本場スペインのシェフによる料理教室や、有識者がゲストスピーカーとなるトークイベントなど、計4回にわたるツーリズムの様子を『野田村 ON&OFF Village』内にレポートとして公開しています。
岩手県野田村と久慈工業高校の料理部の発案によって2022年に動き出した『野田村パエリアプロジェクト』。同じリアス海岸を有し、食材が豊かであるというスペインとの共通点がきっかけとなって、学生主体で行われた野田村パエリアづくりのチャレンジ動画は1年間で約34万回再生され話題となりました。
当初掲げていた『野田村パエリア』の特徴は、野田村の特産品でもある『荒海ホタテ』などの魚介をはじめ『のだ塩』や『南部福来豚』、そして唯一無二とも言える涼海の丘ワイナリーによる『山ぶどうワイン』を中心に、野田村でその時に採れる
旬の食材をふんだんに使うことでしたが、レシピ開発やイベントへの出店、オリジナルのパエリアパンづくりなど、回を重ねるごとにパエリア特有の自由さや気軽さ、そしてみんなで集まって協力しながら作ることの楽しさや喜びを感じるようになっていきます。
では一体『野田村パエリア』とは何なのか? という定義を改めてスペインの文化とともに深掘りするためにはじまったのが『野田村パエリア』の物語を探るためのツーリズムです。
- 野田村とスペインをつなぐ料理『パエリア』
2022年11月に行われた第1回は、青森市の人気スペイン料理店『グラナダ』からエンマ・サンチェスさんをゲストに招いて行った料理教室でした。「いつか本場のパエリアを食べてみたい」という学生たちの思いを叶える形で実現したこの回では、厨房で繰り広げられるプロの技を目の当たりにしながら、調理のコツはもちろん、料理自体を楽しむことや、そこに集まる仲間たちとのコミュニケーションを楽しむことも『おいしさ』につながることを学びました。
- 野田村パエリアを巡る冒険 〜苫屋・坂本夫妻インタビュー〜
野田村で民宿&カフェ『苫屋』を運営する坂本充さん、久美子さん夫妻をゲストスピーカーに招いて行った第2回では、長年にわたり世界中をバックパックで旅して来た坂本夫妻からヨーロッパの旅で感じてきた美しい町やそこに暮らす人の話や、スペインでの思い出を語ってもらいました。「自分らしく生きること」を探し続けた夫妻が、野田村にたどり着いて見つけたものの中に『野田村パエリア』の定義を語る上で欠かせない話がたくさんありました。
- ピアニスト・川上ミネによる『野田村パエリア』〜学んで食べて国際交流〜
「野田村とスペインの共通点は?」。そんな疑問に答えてくれたのがスペインと京都の二拠点で活動するピアニストで作曲家の川上ミネさんです。野田村との共通点がたくさんあるガリシア地方に暮らしながら『野田村』と出会い、帰国の度に訪れるようになった川上さんに、リアス海岸だけではない野田村とスペインの共通点を伺う第3回となりました。野田村の食材を使ったスペイン料理が振る舞われる中で開催された国際交流会には村内外からたくさんのひとが訪れました。
- 野田村をもっと豊かにする、スペイン人の暮らしと生き方
そして第4回は、元駐スペイン大使の水上正史さんとピアニストの川上ミネさんの対談という形で、野田村民にも役に立つ「スペイン人の上手な暮らし方と生き方」についてお話しいただきました。2人のスペインでの生活や経験をもとに、ここでしか聞けないスペインでの暮らしぶりや、野田村パエリアをもっと深掘りしていくためのヒントを伺いました。
4回のツーリズムから見えてきた『意外』とも言える野田村とスペインの共通点。そして世界から見た野田村の魅力を改めて知ることができる機会となりました。
改めて感じることができたスペインとのつながり。
そのつながりをいつでも確かめられるようにと、久慈工業高校料理部のみなさんが制作した『野田村パエリアプロジェクト』オリジナルのパエリアパンがついに完成しました。
堅くて丈夫な栗の木を材料に使ったスペイン国旗のカラーリングが印象的なパエリアパンは、野田村の人気の洋食屋『みなみ』に贈呈されました。今後、野田村の飲食店でも少しずつ野田村パエリアの提供がはじまっていきます。
『野田村パエリアプロジェクト』そして『野田村ON&OFF Village』では、今後も『野田村パエリア』を通じて、野田村の食材をはじめとする、ここにしかない村の魅力を、発信していけたらと考えています。そしてみなさんの自由なアイデア・ご提案なども、引き続きお待ちしています。
そして最後に、4回のツーリズムを通じて見えてきた野田村パエリアの定義を紹介します。基本のレシピも添えてありますので、気になった方はぜひ『野田村パエリア』を自由に楽しんでみてください。