TBWA HAKUHODOは新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけに、2020年3月から出社と在宅勤務を組み合わせるハイブリッドワークを開始し、生産性を高めながら業務を進めています。TBWA HAKUHDOの新しいワークスタイルとしてハイブリッドワークが定着する一方で、社内における偶発的な会話が減少したり、リアルな場に集まって同時に同じ業務に取り組む機会が減ったりと、社内コミュニケーションやチームビルディングにおける課題があります。そこで運用が開始されたのが「THE ESCAPE」です。
TBWA HAKUHODOでは、ハイブリッドワークが続く中でも社員間のコミュニケーションの質を高めるために、2022年よりメタバースを活用した社内コミュニケーション活性化プロジェクトを立ち上げました。メタバースや新しい技術を積極的に取り組むことでクリエイティビティを進化させ、部署や役職を超えた新たなコラボレーションを目指してきました。2022年では「メタバースを活用した経営会議」や、複数の社員が社長のアバターを利用し会社や経営に対する意見を経営会議にて率直に話し合う「アバター社長経営会議」を実施、誰でも自由にVRやメタバースを利用することができる「VR専用室」を設置するなどさまざまな施策を実施してきました。
そして、この度、メタバースプロジェクトの一環でメタバース上にオフィスを再現し、避難訓練を通じてチームビルディングを行えるコンテンツ「THE ESCAPE」の開発に至りました。「THE ESCAPE」はオフィスにいるときに地震が起きたところから始まり、複数人でけが人の救助や火災の対処をしながらオフィスからの避難を目指します。オフィスはレイアウトを忠実に再現し、救急箱や消火器なども実際に置いてある場所に配置。参加者はVRゴーグルを装着して臨場感あふれる3Dオフィス空間に没入し、コントローラーを持って、しゃがむことで身の安全を確保したり、消化活動をしたりと、次々に求められるミッションを遂行していきます。
「THE ESCAPE」は2023年度のスタートにあわせて、今月から希望者やチームから順次体験できるように運用を開始しました。最大8人での実施が可能なため、同じコンテンツに参加してコミュニケーションをとることで、チームビルディングへの寄与や、出社回数が少なくなっている中でこれまでより低くなっているであろうオフィスにおける防災意識の向上につなげることを期待しています。
今後は、社員の体験者数を増やし、防災訓練参加率100%の達成を目指すと共に、部署を超えたチームビルディングのツールとしても運用していく予定です。加えて、新入社員や中途入社社員の研修プログラムにも導入し、オフィスの構造になれるためのツール及び社員間交流の活性化のツールとしての活用を狙います。
また、メタバース上での防災訓練やチームビルディングは自社に限らず、日本の多くの企業にもニーズがあると考えるため、今後はこの技術を活用して他企業での導入サポートも開始することを目指しています。
■参加者の感想
・コロナ禍を経て、オフィスに集まって複数人で何かひとつのことに取り組む機会が減っていたのですが、VRオフィス上でコミュニケーションをとることができ、メタバースの可能性を感じました。(プラニング職)
・オフィスの再現度の高さに驚きました。オフィスへの出社回数が減ってリモートで仕事ができる環境ではありますが、チームメンバーとの雑談が減ったり、新入社員が職場環境に慣れる難しさはたびたび感じていたので、このようなゲームがまた新しい会話のきっかけになってとてもよかったと思います。今まで防災訓練に積極的に参加していなかったので、今回の体験を通じて、オフィスにおける防災意識が薄れていたこと、そして防災意識の大事さにも改めて気付きました。(クリエイティブ職)
■チームビルディングに関する専門家コメント(特定非営利活動法人コーチ道 代表理事 松場 俊夫 氏)
「THE ESCAPE」には、チームビルディングに重要である「共通の目標」「密接なコミュニケーションと協力」「普段の業務とは違う特別な体験」が詰まっています。参加者同士でチームを組みミッションを達成する喜びを体感できるだけでなく、「勤務中の災害から身を守る」という普段慣れないミッションを通してメンバーの素の部分や新たな一面を垣間見ることができます。
オフィスが非常にリアルに再現されているので、新入社員へのオフィスツアーなどにも活用できると思います。また、このゲームの世界に入れば全員が同じ空間にいるような感覚を得られるため、リモートワーク中であっても雑談する場になるなど、ミッションをクリアするゲーム以外にもさまざまな活用の可能性を感じます。
アフターコロナのチームビルディングに悩む組織にとって、この施策は有効なツールの一つになると思います。
■開発者コメント(TBWA HAKUHODO Disruption Lab Creative Director 新目 要)
メタバースオフィスならではの価値を考え、VRだからこそできるリアリティのある災害体験をコンテンツ化しました。実際のオフィスの図面やオフィスを撮影した素材から、原寸大のリアルなオフィスを再現し、防災グッズを正確に配置することで、つい他人事として流してしまいがちな防災情報を体験として身につけることができます。
また、災害発生時に視界が悪くなることやオフィス家具が障害物になってしまうことによる不自由さ等、これまでの避難訓練では気づけない危機感をリアルに感じられることにも注力しました。
ボイスチャットで参加者がスムーズに会話ができるので、指示や誘導等を協力することで緊急時に協力することの大切さも体験できます。
マップを変えればどんな施設でも同様の体験ができるシステムになっており、人が多数集まる公共施設等で応用する等、このシステムを活用した避難訓練の新しいソリューションとして展開して行きたいと思っています。
■ TBWA HAKUHODO(TBWA博報堂)について
2006年に博報堂、TBWAワールドワイドのジョイントベンチャーとして設立された総合広告会社です。博報堂のフィロソフィーである「生活者発想」「パートナー主義」とTBWA がグローバル市場で駆使してきた「DISRUPTION®」メソッドを中心とした独自のノウハウを融合。質の高いソリューションを創造し、クライアントのビジネスの成長に貢献します。「DISRUPTION®」は既成概念に縛られず、常識を壊し、新しいヴィジョンを見いだすTBWA HAKUHODOの哲学です。マーケティングに限らず、ビジネスにおけるすべての局面でディスラプションという新しい視点を武器に事業やブ ランドを進化させるアイデアを生み出します。