展示ブースには、実際のアイガモロボと、スクリューの撹拌の様子を確認できる水槽、PR動画を用意し、当社取締役の中村が、生産者の除草作業の負担を減らすだけではなく、太陽光エネルギーのみで稼働するため農薬を使わずに抑草できること、更には、ロボを投入させた田んぼで温室効果ガスの1種であるメタンガスの排出量を半減させた実証実験の結果などについて、ブースにお立ち寄りくださった各国の大臣や国際機関の代表をはじめとした要人の方々に説明いたしました。化石燃料を使わずに水田の除草作業の省力化を実現できる点や有機農業の普及推進に期待できる点について、熱心に聞き入っておられ、関心の高さをうかがい知ることができました。
また、会合2日目には、宮崎県立宮崎農業高等学校の圃場で各国の大臣ら代表団に向けてアイガモロボの実演を行いました。日本は有機農業の面積拡大を推奨しており、実現のためには雑草対策の省力化が必須である中、そのソリューションの一つとしてアイガモロボを紹介いただきデモンストレーションがスタート。G7参加国の国旗を貼ったG7仕様のアイガモロボを県立宮崎農業高校の生徒らが田んぼに浮かべ、ロボが泥を巻き上げながら縦横無尽に全自動で動く様子を視察いただきながら、ロボの特性やスペックを説明、その中で、水稲栽培が行われているイタリアの企業からも購入希望のお問い合わせがあり、今後海外への販売にも積極的に取り組んでいく予定であることに触れ、水田文化の根付くイタリアのフランチェスコ・ロッロブリージダ農業・食料主権・森林大臣が笑顔で大きく頷いておられました。最後に当社の中村が、「昨年度の実証実験でメタンガスの排出量を半減できた結果も出ており、引き続き検証を重ね、効果を発信していきたい」とPRし、各国の閣僚陣を前に世界へ印象付けました。
アイガモロボは、太陽光エネルギーだけで稼働する田んぼの雑草を抑制するロボットです。農薬を使わない水稲の有機栽培を行う上で最も工数のかかる除草作業の省力化を実現し、有機農業(またはそれに準ずる栽培方法)の面積拡大、生産性向上の確立を目指しています。
今回、G7の会場で紹介したメタンガスの削減効果は、東北大学東北大学農学研究科 西田瑞彦教授が2022年に行った実証実験に基づくもので、アイガモロボを使用したロボ投入区と使用していない対照区を比較し、水田から発生するメタンガスが半減する傾向が確認されました。今年度も同様の実験を重ね、2023年秋の日本作物学会で論文を発表する予定です。
環境省の“2020年度温室効果ガス排出量”のデータによると、日本国内におけるメタン(CH4)排出量(CO2換算)は2,840万トンで、そのうち農業分野(稲作・家畜)からの排出量は全体の78%を占めており、中でも稲作は42%(1,200万トン)に達します。地球温暖化を食い止めるためには、こうした農業分野の排出量削減に向けた積極的な取り組みが必要不可欠で、アイガモロボを使用することで、メタンガス削減にも大きく寄与できる可能性があると考えています。
アイガモロボは、有機米の生産性向上と環境保護を両立させる革新的な技術であり、今後もさらなる技術開発を進め、持続可能な農業の推進に取り組んでまいります。
<G7宮崎農業大臣会合概要>
開催日程:令和5年4月22日(土曜日)・23日(日曜日)
会 場:宮崎市「シーガイアコンベンションセンター」/スマート農業実演は「県立宮崎農業高校」で実施
海外からの出席者:
・大臣
カナダ:マリー・クロード・ビボー 農業・農産食料大臣
EU:ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ 欧州委員会委員(農業担当)
フランス:マルク・フェノー 農業・食料主権大臣
ドイツ:ジェム・エズデミル 食料・農業大臣
イタリア:フランチェスコ・ロッロブリージダ 農業・食料主権・森林大臣
英国:トゥルーディ・ハリソン 自然環境及び土地活用担当大臣
米国:トーマス・J・ビルサック 農務長官
・招待国(オンライン参加) ウクライナ:ミコラ・ソルスキー 農業政策・食料大臣
・国際機関
国連食糧農業機関(FAO):屈冬玉 事務局長
国際農業開発基金(IFAD):アルバロ・ラリオ 総裁
経済協力開発機構(OECD):ウルリック・クヌッセン 事務次長
国連世界食糧計画(WFP):シンディ・ヘンスリー・マケイン 事務局長
出張者:
野村哲郎(のむらてつろう)農林水産大臣
野中厚(のなかあつし)農林水産副大臣
角田秀穂(つのだひでお)農林水産大臣政務官
藤木眞也(ふじきしんや)農林水産大臣政務官
<会社概要>
有機米デザイン株式会社 (https://www.ymd1122.com/) 代表取締役:山中 大介 /本社:東京都小金井市中町2丁目24番16号 農工大多摩小金井ベンチャーポート101
街づくり会社のヤマガタデザインの出資により2019年11月に設立。有機米の栽培における課題を解決し、農業者の所得向上と有機米マーケットの拡大に取り組むことを目的に、有機米栽培の大きな課題となる除草作業を省力化する自動抑草ロボットの開発や有機米栽培のノウハウの確立に向けた研究開発に取り組む。東京農工大学とは有機米の栽培に関する知見の収集と諸課題の解決に向けた共同研究を2020年に開始。
ヤマガタデザイン株式会社 (https://www.yamagata-design.com/)
代表取締役:山中 大介 /本社:山形県鶴岡市北京田字下鳥ノ巣23-1
地方都市の課題を希望に変える街づくり会社。山形庄内から全国にも展開可能な課題解決のモデルづくりに挑む。田んぼに浮かぶ 木造ホテル「スイデンテラス」、天性重視個性伸長の教育施設「キッズドームソライ」、リクルートメディア「チイキズカン」、有機農作物の生産、資材開発、販売、アイガモロボの開発などの各種街づくり事業を手掛ける。2022年、ニッポン新事業創出大賞で経済産業大臣賞、地方創生賞をW受賞、日本サービス大賞で地方創生大臣賞を受賞。2024年4月に社名を株式会社SHONAIに変更予定。