッチの組み合わせや添加量を最適化することで、CNF/ゴム複合体の物性を制御できます。BiNFi-s /NRマスターバッチの外観写真を図1に、仕様を表1に示します。

表1  BiNFi-s /NRマスターバッチの仕様

3.BiNFi-s/NRマスターバッチの効果
BiNFi-s /NRマスターバッチと固形NRをドライ混練することで、任意のCNF濃度のNR複合体を製造できます。一例として、IMa-25NRMBと固形NRを複合化した、濃度違いのIMa(極長繊維CNF)/NR複合体の引張強度測定結果を図2に示します。また、比較例として20 phr CB添加NR複合体の結果も合わせて示します。

図2 CNF(IMa)/NR複合体の引張試験結果

NRはひずみ(伸び)が300 %以下で使用されることが多いため、その場合は同ひずみ領域での応力(初期モジュラス)が重要視されます。BiNFi-s/NRマスターバッチから製造したNR複合体はCNFがわずか2.5 phrという少量添加にも関わらず、ひずみが概ね300 %以下の領域では、CBを20 phr添加したNR複合体よりも高い応力を示します。CNFは、比重が小さくかつ添加量も少ないためNR複合体の軽量化が図れ、その結果、石油化学製品の使用量削減とCO2の排出量削減にも貢献できます。
その他の効果として、CBやシリカなどの無機粒子フィラーを使用したよりも、当社のBiNFi-sをゴムに添加する場合の方が、高い弾性を示す指標が確認されており、タイヤの場合は燃費の向上、靴底の場合は快適な歩行・走行が期待できます。

4.サンプル提供について
 当社では、IMa-25NRMBおよびFMa-25NRMBの販売を開始します。提供量や荷姿については、表1を参照ください。

5.参考文献
1)株式会社スギノマシン テクニカルレポート No.11
2)株式会社スギノマシン テクニカルレポート No.12
 https://www.sugino.com/site/biomass-nanofiber/download-guide-binfis.html

6.用語・補足
*1 ナノファイバー
繊維を直径 100 nm以下、長さ 数µmのサイズへ微細化したもの。

*2 初期モジュラス
概ね300 %以下の低ひずみ領域での応力値。ゴム業界ではあるひずみでの応力値のことをモジュラスと呼ぶ。

*3 phr(part per hundred parts of rubber)
ゴム質量100に対する各種配合剤の配合する質量部のこと。

<本件に関するお問い合わせ先>

株式会社スギノマシン 新規開発部 開発プロジェクトグループ

TEL:076-477-2572

<会社概要>
■会社名:株式会社スギノマシン  ■代表者:代表取締役社長 杉野良暁
■本社所在地:〒937-8577富山県滑川市栗山2880番地 
■TEL:(076)477-2555(代)    ■創業:1936年3月1日
■事業:高圧ジェット洗浄装置、超高圧水切断装置、原子力発電保守用機器並びに廃炉機器、湿式・乾式微粒化装置、ドリリングユニット、タッピングユニット、マシニングセンタ、拡管工具・装置、抜管装置、鏡面仕上工具、バイオマスナノファイバー、産業用ロボット等の開発、設計、製造、販売
■URL:https://www.sugino.com/ 

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