本年2月1日、公益財団法人どうぶつ基金(以下「どうぶつ基金」)は、前日本獣医師会会長の山根義久氏、福岡大学教授の山﨑好裕氏、弁護士の朝隈朱絵氏、福岡県内20市町と連名で「野良猫の避妊・去勢手術の実施に関する要望」を福岡県知事と福岡県議会に提出いたしました。しかしながら、同要望に対する福岡県からの回答は現状を正しく認識しておらず、連名した20市町ならびに1万筆を超える福岡県民の要望をまったく汲み取っていないゼロ回答であったことから、追加で集まったChange.org(オンライン署名)による4万筆の署名を添えて4月13日に要望書を再提出いたしました。
福岡県からの回答(3月29日付)はこちら
https://www.doubutukikin.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/b4387aeb0a33d3d4c598295c65d7e75d.pdf
福岡県からは上記回答のほか、担当課よりWEB会議にて回答内容の説明を受けました。
回答文書に「引き続き、市町村の意見をおうかがいしながら、不妊去勢手術と併せ適正管理を行う地域猫活動への支援を行ってまいります。なお本県では、譲渡促進のために動物愛護センターにおいて、譲渡対象動物に対し不妊去勢手術を実施しており、対象を拡大する予定はございません」と書かれているほか、WEB会議においても、現状で飼い主不明猫等の無料不妊手術が事足りているため、「本要望に応えるつもりは一切ない」と説明がありました。
先に提出した要望書で、どうぶつ基金が実施している「さくらねこ無料不妊手術事業」において、福岡県下の行政ならびに福岡県民からの無料不妊手術チケットの申請が毎月約800件に上り、年間8000頭以上の無料不妊手術の需要があるという数値的根拠を示したにも関わらず、上記回答はこれを全く無視した回答と言わざるをえません。
福岡県動物愛護センターでの無料不妊手術の対象拡大は不要であると判断した理由として、福岡県が実施している助成金制度があげられました。
福岡県の助成金制度(※1)は、助成金の半額を県が負担し、市町が残りの半分を負担して動物病院に支払うもので、市町から要求があった助成金の70%以上はカバーできていることから、市民の要求も満たせているとの考えです。本制度は、市町村からの需要(※2)に応じて実施しており今後も変える予定はないとの説明でした。
※1:令和3年度の手術頭数:240頭。費用/1匹 : 雄16,000円、雌26,000円
※2:令和3年は10市町村から要望があり、1市町村あたり年24頭、1カ月2頭の計算
しかしながら、2022年度にどうぶつ基金が運営した「どうぶつ基金病院みやま」での手術数は年間約4,000頭であり、同病院に対する無料不妊手術チケットの申請(需要)はその倍の約8,000枚あります。実際に無料不妊手術を実施した病院の根拠あるデータに基づく数値、これが真の需要であるとどうぶつ基金は考えます。
福岡県が「市町村ならびに市民の要求を満たしている」と回答した助成金制度ではわずか240頭(令和3年度)しか実施されていません。これは負担の大きさから各市町村が予算を獲得できていないからであり、「需要を満たしている」との考えは地域の実情を福岡県が正しく把握していないことを露呈しています。
日頃より飼い主のいない猫の問題解決に向け、最前線で尽力している市町村やボランティア、猫問題に悩む県民の状況をまったく理解していない内容となっており、これほどまでに各市町村で発生している猫問題に無関心であるのかと残念でなりません。
上記回答の内容を踏まえ、要望書再提出にくわえて、4月19日に福岡県知事へ公開質問状も提出しました。
福岡県県知事への公開質問状(4月19日提出)はこちら
https://www.doubutukikin.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/289edd2ce3f4a2fa90e01c1afbb54a00.pdf
どうぶつ基金は、福岡県動物愛護センターによる野良猫8,000頭の無料不妊手術実現に向け、今後も連名自治体や県民の皆様とともに要望を継続してまいります。